ここに注意せよ!ライバルとの競争の裏に潜む落とし穴

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あなたにはライバルといえる存在はいますか? 競合企業と猛烈なシェア獲得合戦に力を注いでいる人もいれば、隣の営業部署の売上が気になるマネージャー、また初受注を競い合う新入社員など、ビジネスにはライバルとの競争がつきものです。 そしてライバル関係は、お互いの成長意欲をかき立て、業績にも好影響をもたらすようです。 例として挙げるなら、マイクロソフトのビル・ゲイツと、アップルのスティーブ・ジョブズや、日本企業であればキリンビールとアサヒビール、大日本印刷と凸版印刷、吉野家と松屋フーズなど、思い浮かぶライバル関係は多いでしょう。 ニューヨーク大学経営大学院スターンスクールの調査によると、陸上競技者はレベルが同程度のライバルがいるとパフォーマンスが上がり、ライバルがいない場合と比べて1キロメートルあたり5秒タイムが短くなるといいます。 また、イギリスのある団体の調査によると、競い合う二つのチームのうち、一つのチームがやる気をなくすようなネガティブな発言を相手チームに発したところ、そのチームは「そうではないことを示そう」と、モチベーションがさらに高まることが分かりました。 しかし、手放しにライバルとの競争を礼賛するには注意が必要です。 競争心がモチベーションとなって行動する人は、それ以外の人、たとえば克己心などをモチベーションにする人に比べ、いい結果が残せないという研究結果もあるようです。 例えば7歳から11歳の女の子を集めて二つのグループに分け、それぞれにコラージュ(新聞、布切れ、ビーズなどを画面に貼り付ける絵画)を作ってもらいます。一方のグループにはこれは競争であると言い、もう一方のグループには何も告げず自由に作らせました。そして出来上がった作品を、プロの芸術家たちに評価してもらいます。その結果、競争した子どもたちの作品の方が単純で、自由な発想に欠け、「条件を与えられなかったグループよりも、驚くほど創造性が低い」ことが分かったというのです。 競争はときに、仕事の質を低下させる可能性もあるようです。テキサス大学のロバート・ヘルムライク教授は、自然科学の分野で博士号を持つ人100人以上の著作を調べた結果、専門分野への興味や自分で決めた目標を重んじる研究者のほうが、競争を重んじる研究者よりも、質の高い仕事が多いということが分かったといいます。 ヘルムライク教授によると、航空機のパイロット、予約代行業などそのほか九つの職業でも、同じパターンが見られたとのことです。 こうした事例は、ライバルとの競争に勝つことが目標になってしまい、本来目指すべき大きな目標を見失ってしまうという競争の落とし穴を表しています。日々の競争の中で、自分たちはそもそも何のために戦っているのかを、再確認することが大切です。 こうした競争の落とし穴に陥らない「正しい競争」が実践できる人・企業こそ、新しいイノベーションを生み出しているのではないでしょうか。

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