ウェアラブルが変える私たちの未来

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2012年10月に発売されたクリス・アンダーソンの著書「MAKERS(メイカーズ)」は、これから「ものづくり」の時代が到来することを示唆し、その流れに拍車をかけました。大がかりな仕組みがなくても、誰もがMakersになれる。実際に、たった一人で製造から組み立て、発送までをこなすBsizeのデスクライト「Stroke」のようなプロダクトが生まれています。また、アプリやウェブサイトなどオンラインで完結するものではなく、プロダクト開発に取り組むスタートアップも増えています。 身近な日本の例でいうと、歩道走行が可能な次世代パーソナルモビリティにチャレンジする「WHILL」。「Coiny」は米国「Square」の日本版ともいえるサービスで、スマートフォンでクレジットカード決済を可能にします。また、“電力の見える化”に取り組むSassorの「ELP」は、既にSoup Stock Tokyoに導入され、活用されています。そんな流れの中で、特に注目を集めているのが、「Google Glass」や「Telepathy One」などのWearables(ウェアラブル)です。スマートフォンに頼ることなく、情報の受発信を行うことができます。 ウェアラブル分野でもっともプレイヤーが多く存在するのは、ヘルスケア関連です。身につけるだけで、身体に関するさまざまなデータを収集してくれる。これまでのスマホアプリの時代では、食べたもの、走った距離、就寝や起床時間などのデータは、どれもユーザが能動的に入力する必要がありました。アプリを起動して、操作手順にそって必要情報を登録する。この“わざわざ”の行為を取り除き、身につけるだけで自分の身体にまつわるデータが蓄積されていく。自分の身体の状態をより把握することで、生活習慣の改善などにもつながることが期待されています。 こうしたウェアラブルの代表には、特にスポーツマンに人気の「Nike Fuelband」や、歩数を含む活動量を測定する「Jawbone Up」などがあります。どちらもデータの収集をウェアラブルで行い、その閲覧などは専用のスマホアプリで確認できる仕組みです。Jawbone Upは、最近周囲にも身につけている男性が増えたように感じます。こうしたウェアラブルの多くが、APIを公開するなどしてオープンなプラットフォームを目指しています。iOSやAndroidなどのスマートフォンのプラットフォームと同様に、エンジニアがデバイスの枠組みの上でさまざまなアプリケーション開発ができます。 ウェアラブルは、PCの時代を越え、さらにはスマートフォンの時代をも越えて、今後私たちの生活に浸透していくのかもしれません。5月末、ウォール・ストリート・ジャーナルによって開催されたAll Things Digital Conferenceで、Appleのティム・クック氏はウェアラブルの可能性について話しています。これから多くのプレイヤーの参加が期待される重要なテクノロジー領域ではあるものの、ティーンエイジャーや若者には、時計をする習慣がもはや存在しない。彼らが常に持ち歩くのはスマートフォン。腕に何かをつけるという新しい習慣を取り入れてもらう必要がある、と。まさに、“Everything old is new again”(流行は繰り返す)でしょうか。 You first have to convince people it’s so incredible, you want to wear it. まず、その素晴らしさに納得してもらい、つけたいと思ってもらうことが必要。 ウェアラブルが浸透した時代に、私たちの生活はどうなっているのか。そんな少し先の未来を思い描きながら“いま”を考えることに、新しいヒントやアイディアがあるかもしれません。

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