家庭用3Dプリンターや専用コミュニティーが後押しする3Dブーム

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一般消費者に広く普及するような大きなトレンドは、早過ぎても遅過ぎても生まれないといいます。例えば、日本では数年前から電子書籍元年といわれ続けていますが、いまだに電子書籍が身近なものになったとは感じません。昨今、次のブームになるだろうと注目が集まるのが3D技術です。数年前には各家電メーカーがこぞって3Dテレビを発売、昨年からは次々と3Dプリンターが登場しています。企業が製品のプロトタイプを作るような本格的なものもあれば、一般家庭用のプリンターもあります。 いくら革新的な素晴らしい技術でも、それによって生活がどう変わるかのイメージをつかむことができなければ、消費者は財布のひもを緩ませることはありません。家庭に3Dプリンターがあることで変わる身近な消費体験の一つはオンラインショッピングではないでしょうか。例えば、新しい眼鏡を購入する場合。2010年に創設された米国のアイウエアブランド「Warby Parker」は、95ドルから度入りの眼鏡をオンラインで提供しています。顔の形や大きさなどで似合う似合わないが決まる眼鏡も、家にある3Dプリンターを使えば実際のフレームをその場で試すことができます。 では、現在3Dプリンターにはどのような選択肢があるのでしょうか。高額なプリンターも数多く出ているようですが、お値段も比較的リーズナブルな家庭向けプリンターを3つご紹介します。 Printrbot Simple 現在最も安価で購入できるのが、299ドルの「Printrbot Simple」です。もともとクラウドファンディングサービスの「KICKSTARTER」で25万ドル(約250万円)を募集したことから始まったプロジェクト。結局1,800人を超える支援者から30倍の約8500万円が集まり、3Dプリンターへの期待の高さを表しています。ただし、プリントできるサイズが縦・横・奥行きは3.5インチと非常に小さく、3Dプリンターを試してみたいユーザーに最適だといいます。3Dデータの転送にはUSBケーブルを要します。 RepRap 自分で組み立てるオープンソースの3Dプリンターが「RepRap」です。パーツを組み合わせて自分でパソコンを組み立てるように、この3Dプリンターは必要なパーツを自由に追加できます。最低限の3Dプリンターさえ組み立てれば、残りのプラスチックのパーツはそれを使って3Dプリントで作ることができます。初心者には、「Prusa i3」を推奨しています。オープンソース製品の素晴らしい点は、そこに必ずその活動を支援するコミュニティーがあること。何かを発見してはユーザー同士が共有するため、RepRapのWikiのページは常に更新され続けています。 RepRapPro Mendel printing another RepRap from Adrian Bowyer on Vimeo. Solidoodle ニューヨークのブルックリンを拠点とする「Solidoodle」は、499ドルから購入できる3Dプリンターを提供しています。組み立ての必要はなく、届いた3Dプリンターをほぼそのまま使うことができるのが利点。縦・横・奥行き6インチまでの大きさを3Dプリントできます。SolidoodleのCEOは、同社を立ち上げる前から3D技術の世界で有名なMakerBotでCOOを務めていたり、さらにオハイオ州の3DプリンターメーカーのMakerGearなどに在籍しており、それらの経験を生かしてSolidoodleを立ち上げたようです。 3Dプリンティングの普及を後押ししているのが、専門のコミュニティーです。例えばMakerBotの「Thingiverse」は、3Dプリンティングに必要なCADファイルをデザインしたり、成果物を共有したりできるサイト。また、「Shapeways」は世界最大規模の3Dプリンティングのマーケットプレイス。ユーザーは自分がデザインしたガジェットやジュエリーなどの商品を販売することができます。 クリス・アンダーソンは、自身の著書「MAKERS」でメイカーズというムーヴメントについてこんなふうに書いています。 “The Maker Movement is the web generation meets the real world. It is all of these community and collaboration and innovation models of the web but applied to physical things. ” メイカーズムーヴメントとは、ウェブ時代とリアルな世界が混じり合うこと。ウェブのコミュニティー、コラボレーション、イノベーションなどのモデルがリアルの物に適応されたものだ。 誰の家にもコンピューターがあり、誰もがスマートフォンを持つように、一家に一台、3Dプリンターがあるような時代が近々訪れるのかもしれません。少なくとも、これまで一部の特殊技術を持っていた人にしか可能ではなかった物づくりが、誰の手でも実現する時代が到来したようです。

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