ハーバード・ビジネススクール名誉教授が明らかにしたマネジャーとリーダーの異なる仕事観

記事画像

マネジャーとリーダーの違いは? と問われると何と答えますか? 最近は両者にまつわる書籍などもたくさん出版されているため、異なる存在であることは理解している方も多いと思いますが、明確にどこが違うと問われると、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか? 組織において、マネジャーもリーダーもどちらも重要な存在でありながら、その仕事観や人間関係のつくり方は全く異なるものだと唱えた人物がいます。ハーバード・ビジネススクール名誉教授であるアブラハム・ザレズニック氏です。精神分析家でもある彼は、心理学の知識と実証研究を通じて、その違いを明らかにしました。彼の文献は1977年に発表したものにもかかわらず、いまだにその内容は多くの研究者たちに高く評価されています。 今回はザレズニック氏の文献を参考にしながら、マネジャーとリーダーの違いを紹介します。その両者の違いを理解することで、自分の適性が見えてくるかもしれません。 まずは彼の文献から主なポイントを整理し引用します。 Managers and Leaders: Are They Different?>>記事元 仕事観が異なる マネジャーは、戦略を立案し、意思決定を下すため、メンバーのアイデアを結びつけ、問題解決を図るのが仕事であると考えています。代替案についての検討をしたり、議論がかみ合わない場合は、それを収めたり、緊張を緩和したり。その際、交渉して、約束を交わすだけでなく、アメとムチを使い分けるなど、さまざまな手段を用います。マネジャーは、問題解決のため、たえず反対意見を調整しながら、バランスを図る必要があり、矛盾する価値の間で妥協案が受け入れられるように権力を行使していくのです。 一方、リーダーは正反対のやり方をします。マネジャーはメンバーのとるべき選択肢を制限しますが、リーダーはこれまでには検討されなかった新しいアイデアを導入し、新たな選択肢をメンバーに提示します。大切なのは、そのアイデアが、メンバー自身がやってみたいと思えるような具体的で力強いものであることです。つまり、いったん現状のやり方を無視して、新たな魅力的なアイデアを持ち込み、そこにメンバーを巻き込んでいくというスタイルです。 現状の問題に対して打開策が見つからないとき、リーダーの持ち込むアイデアは大変貴重になりますが、同時にリーダーはきわめて高いリスクが伴う選択肢をしがちであり、あえて冒険をしたがる傾向もあるようです。マネジャーの場合はあえてリスクを冒すような冒険を控え、平凡で現実的な行動をとりがちです。 人との付き合い方が違う マネジャーが関心があるのは、仕事が今後どのように進んでいくかであり、そのために必要な情報伝達ができるような人間関係を築きます。その仕事が円滑に進むために、苦手な相手にも忍耐強くコミュニケーションを図っていく必要もありますが、優秀なマネジャーはどんなメンバーからも評価されることが多いようです。 一方、リーダーが関心があるのは、個人が持っているアイデアや考えです。何らかのアイデアにリーダーが興味を抱いているとき、深く感情移入して人間関係を築いていきます。逆にアイデアや考えを持っていない人に対しては、リーダーの思いやビジョンを熱く語りかけ、その心に火をともすことに力を注ぎます。 人格特性が違う 環境になじんでいると感じるか、それとも孤立していると感じるかによって、マネジャーやリーダーのキャリア開発は大きく左右されるようです。 マネジャーの場合、自らを秩序の維持者あるいは調整者と考えます。その秩序があるからこそ、自分は一個人として正当化され、報酬にあずかることができると考えているのです。マネジャーは調和を重んじ、自分と周囲と一体化していく特性があります。 リーダーは、自分は周囲から孤立していると感じる傾向が見られます。彼らは組織の中で働いても、決して組織に帰属することはありません。自分がどんな会社に所属し、どんな仕事をしているか、それを世間はどのような目で見ているか、というようなことは気にしていません。そうした特性を持つ彼らだからこそ、調和を乱しても、問題解決のために大胆に変革していくことを厭わないのです。 『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』(日本経済新聞出版社) の著者として有名なマーカス・バッキンガム氏も「マネジャーとリーダーは100%異なる」と言っています。彼は以下の質問をするとマネジャーとリーダーは全く違う回答をするといいます。 「あなたが仕事について思い浮かぶものは何ですか?」 部下の一人一人が浮かんできた人、上司や社長が浮かぶ人もいるでしょう。また、チームが目指す目標や将来の姿が浮かんできた人もいるでしょう。 バッキンガム氏は言います。 「リーダーの役割とマネジャーの役割は100%異なる。責務が違う。出発点が違う。それぞれに秀でるために必要な才能も違う。そして単に異なるのではなく、実は正反対なのである」 先ほどの質問で、真っ先に部下が思い出された人は「マネジャー」です。 バッキンガム氏が多くのインタビューを行った結果、優秀なマネジャーは皆、教育本能を持っていたそうです。状況がどうあれ、彼らが最初に考えるのは常に部下一人一人に関わること、その部下の成功を助けるために何ができるかということを考えるのだそうです。 一方、部下ではなく、チームの目指す目標や将来の姿が浮かんだ人は「リーダー」です。 「リーダーは未来に引かれるということだ。リーダーは変化を待ちかね、進歩を待ちわび、現状に強い不満を抱いていてこそ、初めてリーダーなのだ」 とバッキンガム氏は語ります。 優れたリーダーは、未来は今より良くなることを心の底から信じ、それを実現するためにできることは何でもします。そして、表面上はともかく決して謙虚ではなく、「オレがやらねば誰がやる!」というくらい、描く未来を実現するのは自分しかいないと信じています。 さて、あなたはマネジャー、リーダー、どちらでしょうか?

もっと続きを読む