目標設定することで生じる副作用とそれを克服し、成果を挙げる方法とは?

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年が明け、新たな一年に向けて目標を立てた方も多いでしょう。今回はその目標設定について、海外の興味深い文献を参考にお伝えしたいと思います。 「目標を立てる」このフレーズは、幼少期から何度となく聞かされたフレーズで、誰もがその大切さを知っています。イチローやサッカーの本田圭佑が小学校のときに書いた文集の例を挙げるまでもなく、できるだけ具体的に大きな目標を立てることが奨励されています。 しかし、アメリカのコンサルタント、ピーター・ブレグマンはこうした目標を立てることが成功への第一歩とする昨今の風潮に対して問題提起をしています。 Consider Not Setting Goals in 2013>>記事元 彼が着目したのは、目標設定の仕方ではなく、目標を立てることで生じる副作用についてです。 彼は、2009年に発表されたハーバード・ビジネススクールのワーキング・ペーパー「目標を設定することの副作用(Goals Gone Wild)」からこんな事例を引用しました。 Goals Gone Wild: The Systematic Side Effects of Over-Prescribing Goal Setting>>記事元 自動車修理工場を経営するシアーズは、生産性を高めるため、1時間当たり147ドルの利益を上げよというゴールを設定した。これで生産性は高まったのだろうか? 答えはイエスだ。ただしこれは多くの修理工たちが、顧客に対し水増し請求を行ったものだった。 フォード・ピント事件を覚えているだろうか。この車は追突されると発火する(ガソリンタンクがバンパーに隣接しすぎていた)という欠陥を抱え、53人の死者と多数の負傷者を出した。これは、リー・アイアコッカが1970年に設定した大胆な目標―重量2,000ポンド以下、価格2,000ドル以下―を追求した結果、技術者が安全点検を怠ったことによるものだった。 私たちは、できるだけ具体的で測定可能な目標と期日を設定せよ、と教えられていますが、こういった具体的な目標設定こそが裏目に出るとブレグマンはいいます。上記の事例のように具体的で測定可能、さらに期限が決まった目標は、行動を制限してしまうばかりか、不正行為や近視眼的な行為を誘発してしまう可能性を指摘しているのです。ブレグマンは目標を設定する代わりに、「重点領域」を明確にすべきだと説いています。 目標設定は、何を達成したいかを明確にするものだ。一方、重点領域を定めることは、どの行動に時間をかけたいかを明確にする。目標は結果であり、重点領域はプロセスであるともいえる。目標はあなたが目指す未来を示すものだが、重点領域はあなたを現在に集中させる。 もう少し具体的に目標と重点領域の違いを説明します。例えば販売における目標は、収益額や、新規顧客の獲得数などでしょう。オペレーションの目標であれば、コスト削減の金額を明示するかもしれません。 一方、重点領域は販売であれば、「適切な見込み客との会話を増やすこと」などといった表現になるでしょう。またオペレーションであれば、「コスト削減を進めたい領域を明らかにすること」かもしれません。 当然ながら、目標と重点領域は相反するものではなく、両方設定することも可能です。しかし目標を設定せずに、重点領域のみに焦点を当てるメリットがあるといいます。 重点領域は、あなたの内発的な動機を引き出す。刺激やインセンティブを与えてだましたり、不要なリスクを取らせたりすることはない。可能性や機会を少しも閉ざすことはなく、コラボレーションを促進する一方で、無意味な競争を抑制する。あなたや組織は最も重視すべきことを推進しながら、これらのメリットを享受できるのだ。 言い換えるのなら重点領域は、目標設定と同じ効果を、副作用なしで提供できるということになります。続けてブレグマンは重点領域の設定の仕方を解説します。 その方法はシンプルだ。あなたが時間を費やしたいと思えることを特定し、実行する。あるいは上司と協議して、あなたが最も時間を費やすべきことを明らかにする。それ以外のことは、流れに任せる。私が試したところでは、5項目を超えると焦点がぼやけて散漫になってしまう。 ここでのポイントは、取り組みの「結果」について思いをはせるという誘惑に打ち勝つことだ。結果にこだわらず、やがてうれしい驚きが訪れるのを待つのだ。これはシンプルだが、簡単なことではない。私自身、目標に焦点を当てるのをやめようと試みるまで、どれほど自分がそれにとらわれていたかまったく気付かなかった。目標がなければ、何かを成し遂げられると信じることすら難しかった。 しかし、成し遂げることはできる。私の経験では、目標を設定した場合と少なくとも同じくらいの成果を挙げられる。しかも、そのプロセスを存分に楽しみ、不要なストレスや誘惑を退けることもできるだろう。 いかがでしょうか。これまで当たり前に行っていた目標設定に副作用はありませんでしたか? これまで思うような目標達成ができなかった方、今年はブレグマンの提唱する「重点領域」を設定するという新たな視点を取り入れてみてもいいかもしれません。

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