大人気の写真共有アプリ「Snapchat」が生んだ“自己消滅”のトレンド

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A lot of times, people do not know what they want until you show it to them. 「目にするまで人は自分の欲しいものが分からない」というのは、亡きスティーブ・ジョブスの有名な言葉です。でも、一度それを渡されると、どこまでも創造性を発揮するのもまた人ではないかと思います。スマートフォンが普及したことで、誰もが日常的に写真を撮るようになりました。写真は思い出を記録していくもの。ところが、そんな当たり前を覆して人気を帯びているのが“Self-destruct”(自己消滅)と呼ばれる機能です。 このSelf-destructの人気に火をつけたのは、2011年9月にリリースされた「Snapchat」と呼ばれる写真共有アプリ。スタンフォード大学の学生が開発したアプリで、写真が開封されると10秒以内に写真が自動消滅するというもの。写真は残すものという既成概念を覆して、米国のティーンエイジャーを中心に爆発的にヒット。2012年末には動画を共有する機能もリリースしています。 毎年話題になるウォールストリートの証券アナリストであるメアリー・ミーカーの最新の動向レポート「Internet Trends 2013」でも、ビジュアル・ウェブの代表的サービスとしてSnapchatが挙げられています。以下、ニューヨーク・タイムズの記事から抜粋してご紹介します On average, more than 500 million photos are shared each day. Snapchat is leading the charge, with Facebook and Instagram following closely behind. Snapchat has doubled its usage in the last two months and the company’s success is interesting because none of the content that flows through the private messaging application is tagged or findable. That’s a secular move from a generation that has uploaded everything. 毎日平均5億枚の写真が共有されていて、その中の代表格がSnapchat。FacebookやInstagramも追い上げている。Snapchatの利用率は過去2カ月で倍増しており、この成功が興味深いのは、そのクローズドなメッセージアプリで共有されるコンテンツが何ひとつタグ付けもされていなければ見つけることもできないこと。何もかもをアップロードしていた世代からの大きな変化である。 NYTimes.com/Mary Meeker Peers Into the Future of Mobile, Wearables and Facebook>>記事元 残すための共有ではなく、限られた時間だけの共有が新たなトレンドになりつつあり、Snapchatのほかにも同様のサービスが登場しています。一度メールが開封されると自動的にその内容が消滅する「Burn Note」。管理画面やファイルのパスワードを共有する際に、Eメールで残すことに不安を感じた開発者自身の体験から生まれたサービスです。また、写真、テキスト、動画などを対象に、送信した内容が自動消滅する世界156カ国で提供されるiPhoneアプリ「Wickr」。Snapchatが写真を中心に友達同士で遊び心のある使い方をされるのに対して、Wickrはスクリーンショットなどを防止する機能を搭載し、安定した安全性を特徴としています。同アプリはまた、DropboxやGoogle Driveのコンテンツも同様に送信することもできます。 Snapchatの一番の競合だと騒がれるのが、2012年末にFacebookがリリースした「Poke」というスマホアプリ。送った写真、動画、Poke、メッセージはどれも数秒間で消滅します。SNSの巨人が、波に乗るSnapchatを後追いした形ですが、Facebookにしてみれば、ユーザの人間関係の中でも特に親しい友人を把握することにつながるという利点がありそうです。 またTwitterでも同様のサービスが登場。つぶやきを自動消滅させることができる「efemr」が2013年4月にリリースされました。サービス名のefemrは、「はかない」、「つかの間の」といった意味の“ephemeral”という言葉に由来するもの。Twitterのアカウントでefemrにログインしてつぶやく際に、#5m(5分)や#1h(1時間)などとハッシュタグを追加することで、指定した時間が経過するとつぶやきが自動消滅する仕組みです。 つぶやきから写真まで、残しておくものというこれまでのあり方をまったく変えるSelf-destructのトレンド。確かに、人のスマホのカメラロールに入っている写真のうち、SNSなどのオープンな場で共有されているものはごく一部ではないでしょうか。思わず笑ってしまうおかしな写真を、自分のスマホの画面で一瞬だけ友達に見せるような悪ふざけはしたことがあるような。Snapchatは、そんな潜在的なニーズにうまく合致したのかもしれません。新しい芽のヒントは、私たちの日常にこそ隠されているのかもしれませんね。

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