これまでの“当たり前”をくつがえして生まれた海外人気サービス~リソースは共有する時代~

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今では、誰もが快適なインターネット環境を手にし、外出中でもスマートフォンで最新情報を取得してコミュニケーションがとれる時代になりました。AndroidやiOSといったモバイル生態系も誕生し、モバイルアプリやウェブサービスを安価な初期費用で構築し、アイデアを形にするコストが圧倒的に低くなっています。そのような背景から、日々、世界中で無数のサービスが産声をあげています。今回ご紹介するのは、こうしたカスタマー向けのサービスです。 こうしたサービスには、タレント(才能)やキャパシティなどの「リソース」と、ニーズのある依頼主をマッチングすることで「有効活用する」流れが見られます。リソースというのは、午前中しかバイトのシフトが入っていない「人」かもしれないないし、空き部屋や、平日は駐車場に止められっぱなしの車かもしれない。こうした使われずに持て余されているリソースと、それを活用できる依頼主をマッチングする。一般的には「ローカルマーケットプレイス」などと言われ、始まりは新聞の三行広告をウェブ化して成功した、月間500億ページビューを誇る米国の地域コミュニティサイト「Craigslist」にまで遡ります。 ■Airbnb では、こうしたリソースを有効活用するサービスにはどんなものがあるのでしょうか。まず空いたスペースに着目したのが、既に192カ国で活用される「Airbnb」。家の一部屋が空いている、ルームシェアしている同居人が出張で2週間留守をして部屋が空く、そんな時に現地を訪れる旅行者に部屋を貸し出すことができます。私も昨年9月にサンフランシスコを訪れた際にユニオンスクウェア近くの宿泊先をAirbnbで見つけました。通常のホテルよりは安く、またキッチンなどもついた家に泊まるため、現地に住んでいるような感覚を味わうことができるのがうれしい。一週間弱の滞在でたしか500ドルくらいだったので、だいぶお安いはず。どうせ空き部屋なら、家主は少しでも泊まってもらった方が家賃の足しになる。サンフランシスコとニューヨークの宿泊先を探しましたが、ちょっと素敵だなと思うところはどこも予約がいっぱいで、下手なホテルより宿泊の回転率が良さそうでした。 ■Uber 時間のある人をリムジンドライバーにして有効活用するのが「Uber」です。米国、中でもニューヨークなどの都市部では時間帯によってはまったくタクシーがつかまらないことがあります。数年前の調査では、NYCの人口に対するタクシー台数の割合は、646人に1台。急いでいるのにタクシーが見つからなかったり、そもそもタクシーが通りそうな大通りまで出向く必要があったり。そんな面倒から解放してくれるのがUberというサービスで、スマホアプリを使ってハイヤーを呼ぶと現在地まで迎えに来てくれるのです。実際に使ってみたところ、料金は通常のタクシーの1.5倍ほどしますが、それでも丁寧だし、何より支払いが楽でした。というのも、あらかじめUberにクレジットカードを登録しているため、チップの計算をしてキャッシュで払うことはなく、全てオンラインで決済してくれるのです。何人かの運転手さんに話を聞いたところ、違う仕事の合間にUberで稼いでいるといった人もいました。もちろん労働時間は週に何時間~といった規定はあるのでしょうが、空いた時間で有効に仕事をすることができるようです。 ■Taskrabbit、Zaarly 人の才能や時間を有効活用するのが、Taskrabbit(タスクラビット)やZaarly(ザーリー)といったいわゆるローカルマーケットプレイスです。この2つのサービスは共通して、「人が何より好きなことをできるように」という目標を掲げています。人がその一番得意なこと、一番好きなことをやれるように、それ以外のことは人に任せてもいいのでは? という発想です。Taskrabbitには、大学生、定年退職者、主婦といったさまざまな地元の人材が登録していて、時間のない人のタスクを請け負ってくれるのです。それは会議のために参加者全員分のスタバのコーヒーを買ってくることかもしれないし、時間がなくてかけられなかったシャツのアイロンをかけてもらうことかもしれない。Zaarlyのブログに、このようなほっこりするエピソードが投稿されていました。 Homemade Chicken Noodle Soup + Adulthood>>引用元 “Zaarlyのクリエイティブを担当するJeff Morrisは風邪で体調を崩してしまいました。思い出すのは、子どものころ、母親が作ってくれた美味しいチキンスープ。でも28歳になって、1時間も離れた場所に住む母に頼むこともできません…。そんな時に、そのチキンスープが美味しいとZaarlyで評判のご近所さんを思い出し、彼にチキンスープを作ってもらったそう。体も心も温まり、体調が回復したというお話です。” 元気な時は自分で美味しいスープを作れば済む話でしょう。でも、状況やタイミングによって、ある人の日常的な行為(今回は料理)が実は他の誰かにとっては素晴らしい才能であることがある。料理、裁縫、朗読、おつかいなどなど。それを必要とする人と、それを実行できる人を結びつけてくれるサービスなのです。 今回ご紹介した3つのサービスは、一言でいうとどれも「リソースを有効に活用する」ためのサービスです。誰もが常にオンラインでつながっている環境が出来上がったからこそ機能するサービス。何かが欲しいその瞬間に、それを発信できる時代だからです。とはいえ、これらのサービスが継続して使われる理由は、それがリアルと密接に関わっていることにあります。ネット上の誰かではなく、“ローカル”で会おうと思えば会える身近な人であることがポイントなのです。物理的な距離の近さが相手への信頼感につながり、信頼感があるからこそ継続して利用し、人によっては副収入源を得るまでのツールになる。 では、近所の掲示板だけでもいいのかというと、そうでもありません。オンラインもまたこうしたサービスの質を担保することに貢献しているからです。TwitterやFacebookといったSNSは、悪く言うと世の中を監視社会にしたかもしれません。いつどこで誰と何をしているかが、自分の意志とは関係なく伝わってしまうことがある。でも、こうしたコミュニケーションツールがあることで、個人のアイデンティティが明確になり、透明性が保たれてもいます。Airbnb、Taskrabbit、Uberといったサービスは人からの信頼が第一。一度でも悪い評判が流れればそれを払拭することは難しいため、抑止効果もある。逆に、素晴らしい対応やサービスを提供していれば、それもまた周囲に広がる。今回ご紹介したサービスは、リアル、そしてオンラインという2つを非常にいい形で絡めた、今後も期待できるサービスだと言えるでしょう。 世の起業家の多くは、「世界を変えること」を志して起業し、サービスを立ち上げます。上述のサービスは、どれも私たちの生活を変えうるものです。「見ず知らずの人に自分の家を貸すなんて」。「タクシーは駅前のタクシー乗り場で乗るもの」。そんなこれまでの常識に疑問を投げかけることで、そこにある不便や困りごとを解消するためのソリューションが生まれる。Think outside the boxという英語の表現がありますが、固定概念に捉われず、自由な発想で考えること。まず、ここから始めてみませんか。

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