デジタル遮断、小さなデジタルデトックスのすすめ

記事画像

最近、海外のオンラインメディアで頻繁に目にするのが「デジタルデトックス」という言葉です。スマホ、PC、タブレット、テレビ、ありとあらゆるデジタルデバイスを取っ払い、完全にオフの状態を楽しむことを指します。英語版Wikipediaによると、1994年頃に始まった「Screen-Free Week」というちょっとしたイベントが由来のようです。子どもや家族、学校などのコミュニティが参加し、当初の「スクリーン」、つまりテレビから離れることを推奨するものでした。これまでに、世界中で70カ国以上が参加してきたとあります。 Turn off screen and turn on life. スクリーンを消して、人生のスイッチをつける というキャッチフレーズにも表現されるように、一定期間、テレビというエンターテインメントをシャットオフし、読書や自然探索、また家族と時間を過ごす。いったん生活からデジタルを切り離すことで、心身を癒してリフレッシュする、という効果が見込めそうです。 今ではデジタルデトックスという言葉のほうが普及し、デジタルという言葉には、現代人が日常的に触れるあらゆるデバイスが包含されています。デジタルデトックスにここまでの注目が集まるのは、多くの現代人がそれを必要としているからでしょう。雑誌「TIME」が実施したグローバルな調査結果からも、現代人を悩ます問題の深刻さがわかります。 ・回答者の84%が、携帯なしには1日たりとも過ごせないと回答 ・アメリカ人の50%は、携帯を枕元に置いて眠りにつく ・回答者の20%が、毎10分ごとに携帯をチェックしている また、平均的なアメリカ人は、1日に100,500語以上の単語に接しているという結果もあります。ニューヨーク・タイムズの記事(紙版)の平均単語数は、1,200語だそうです。単純計算すると1日に何十本という記事を読んでいることになります。 TIMEの調査は、アメリカ、イギリス、韓国、中国、インド、ブラジルなどの国々を対象としたものですが、日本の状況も大きくは変わらないでしょう。 デバイスや、TwitterやFacebookといったSNSなどの情報ツールの遮断を、人々はさまざまな方法で試みているようです。誘惑を家の戸棚にしまいこんで、自力でデジタルデトックスを実施するジャーナリストのMark Hooperのような人。Huffington Postにも、有名起業家が実践するデジタルから離れたオフ時間の設け方などが紹介されています。また、デジタルデトックスをなかば強制的に実行するための、泊まりこみキャンプも開催されています。The Digital Detoxという団体が開催するCamp Groundedというイベントや、アイルランドにはデジタルデトックスの宿泊プランを用意するホテルもあるようです。 海外のレストランやサービスには、デジタル機器をギブアップした人に特別割引を提供するようなところも出てきています。メキシコやコスタリカでヨガキャンプを開催するVia Yogaでは、キャンプ中、iPhoneをお店に預けたお客さんに15%のディスカウントを提供。またロサンゼルスのEvaというレストランでは、食事中にスマホをお店に預けたお客さんには5%のディスカウントが適用されます(残念ながら、このレストランは店じまいしてしまった模様…ディスカウントが響いたのでしょうか)。 せめて仲間と飲んでいる最中は、スマホではなく会話に集中しよう。そんな発想からつくられたアイデア商品もあるようです。ブラジルの、とあるバーに導入されているのが、底が一部かけた「The Offline Glass」というビールグラス。テーブルに置いたiPhoneやスマホの上にビールグラスを置かないと傾いてしまうのです。ビールをこぼしたくなければ、iPhoneをテーブルに置かざるを得ない。なかなかユニークなアイデアです。 最近読んで印象的だったのが、“How Instagram Almost Ruined My Life”という記事。息をのむほど美しい夕日を前にして、またバージンロードで純白のドレスに身を包んだ花嫁を前にして、私たちが真っ先にすることはスマホを取り出すこと。なんでもかんでもデジタルに残そうとすることで、人生を台無しにしていないか?と注意を喚起しています。日々摂取しつづけて消費しきれない情報量をデトックスするという意味でも、また目の前の瞬間を大切にするという意味でも、デジタルデトックスは多くの現代人にとって必要なものなのかもしれません。 2010年、フォロワー数370万人のTwitterアカウントを一瞬で抹消した人気歌手のジョン・メイヤー。彼は、最後にこうつぶやきました。 What does this button do? このボタンを押すとどうなるの? こんな潔いことはできなくても、デジタルデトックスには人それぞれのアプローチがあるはず。無理のない小さなデジタル断ちを重ねていくことで、失うもの以上に得るものがあるような気がします。「do nothing for 2 minutes」というウェブサイトでは、流れる波音に耳を傾けて、たった2分間だけ、マウスやキーボードを一切いじらないことがルールです。どこから始めたらいいか分からないという人は、まず2分間のデジタルデトックスをしてみませんか。

もっと続きを読む