全社員の給与を公開?絶対的な信頼関係を育む「透明性」という企業文化

記事画像

世界のテクノロジーの中心地、シリコンバレー。豊富な資産を持つ投資家や、M&Aに積極的な大企業、初期段階のスタートアップの成長を育むインキュベーションなどが集まるシリコンバレーには、多くのスタートアップがひしめいています。優秀な人材はヘッドハントされ、より高い給料や魅力的な待遇を常にオファーされる環境。そこには激しい人材獲得争いがあるのです。 まだ馬力が弱い生まれたてのスタートアップは、それこそGoogleやFacebookといった巨大企業を相手に闘わなくてはいけません。そんな中、会社の理念や文化を深く浸透させ、従業員と強い信頼関係を築くために、「透明性」を追求するスタートアップが増えています。透明性とは、つまり「情報を開示すること」です。 ソーシャルメディアの共有ツール「Buffer」は、「トランスペアレント(透明)であること」を企業理念の一つに掲げています。彼らは、サービス開始の初期から、獲得ユーザー数、売り上げといった数値をすべて公開。また昨年末には、「Introducing Open Salaries at Buffer: Our Transparent Formula and All Individual Salaries」(Bufferの給与公開制のご紹介:僕たちの透明性の方程式と個々人の給与)と題されたブログ記事で全社員の給与を公開しました。個別の給与の額はもちろん、給与算出の計算式、住居の特別手当なども開示しています。 社内だけでなく、社外にも情報を開示することで思わぬ効果があったようです。給与公開に踏み切った後、Bufferには一カ月で2,886件の転職志望者が集まりました。公開前の応募数は1,300件ほどだったので、倍ほど増えたことに。また、ただ数が倍になっただけでなく、より会社の文化に合った人材、本気でBufferにコミットする気がある人だけが集まるようになったといいます。 ここまで徹底して会社を透明な環境にしようとしている、その文化が外からも見て取れることで、中途半端な気持ちで参加をしたり、ごまかしたりすることにためらいが生まれるのかもしれません。他にも、インバウンドマーケティングを簡易化する「MOZ」が、2013年を振り返るブログ記事で獲得ユーザー数、売り上げ、コストといったさまざまな数値を公開。マーケティング・アナリティクスのサービスを提供する「SumAll」もまた、CEOを含む全従業員の給与を公開しています。 企業における透明性へのアプローチについて、BufferのCEOであるJoel Gascoigne氏はこう話します。 “Just do a little bit. Experiment with transparency in a small way. You don’t have to go as far as posting everyone’s salary on the blog. There’s some cool things you could do. I’m emailing who I’m going to meet. We’ve found some really incredible benefits of that. So share something that’s not your most critical information. See how that feels―and just build from there.” 「少しやってみればいい。透明性をまずは小さく実験してみる。何も全員の給与をブログに公開するまでしなくてもいい。できることはいろいろある。例えば、僕は自分が会う人をみんなにメールで教えている。これには素晴らしい効果がある。まずは、手軽な情報からシェアしてみるといい。それをどう感じるかを見て、そこから少しずつ始めればいい。」 以前にこのコラムで、「Glassdoor」という人材系サービスをご紹介しました。このサービス名称は、「透明なドア」、つまり企業の内情を包み隠さず見せるという意味を込めてつけられています。透明性が信頼を生み、信頼が信頼を生み、強いチームワークが実現する。まだ歴史の浅いスタートアップだからできるのでは?と思わずに、まずは身近なチーム単位で試してみると良いかもしれません。

もっと続きを読む