優秀なマネジャーが行使する権力と、それを強化するための4つの方法

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権力という言葉を聞いて、いいイメージを持つ人は少ないのではないでしょうか。 組織内の権力争いが避けて通れない場合も、いざ自分自身が権力を行使しなければならないとなると、多少なりとも後ろめたさを感じるものです。 しかし、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉教授であるジョン・コッターは、マネジャーが効率的に業務を遂行するには、権力を効果的に行使できるようにしなければならないと言っています。 1977年、ジョン・コッターは誤解と混乱が数多く存在するマネジャーの権力行使のメカニズムを、26組織250人の管理職へのインタビュー調査を行うことで明らかにしました。 そして30年以上経ても、ここで解明された「人を動かす力」の原則は変わらず、今でも彼の論文は多くのビジネスパーソンに読まれています。 今回は、優れたマネジメントをする上で必要となる権力について、彼の論文を参考にしながら紹介します。 Power,Dependence,and Effective Management>>記事元 まず、なぜマネジャーは権力を行使しなければならないのでしょうか。そのためにはマネジャーを取り巻く「依存関係」を理解する必要があります。 複雑で機能的になった今の組織において、仕事は一人でできるものではありません。組織の目標を達成するためにマネジャーは上司や部下、他部署の同僚や、サプライヤーなど多くの人たちと協力関係を築いていく必要があります。 ただ残念なことに、あてにしている人たちの時間が限られていたり、そもそも協力する気がなかったりするなど、全員が期待通りに動いてくれるとは限りません。命令や職位上の権力だけでコントロールしようとしても、まずうまくはいかないのです。 その理由は二つ。一つはマネジャーとは公式の権限が及ばない人たちにも依存しなければならない関係が存在していること、もう一つは、そもそも上司の命令であろうと黙って聞き入れ忠実に従う社員などほとんどいないということです。 ジョン・コッターは「他者への依存関係を上手に利用しているマネジャーは、他者に依存している自分を十分認識し、行使できる権力を強化している」と言います。そして、「有能なマネジャーの権力の強化は4種類の方法に分類される」のだそうです。 次にこの権力を強化する4種類の方法を紹介し、皆さんがイメージしやすいように、この権力を上手に行使している典型的な管理者を挙げてみたいと思います。 1.感謝や恩義を感じてもらう 非常にシンプルですが、相手から感謝してもらうような行動を心掛けることで、相手はマネジャーの権力下に置かれてもかまわないと感じます。賢いマネジャーは、自分に恩義を感じ、それに報いてくれそうな者を大切にします。 例えば、「自分の終わらない仕事を最後まで一緒に手伝ってくれた」「失敗をカバーしてくれた」「家族の誕生日を覚えてくれ、気の利いたプレゼントをくれた」などの行為は、その恩義を受けた者にとっては印象深い出来事です。これまで受けた恩義を考えれば、そのマネジャーの力になってもいいと感じるのは自然の成り行きです。 2.豊富な経験や知識の持ち主として信頼される 第二の方法は、特定分野の専門家としての評価を高めることです。豊富な経験とそれに裏付けられた知識の持ち主であると信頼されれば、その分野の仕事では頼られる場面が増えます。目に見える実績があるとさらに有効です。 かつてID野球を提唱した野村克也元ヤクルトスワローズ監督は、まさにこのタイプではないでしょうか。専門的な知見に裏付けされた理論により、当時の選手たちは野村氏に絶大なる信頼をおいていたそうです。 3.「このマネジャーに共感できる」と思わせる 第三の方法は、周囲の人々が知らず知らずのうちに、「このマネジャーとは波長が合う」とか、彼もしくは彼女の考え方に共感できると思わせることです。この傾向が顕著に見られるのは、カリスマ的な指導者を崇拝するときです。 例えば、Appleの創業者スティーブ・ジョブズ氏や、松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏などです。彼らの掲げるビジョンやミッションに、従業員やパートナーはまるで磁力のように引き寄せられ、会社は大きく成長していきました。 4.「このマネジャーに依存している」と自覚させる 第四の方法は、「マネジャーに依存することで助けられ、守られている」と周囲の人々に自覚させることです。人は依存していることへの実感が大きいほど、そのマネジャーに協力しようとするものです。 例えば政治家などが、地元の有権者たちの基盤づくりに使っている行為、というとイメージしやすいのではないでしょうか。故田中角栄氏は「雪国と都会の格差解消」をうたい、地元新潟県に関越自動車道や上越新幹線を整備することで、住民から厚い支持を受けていました。 もちろん、この四つの方法は効果的な場面もあれば、効果の及ばない場面もあります。ただ有能なマネジャーはこうした方法をうまく駆使しながら、自分の権力を確立しています。実は無自覚にこうした方法を選択しているマネジャーも多いのだとジョン・コッターは指摘しています。皆さんも自らの行為を振り返りながら、今後のマネジメントに役立てていただければと思います。

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