やりたい仕事探しのわな、そして幸せな職業人生を勝ち取る大切な姿勢とは

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先日、就職活動を終えたある学生と話をしていました。 彼は、複数の企業から内々定をもらい、先日その中の1社に決めたそうです。 彼に決めた理由を聞いたところ、「自分のやりたい仕事ができる会社だったから」という答えが返ってきました。 その話を聞きながら、「やりたい仕事ができる会社」に就くことで幸せな職業人生が送れるのだろうか、という疑問が湧き、今回は「やりたい仕事ができる」ことと、職業人生の幸せについてレポートしたいと思います。 まず、その真意を探るため、米ジョージタウン大学で教鞭をとっているカル・ニューポート氏のコラムを元に、この「やりたい仕事探し」とは、いつどこから生まれたのかまで遡って検証してみました。 Study hacks>>記事元 1970年、サンフランシスコにある米国聖公会に務めるリチャード・ボレスは、失業の危機をむかえて悩んでいるひとたちに対して、書籍を自費出版し無料で彼らに配布しました。本のタイトルは“What color is your parachute?(あなたのパラシュートは何色?)“といい、168ページにわたる職業人生を変更するためのガイド本でした。 そして、その本の中の一節にこう書かれていました。 「あなた自身がやりたいことを 理解しなさい・・・。そして、あなたのような人を必要としている場所を見つけなさい」 この『自分のやりたいことを軸に仕事を見つける』という考えは、当時は先鋭的であり、多くのひとたちには受け入れられませんでした。 しかし急速な経済成長に伴い、単純労働から知的労働が増え、職業選択の幅が広がるにつれ、ボレスの考えが世の中に受け入れられるようになりました。現在、彼の書籍は700万部を超えるベストセラーとなっています。 では、自分のやりたいことを軸に仕事を探すひとたちが増えたことで、私たちは幸せな職業人生が送れているのでしょうか。 ここに興味深いデータと考察があります。 2010年初めに発表された、米国における仕事に対する満足度に関する最新のコンファレンスボードの調査で、アメリカ人のわずか45%のみが自分の仕事に満足していると答え、この数字は最初の調査年である1987年に記録された61%のピークから継続的に低下し続けているというのです。 調査を行ったリン・フランコは「経済環境の悪化が要因とは考えられない。過去20年間、好況と不況の両方の期間を通じて、仕事の満足度の数値は減少し続けている」との見解を示しました。 この調査を見て、前述のカル・ニューポート氏はこう指摘します。 The first strike against this advice is the lack of scientific evidence. Motivation and satisfaction in the workplace is a major research topic, as happy employees are better employees. It’s difficult, however, to find studies that argue the importance of matching a work environment to a pre-existing passion. Most studies instead point to the importance of more general traits, like autonomy or a sense of competence (see, for example, the voluminous research literature on Self-Determination Theory for more on such findings). 「(職業人生の幸せには)望んでいた仕事に就くことが重要だとする結果は見当たらない。大半の研究は、仕事における裁量権や適性を感じることなど、様々な仕事に存在する条件が重要であることを示しており、あなたがピッタリだと思う仕事に就けなければ幸せになれないという考えとは矛盾している。 第2に、仕事が大好きだという人を調べてみると、始める前からその仕事に就きたかったという人はまれだというデータもあり、『やりたい仕事をしなさい』というアドバイスにはさらに疑問が膨らむ」 CNN.com/Why ‘follow your passion’ is bad advice>>記事元 さらに彼は、「やりたい仕事に対する情熱が強ければ強いほど、現実の仕事の乖離が起こりやすく、いま目の前にある仕事に関心が持てなくなってしまうことが多い」と、その弊害も指摘しています。 では、やりたい仕事探しの呪縛から逃れ、幸せな職業人生を勝ち取るためにはどうしたらいのでしょうか? スタンフォード大学心理学者であるケリー・マクゴニガル氏は、やりたい仕事を追い求めることの危険性を指摘し、 「いまの仕事にどういう意味があるかを問う前に、今の仕事の意味を『見出す』ことが大切」と説いています。 そして「楽しいとか、嫌だといった感情に支配されてしまうと、自分のやっている仕事の意味が見いだせなくなってしまう。不平不満の感情を脇におき、自己認識する習慣をつけると、どんな仕事にも幸せな側面があることに気がつく」と言います。 (参照:ハーバードビジネスレビュー2013年5月号) 今の自分の仕事を、どこまでも前向きに見つめること。その姿勢は、よい仕事、よい人間、よい機会を引き寄せ、さらには、よき運気さえも呼び込んでいくものです。そして、そうしたひとたちが、次代を牽引するリーダーとなっていくのでしょう。

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