普通の会社員の方が向いている? 「女性の起業」の実態を大調査!

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<<画像付きでこの記事を読む 最近、東京都が女性・若者・シニアの創業サポート事業を開始するなど、女性の起業を応援する取り組みは活発化している。テレビやインターネットで有名な女性起業家の話を耳にする機会も多いけれど、前職で表彰を何度もされていたり、海外の大学を出ていたりと、何だかすごそうな人ばかり。「将来お店を開きたいな~」なんて、起業に憧れる気持ちはありながらも「やっぱり私には無理!」と尻込みしている人は多いのでは? そこで、実際に起業している女性がどのような人たちなのか、その実態について調査をすべく、女性起業家コンサルタントの辻朋子さんにお話を伺った。 女性起業家は今後も増える その背景にある3つの要因 以前はベンチャー志向の高い男性のイメージが強かった起業だが、最近では起業をする女性が増加傾向にあるという。 要因1:資金面の負担が少なくなったこと 2006年までは起業時の資本金の最低額が最低資本金制度で定められていたが、現在は資本金1円から起業することができる。最近では国が起業をバックアップしようという流れもあり、創業補助金が支給されるなど、国の制度も充実している。 「貯金がたくさんなくても、手元にある10万円程度の資金を元に事業を始める人もいます。さらに資本金以外の面でも、自宅をオフィスにすれば家賃が削減でき、住所を公表するのが心配ならばバーチャルオフィスを利用して住所を借りることもできます。SNSを使えば宣伝コストも抑えられますし、起業時に掛かるお金は格段に安くなっています」 要因2:情報が入手しやすくなったこと インターネットの普及により、起業に関するさまざまな情報を無料で手に入れることができるようになったことも大きい。「インターネットやテレビなどのメディアで、“普通の”20~30代の若手女性が起業している姿を見て『起業なんて無理』と思っていた人が、『意外とできるのかもしれない』と起業を身近に感じるようになるケースも多い」のだとか。 要因3:価値観が変化していること たくさん稼ぎたいという動機での起業が多かったバブル期に対し、最近では稼ぎたい人の他にやりがいや充実感を求めて起業をする人が増えている。 「生き方や自己実現の観点から起業を考え始める人は多いです。特に女性の場合、収入よりもやりがいや充実感を重視する傾向が強いため、こうした考え方に馴染みやすいのではないでしょうか」 事業への思いはあっても 「収益を上げる」ことは苦手 では、実際に女性の起業の実態について見てみよう。実は女性と男性では選ぶ事業が大きく異なる。社会のニーズや収益性から事業を選ぶ男性に対して、女性は良くも悪くも生活の延長線上で物事を考える傾向にあるからだ。 「起業する女性の大半は、個人事業主として開業し、個人の方、特に女性相手のビジネスを選択しています。人気の事業は、サロン、美容室、カフェ、介護サービスなど。身近な人を癒したい、身の丈で起業したいと考える人が多いんです」 本文中のグラフは全て、日本政策金融公庫総合研究所 『女性起業家の開業~「2013年度新規開業実態調査(特別調査)の結果から~』を参照し、女性のみのデータを抽出して作成。 また、「数字が苦手で収益を上げるという意識が低いのも女性に共通する点です。これは、お金もうけは悪いことという文化の中で育ったことや、営業経験が少ない人が多いことが影響しています」と辻さん。事業への思いは大切だが、それだけではビジネスとして成立させることはできない。納税や雇用創出など、収益を上げることでできる社会貢献もあると考え、罪悪感や苦手意識を持たずにお金と向き合うことが必要になる。 特別なキャリアや高い志はなくても良い 起業適齢期は「希望の生き方」から見えてくる 起業というと、つい特別なキャリアや高い志を持った人しかできないと思ってしまいがち。学歴や突出したスキルがないことを引け目に感じる人も少なくない。ところが意外にも「普通の会社員の方が起業に向いている」と辻さんは話す。 「高学歴・高収入のキャリアウーマンの場合、泥臭いことをしたり、人に頼ったりということが苦手な人が多いんです。学歴や資格がないことを心配する人もいますが、むしろ『自分は普通の会社員だから……』と思っている女性の方が上手くいくケースが多いですよ」 女性起業家の3割は高卒。大卒が2割程度しかいないことを考えると、学歴はあまり関係がないのかも そうはいっても、人生設計に大きく関わる選択だけに起業に踏み切るタイミングが気になるところ。だがこの点に関しては「やりたいことがある」という明確な意思を持った人や、「今の仕事が嫌だから」という消去法で選んだ人、「どう働きたいかを考えたら起業だった」という自分の生き方から逆算した人など、まさに人それぞれ。 「起業適齢期は一概に何歳が良いとは言えません。どんな風に働き、暮らしたいのかによって選択は変わってくるものだと思います。例えば私の場合、年上の主人が高齢になった時に2人で過ごせる時間を多く作りたいと考えましたが、この希望をかなえるには会社員のままだと難しい。その結果、ビジネスが軌道に乗るまでの期間も含めて逆算し、39歳で起業しました。○歳で起業した人が多いから、という理由ではなく、自分にとってのベストな方法とタイミングを見極めることが大切です」 「若いうちの方が体力もあるし、失敗してもやり直せる可能性もありますが、人脈や経験が足らずに苦労することも多いです」と辻さん 希望の働き方から逆算して考えた結果、会社員として勤める方が良いという結論になることももちろんある。また、起業をしたとしても事業を継続することは簡単ではない。失敗して会社勤めに戻る人が多いのも事実だ。 それでも、辻さんは「起業は悔いのない人生をつくりあげるための最高の方法論」だと言う。 「自分で生き方を選び、やりたいことをしている女性起業家は輝いています。精神的、経済的な自立が得られるのも魅力ですね。大きな負債を抱えないように注意さえすれば、たとえ失敗したとしても良い勉強になったと思えるはず。お金の流れが理解できたり、経営者目線で物事を見れたりと、再度会社員としてキャリアをスタートさせる際にも活かせることはいっぱいありますよ」 起業する女性は特別な存在ではない。さまざまな選択肢の中から起業を選び、日々、私たちと同じように努力して前に進んでいる。起業のハードルは下がっているとはいえ、一度始めた事業を存続させることは決して容易なことではない。ある程度の覚悟と準備は必要だが、やってみたいという気持ちがあるなら、自分の可能性を否定せずに、人生を変える一歩を踏み出してみるのも良いかもしれない。 お話を伺った方株式会社スマップス 代表取締役 辻朋子さん 1968年生まれ。20年の経験と実績に裏付けられた独自の起業家支援メソッドをベースに、女性起業家コンサルタントとして女性を対象とした起業サポートに全力を注ぐ。これまでに起業支援をした業種は30種以上、 講師経験も豊富で、過去3年間に登壇したセミナーの受講生は1500名以上。直近では日経新聞ウーマノミクスプロジェクトの一環である女性のための起業セミナーなどでも登壇。ニュース番組『ワールドビジネスサテライト』『NEWS ZERO』他、さまざまなメディアでその活躍が取り上げられている。女性起業家の会「DearWOMAN」 http://dearwoman-smaps.com/ 取材・文/吉戸三貴 <<画像付きでこの記事を読む

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