女性の職場復帰を阻む一番の壁をなくそう! 誰でも利用できる保育サービスをつくるために「普通の人」ができること

記事画像

7月13日、『国際女性ビジネス会議』が開催された。第19回となる今回のテーマは、「Game Changer」。既存の社会のルールや決まり事、固定観念を根底から見直そうという思いのもと、講演、トークショー、円卓会議、パーティセッションなどが約10時間にわたって行われた。会場には800名以上の女性が集まり、スペシャルゲストとして安倍晋三首相も登場するなど、盛り上がりを見せた。17にも及ぶプログラムの中から、Woman type編集部が一部を紹介する。第1弾は円卓会議『保育を改革する!ための自由討論』の内容を抜粋して取り上げる。政府の取り組みや参加者からのリアルな意見から見えた、日本の保育制度改革に必要なこととは? 「とにかく子どもを預かって!」 多くのジレンマを抱える女性たち 保育所の数が足りず、子どもを預けたくても預けられない世帯が増加している。まだ子どもを持つ予定のない人でも「待機児童」という言葉を耳にしたことはあるだろう。この問題の解決に向け、昨年より内閣府規制改革会議では、保育所の量・質の向上と保育士の増員を目指して動いている。 「大きなところでは、保育所設置に関する規制緩和に取り組みました。既に保育所運営に株式会社が参入できるようになっていますが、今までは企業が『うちの会社の一部を保育所として使ってほしい』と名乗りを上げてくれても、細かな規制がネックになって実現できないケースが多かったんです。今後は場所を提供してくれる方と保育事業者のマッチングを計ることで、保育所の数を増やしていけると考えています」 こう話すのは、株式会社日本総合研究所の理事で、規制改革会議のメンバーでもある翁 百合さん。国がさまざまなことに取り組んでいるとはいえ、今まさに保育所問題に直面している家庭は少なくない。円卓会議を聴講していた一般女性たちからは「入所のタイミングを春・秋の二期制にしたらいいのでは?」といった具体的な案や「保育所は最低限の安全性さえ確保してくれればいい。100点満点を目指さなくていいから、とにかく預かって!」という子育て経験者の切実なものまで、多くの声が上がった。 実は届いていない母親たちの声 声を上げることが改革を後押しする 登壇者の一人、ネット署名サービスを運営する『Change.org』日本代表のハリス鈴木絵美さんは「それぞれが持っているこういった案や意見を、どう社会に発信していくのかを考えるべき」と語る。 「目黒区に住む数100人の母親が、区議会に対して『待機児童は問題である』ことを認めることを求めた署名運動がありました。すぐに問題が解決する訳じゃないけれど、声を上げて世論を作らないと問題は解決できません」 この発言を受け、「ただ声を上げるのではなく、具体的な意見を発信することが重要」と、本会議の実行委員長で規制改革会議のメンバーでもある株式会社イー・ウーマン代表取締役社長・佐々木かをりさんは言う。 「『保育園増やして!』ではなく、『この政策に賛成』みたいな具体的な声が必要なんです。規制改革会議に届いた改革提案は全部目を通して検討プロセスに進めていますが、現状は企業や団体からのものが大半。市民の声はほとんどありません。声が届かなければ、施策の必要性を訴えても説得力に欠けてしまう。でも、市民の皆さんが声を上げてくれれば、きっとその声は改革を後押しすることにつながります。そうすれば難色を示す人を説得することだってできると思うんです」 昨年1月に規制改革会議に参画するまでテレビの前で文句を言っているだけの“ブツブツおばさん”だったという弁護士の林いづみさんも「サイレントマジョリティーでいる限り、何も変わらない」と警鐘を鳴らす。 「保育問題は『ただ保育所を増やせばいい』という単純な話ではなく、育児支援全体を見直すものです。男女共に、ワークライフバランスを作っていく上でどのような育児支援が必要なのか、次世代を担う子どもたちを社会全体でどうやって育てていくのか、もっと広い視野で考えるべき問題だと考えています」 子どもを持つのは先の話と思っていると、自分とは遠い出来事だと考えてしまいがち。だが、働き方や子どもの教育に関わる保育問題は、将来的に子育てと仕事を両立したいと思っている人はもちろん、全ての人が考えるべき大きなテーマ。「まだ子どもがいないから分からない」と無関心でいるのではなく、身近なワーキングマザーに話を聞いてみて、浮かんだ疑問やアイデアを世の中に発信していくことが重要ではないだろうか。 取材・文/天野夏海(編集部) 写真提供/国際女性ビジネス会議事務局

もっと続きを読む