モノが溢れる時代、企業がこぞって提供する「カスタマイズ」の付加価値

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オンラインのストア数が増え、機能が改良され、買い物をする際に「場所」という制約が少なくなった今、世の中はモノで溢れかえっています。本当に欲しければたいがいのものは手に入る時代になりました。 近所のお店にはAしか置いてないけれど、BやCという商品があること、実はそちらの方が人気商品であることは、手元のスマートフォンで瞬時に調べることができます。気になったら、ECサイトのボタン一つで購入。つまり、企業やブランドにとって、消費者に選んでもらうことのハードルは高まり続けています。一方で、消費者は、「大衆のために大量生産された」膨大な数の選択肢に頭を悩ませなくてはいけません。 こんな課題に対して、「カスタマイズ」というオプションで新しい付加価値の提供を試みるサービス・ブランドが増えてきました。ラーメン屋で、麺の太さや茹で加減などを選べるのと同じようなものです。 自分の食の好みに合うヘルシーな食事がデリバリーされる「HealthyOut」、自分好みの靴をセレクトして届けてくれる「Justfab」、男性の全身コーディネートを提案してくれる「Trunk Club」、お勧めの本を毎月届けてくれる「Just the Right Book」、好みのワインを厳選して届けてくれる「Lot 18」。 最近では、商品そのものを自分好みにカスタマイズできるサービスも増えています。自分だけのウイスキーが作れる「Whisky Blender」、ファッションアイテムをカスタマイズできる「Bow & Drape」、世界に一つだけの女性用シューズが作れる「Shoes of Prey」。NIKEのカスタマイズスニーカーや、The North FaceのDenali Jacketなどの有名どころは皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。 人の好みは十人十色。カスタマイズに応じることで商品が売れること以外にも、いくつかのメリットがあるようです。例えば、カスタマイズする過程で集まる情報を顧客ニーズと置き換えて、次の商品企画に役立てる。またカスタマイズは、ブランドに対する顧客のロイヤルティーやエンゲージメントの向上にも一役買っています。 コンサルティング会社のBain & Companyが1,000人のオンラインショッパーを対象に実施した調査では、その10%がカスタマイズを試したことがあり、25-30%が試してみたいと回答しました。 “Our survey showed that those customers who had customized a product online engaged more with the company. They visited its website more frequently, stayed on the page longer and were more loyal to the brand.” 「アンケート結果では、オンラインで商品をカスタマイズしたことがある顧客は、その企業とより深くエンゲージしたことが判明した。企業のウェブサイトをより頻繁に訪問し、滞在時間も長く、またブランドへのロイヤルティーも高まった」 デザインや仕様に自分の希望や好みが反映された商品への思い入れはおのずと強まります。カスタマイズというオプションを提供してファンを育成し、さらにはその周辺にコミュニティーを形成することもできるでしょう。実際、The North Faceでは自分が作った唯一無二のジャケットをSNSでお披露目し、他のユーザーもそれを注文することができるといったファンコミュニティーを盛り上げるための仕掛けを施しています。 大量生産された商品が溢れる状況の中からブランドへのロイヤルティーが向上し、顧客満足度を高めるためにはどの施策を進めるべきなのか。未来を変えるためのそのヒントがカスタマイズに隠されていそうです。

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