思わぬ方向で注目を集めるクローズドSNSの「Secret」

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ソーシャルメディアが普及し、さまざまな人間関係がオンラインに持ち込まれると、「Facebook疲れ」や「ソーシャル疲れ」といった言葉が頻繁に聞かれるようになりました。どこで誰の目に触れるか分からないため、ちょっとしたことを投稿するのにもためらってしまう。そんな流れを受けて、より狭い人間関係にとどめたクローズドなコミュニケーションサービスが台頭しています。 友人の数が最大150人に限定された「Path」、共有した写真が数秒で消えてしまう「Snapchat」は若いティーンエージャーに人気です。日本でも、ソーシャルネットワークのミクシィが、「muuk」と名付けた瞬間自撮りメッセージアプリを3月頭にリリースしました。本当に心を許せる人とだけつながりたい。こうしたサービスはどれも、そんな人たちのニーズに応えるものです。 そんな中、最近海外で注目を集めているのが「Secret」というiPhoneアプリです。iTunesストアの概要説明には、「自分の考えていることや気持ちを友達と共有する新しい方法」とあります。クローズドSNSの概念自体は珍しくないものの、Secretは他とは少し違っています。機能やデザイン、コンセプトに大差があるのではなく、異なるのはアプリのユーザーです。シリコンバレー、広く言えばテック業界のユーザーが、時に秘密を漏らし、時に愚痴をこぼす、業界のゴシップネタの発信地になっているというのです。 具体的な投稿例は、「VALLEYWAG」というテックメディアの記事をご覧ください。こうしたテックサービスは、どうしてもまず一部のアーリーアダプターに使われた後に一般に広まっていくため、たまたまそうした使い方をしたユーザーが重なっただけなのかもしれませんが、実際、ここ最近シリコンバレーで話題になったのが、エンジニアの開発コード共有コミュニティー「GitHub」の女性トップエンジニアの退職話。女性であることを理由にしつようなハラスメントを社員、またその妻からも受けたとして、その実態を「TechCrunch」のインタビューで告白しています。インタビュー記事で参照されているのが、SecretでGitHubの社員が投稿した「彼女の退職に拍手」と題された悪口でした。テック業界のゴシップ誌と化しているという指摘はあながち間違ってはいないようです。 もちろん、Secretで共有されるのはテクノロジー関連のネガティブな内容ばかりではありません。Secretのチームが書いた記事にも、仕事の面接に関する相談や心温まる内容など、ユーザーが自由に思ったことを共有できる場として使われているとあります。また、リリースして2カ月経たずして860万ドルの資金調達に成功。ユーザーのアクティブ率も高いそうで、Secretのサービス上で5人以上の友達を持つユーザーの75%が、アプリを毎日活用しているといいます。 一連のSecretの話を聞いて、Q&Aサービス「Quora」を思い出しました。サービス立ち上げ当初は、Twitterの創設者などが直接質問に回答してくれるとしてアーリーアダプターに騒がれましたが、ニッチなテクノロジー色が濃くなり過ぎて、その後のサービス拡大が難しくなったといわれています。作り手がいくらユーザーの動向を予測し、慎重に設計しても、一度世に出したサービスの使われ方はユーザーの手に委ねるしかありません。SecretやQuoraの例がそれを物語っているといえるのではないでしょうか? また、どのようなサービスも、提供側の思い通りに使ってもらうのは、難しいのかもしれません。今後、Secretがどのような道をたどるのか? その過程に学ぶことがたくさんありそうです。

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