ユーザーの日常的な行為に着目し、コンビニ募金と同じくらい「寄付」を手軽に

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つい最近、ブラジルから来た起業家でデザイナーのマリアという女性に出会いました。起業家やスタートアップなどに特化したQ&Aサイト「Quora」で、日本のスタートアップ環境に関する私の回答を見つけて連絡してくれたのです。 米国のIT系ニュースなどを読んでいても、ブラジルのスタートアップに関する記事を以前より頻繁に見るようになりました。実際、2011年に幕を開けた政権交代の影響もあってブラジルのIT環境が整ってきたとマリアは話してくれました。一部の人のものだけだったテクノロジーがより広く普及したことで、国内にITサービスの市場が出来上がったのです。そんなブラジルの起業家の多くが、社会企業家と呼ばれる人たちで、ブラジルが抱える様々な社会問題の解決を試みています。 このソーシャルグッドの分野への注目は何もブラジルに限った話ではありません。ITサービスのメッカである米国を中心に、より身近で気軽に善意を行うモバイル系のサービスが増えています。 Instead iPhone向けアプリ「Instead」は、そのアプリのUIやコンセプト共にとても優れています。Insteadという言葉が物語るように、人々の日常的な行為を、より社会や環境のためになる行為に置き換える。例えば、通勤途中に買う一杯のコーヒーを一日我慢する、外食の代わりに自炊するといったことで、3~5ドルが対象NPOに寄付されます。小さなことから始めようという気持ちにさせてくれる素敵なアプリです。 Donate a Photo TwitterやFacebook、Instagramなどで共有されるコンテンツの多くは、写真が占めています。ジョンソン・エンド・ジョンソンの取り組みである「Donate a Photo」では、写真が一枚投稿されるごとに、ユーザーの選んだ慈善事業に対して1ドルが寄付されます。これまでに6万件近い写真が投稿されており、女性の社会進出や公共公園の修復などの慈善活動が実行されています。 Budge 特定の場所までどちらが早くたどり着けるか競争したり、かき氷の早食い競争をしたり、おかしな文言が書かれたTシャツを1日中着ていられるかを賭けてみたり。友達とのちょっとした悪ふざけを寄付につなげるのが、ニューヨーク発の「Budge」です。賭けに破れた人は、あらかじめ決めておいた金額を、勝者の選んだ団体に寄付するのです。Budgeの共同創業者であるHillan Klein氏は、VentureBeatの取材に対してこんなふうに話しています。 “Budge was born out of our vision that giving to charity should be a fun and super easy process. With this goal in mind, we set out to build a new culture in charitable giving specifically aimed at Gen Y by combining social gaming with microdonations. We want to educate people that it’s okay to give in small amounts ― casual deeds can truly have a meaningful impact.” Budgeは、寄付することがどこまでも簡単で楽しいプロセスであるべきだという僕たちのビジョンから生まれた。このゴールを見据えて、ソーシャルゲームと小額寄付を組み合わせることで、特にジェネレーションY(編集部注:米国で1975年から1989年までに生まれた世代のこと)に向けた慈善事業への寄付文化を構築したいと思っている。小額の寄付で十分だということを全ての人に教えたい - カジュアルな行為こそ、価値のある大きなインパクトをもたらすことができるのだから。 Charity Miles 運動の中でも特に手軽なマラソンやウォーキングを日課にする人も多いでしょう。自転車で走ると1マイル10セント、ウォーキングとランナーは1マイル25セント。ユーザーの走ったり歩いたりする距離に応じて、スポンサー企業が特定の慈善事業に寄付するアプリが「Charity Miles」です。日本国内にも、「Road+(ロードプラス)」といった同様のアプリが存在します。運動する人にとって、距離以外の新たな目標設定やモチベーションになりそうです。 Feedie 「Feedie」は、プログラムに参加するレストランやカフェの写真を投稿することで、南アフリカの学校に通う子どもたちに食事が寄付されるアプリです。南アフリカでは、65%もの子どもが貧困に苦しんでいると言います。今のところ参加店はニューヨークのみですが、食事の写真を撮ることでお店を販促し、そのリターンとして空腹の子どもに食事が渡るシンプルな仕組みです。 One Day 今年の8月に正式リリースされたGoogleの「One Day」は、ユーザーに1日1ドルの寄付を促します。寄付を受ける団体は、集まった資金の活用方法を1ドル単位で明示し、透明性を保っています。サービスの利用に際して発生するのは決済手数料の1.9%のみ。10ドル寄付した場合、9.81ドルが慈善事業に渡ることになります。小額寄付を集めることに加えて、慈善事業について、外部SNSに共有してプロモーション面でも支援することができます。 Free Rice 語学学習と寄付を組み合わせた取り組みが、「Free Rice」です。WFP(World Food Program)が運営しており、内容は非常にシンプル。4択の英単語のゲームに正解するたびに、10粒のお米が寄付されます。Free Riceのプロジェクトは2007年の10月に始まり、初日に寄付されたお米の数は830粒。これまでに、82億粒以上のお米が寄付されています。 人を助けたいという根幹的な善良な心に応えるには、そのソリューションもシンプルであるべきなのかもしれません。そのため、ユーザーに新しい習慣を強いるのではなく、あくまで人々の日常的な行為をもとにサービス設計されているものが目立ちます。日本ではまだまだ一般的とはいえないオンライン寄付ですが、こうしたサービスによって、コンビニ募金に小銭を入れるくらいの感覚で寄付することができる世の中になっていくでしょう。

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