海外の企業が取り組み始めた知識労働の再定義

記事画像

今、欧米の一部の企業や団体では、社内の優秀な人材が取り組むべき仕事の見直しを行っています。貴重な人材である彼らには、他の人ができる仕事は任せず、彼らにしかできない仕事に時間を使えるようにしています。職務を再定義したり、専門知識を持つ外部パートナーを利用したりするのです。 マッキンゼー・アンド・カンパニーのマーティン・デューハーストらのまとめたレポートを参考にいくつか具体的な例を挙げてみましょう。 「Redesigning Knowledge Work」>>記事元 サンフランシスコにある法律事務所オリック・ヘリントン・アンド・サトクリフは、メンバーが行っていたルーチンワークである証拠開示手続きを、もっと安い報酬の弁護士が在籍するウェストバージニア州のサービスセンターに移した。 インドのバンガロールにあるラーヤナ・フリーダイヤーラヤ病院は、術前準備と術後の胸部縫合といったルーチンワークを、若い外科医や助手に担当させている。執刀するベテラン心臓外科医が手術室に入るのは、患者の胸部が開かれ、心臓手術の用意が整ってからである。このやり方により、アメリカと変わらない手術時の死亡率と感染率を誇りながら、アメリカの病院の数分の一の費用で治療することができる。 イギリスでは、予算編成、人事、施設の保守、地域交流といった管理業務から学校の校長を開放し、教育育成にかけられる時間を増やそうとする公立学校が増えている。 今日の知識経済において一部の業界では、こうした特別で真似のできないノウハウこそ競争優位の源泉となっています。ただし問題は、あらゆる企業に十分に行きわたる数の知識労働者がいないことです。 マーティン・デュハースらの調査では、スキルの高い大学卒労働者の不足数は2020年までに世界全体で3800万~4000万人と、需要の13%に達する可能性があると指摘しています。 こうした状況に対して、一部の企業では研修プログラムを充実させ、人材の底上げを図ろうと試みています。しかしさらに先を行く企業は、社内のエキスパートの仕事を再定義して、その業務の一部をよりスキルの低い組織内外の従業員に移し、戦略的に重要でない仕事をアウトソーシングしています。 マーティンらが、これまで5年間、さまざまな業界の50社を超える企業へ調査を行った結果、価値の高い知識労働を再定義すると、スキル不足の解消のみならず、コスト削減や仕事の満足度の向上につながることが判明したのです。 では、どのように知識労働を再定義すればよいのでしょうか。彼らの発表した論文にはこう書かれています。 再定義をする際にはまず、社内のスキルを洗い出す。5年先を見据えて必要となる必須スキルを明確に定義し、現状とのギャップを把握する。さらに時間配分調査、ソーシャル・ネットワーク分析、結果や価値の分析などにより、スキルの活動実態を把握する。その上で、職務を再定義し、知識労働者が有効に時間を使えるように、コストの低い場所や人材に一部業務を移管する、アウトソーシングを活用するなどのオプションも検討する。新しい働き方に合わせて、知識活用、協働や連携の支援など、人材育成のあり方を全面的に見直すことも必要である 例えば時間配分調査などを行うと、ある銀行では営業担当者が販売に割く時間がたった25%しかなく、残りの時間は契約書の書き直しや注文処理などの管理業務に費やされていたようです。 皆さんは、競争優位の源泉となる知識労働にどれだけ時間を使えていますか?優秀な人には知識労働を、そうでない人にはルーチンワークを。大胆かつ明確な二極化が進む今、特別で真似のできないノウハウやスキル身に付け、自身の価値を高めていかなければ、評価されない世の中にますますなっていくでしょう。

もっと続きを読む