NEWS 未来を変えるために世界を知る 世界のビジネスエリートたちは会社でマネジメントを学ばない

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先日、興味深いニュースが紹介されていました。財団法人日本青少年研究所が米国、中国、韓国、日本の高校生計約6,600人に調査したアンケートで、「偉くなりたいと思うか」という質問に対して「強く思う」と答えたのは、米国30%、中国37%、韓国19%だったが、日本はわずか9%だったというのです。 偉くなるという言葉のニュアンスにはさまざまな解釈があるため、こうした数字になったのかもしれませんが、日本人は他の国に比べて出世やキャリアアップに対する貪欲さがなくなっている可能性が浮き彫りになりました。 では、海外の「出世を希望する」ビジネスパーソンは、いったいどのような勉強をしているのでしょうか?今回は、「世界のビジネスエリートたちはどこで何を学んでいるのか?」についてレポートしたいと思います。 皆さん、“エグゼクティブ・プログラム”という言葉を聞いたことはありますでしょうか。日本で言うところの「管理職研修」のような教育プログラムのことです。 ただ、多くの日本企業で行っている「管理職研修」と大きく違うのは、「社内」ではなく、「社外」で受けるものが多く、主には大学内のビジネススクールのプログラムに参加することになります。 教育期間は2~3日の短期プログラムのものもあれば、3カ月や半年かけて行うものもあります。 彼らがここで学ぶのは、もちろんマネージャーとして必要となるスキルを身に付けることですが、それは主に業績を上げるために人材を活用し、やる気をいかに引き出せるかという「人材マネジメント」のスキルとなります。こうしたスキルを習得することに、企業それぞれの特殊な事情は関係ありません。さまざまな国の、業種も異なる企業から選抜されたマネージャー候補生たちが集まって学ぶのです。 “エグゼクティブ・プログラム”において高い実績を誇るスイスのIMDには、毎年世界98カ国から約8,000人を超えるビジネスパーソンが参加するそうです。 特に、ここ数年はアジアや南米などの新興国からの参加者も増えているようで、それに合わせてシンガポール、リオデジャネイロ、北京などに新しいオフィスを開設する計画予定とのことです。では、そこではいったいどのようなことを学ぶのでしょうか。 代表的な授業としては、ケースメソッドを使ったグループ討議。特に、部下への対応についてのケースなどが多く、マネージャーとしてどう判断し、対話していくのかについて実践的に学んでいきます。ときには「どうやって人の心を動かすか」を学ぶため、役者を招いた演技指導なども実施されることがあるそうです。 ただ、教室内でマネージャーとしての基礎を学ぶだけではありません。 例えばフランスの名門HEC Parisの“エグゼクティブ・プログラム”には、「リーダーシップ・セミナー(Situational Leadership Seminar)」というものがあります。これはフランス陸軍の全面協力のもと、サン・シール陸軍士官学校(E´cole Spe´ciale Militaire de Saint-Cyr)で行われる2泊3日のセミナーで、将校の指導のもと、野外で実践的な軍隊演習を受講するのです。 フランスやドイツから来た30代、40代のビジネスエリートたちが、汗と泥にまみれながら戦場で負傷した仲間を救う訓練などを通じて、リーダーシップを実践的に身体で学ぶのです。 ※リーダーシップセミナーのダイジェスト映像。(Youtube:8分13秒) また、同じく教室の外を飛び出し、JAZZクラブに連れて行くのは、アメリカのコロンビア大学ビジネススクールの名物教授グラント・アッカーマンの授業です。 彼は「成功するチームを作る授業」の中で、JAZZクラブに連れ出し、決まった旋律を持たず即興性の中で互いの個性を引き出し合いながら音を奏でるJAZZを聞きながら、マネジメントに通じる要素が多くあることを講義します。 不確実性の高いマーケットの中で、きっちりした計画を立てたマネジメントをするよりも、状況の変化に合わせて柔軟に対応できる環境を作り出すことがこれからのマネージャーには必要だということを、体感を通じて学ばせているのです。 では、こうした「社外」で学ぶことの意味はどこにあるのか?重要なのは単に決められたプログラムを著名な講師から学ぶだけでない効果があることです。 世界トップクラスのビジネススクールであるINSEADの教授Morten T. Hansenは、ハーバードビジネスレビューのブログの中で、こうした場に集まり学習することの価値をこう記しています。 Deep interactions, such as the case-based discussion pioneered by HBS, involves tacit knowledge sharing. The experience and insight are created by the discussion in the classroom that day ー if you miss it, you miss the learning. I have not seen any technology that can create a virtual classroom so compelling that it can make this experience work well online. You’ve got to be in the room. >>記事元 ハーバードビジネススクールなどが作成したケースに基づくディスカッションのような深い相互交流は、明文化できない知識の共有となっている。この経験や洞察はその日のクラスルームでのディスカッションによって創造される ー もしこれを欠席した場合、学習の機会を逃してしまうのである。私は、この経験がオンライン上で得られるテクノロジーをまだ見たことがない。その場に集まり行わなければならないのである。 つまり、何か決まったプログラムを詰め込む教育よりも、会社や業界の違うビジネスパーソンたちが語り合うこと自体に大きな価値があるということです。 また、もうひとつの「社外」で学ぶことの目的は、会社を超えた世界的な人脈作りのきっかけになっているということです。 会社を代表するマネージャーとして相応しい人脈をこうした場を通じて構築しているのです。 なお、前述のIMDのビジネススクールは、日本では早稲田大学が提携しており、プログラムを国内で受講できるそうです。また、海外のビジネススクールでも短期間のプログラム体験が可能です。あなたのやる気次第で世界は広がっていきます。

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