庭園の緑が美しい明治時代の邸宅「南昌荘」でうっとりと和の時間を過ごす

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みちのくの城下町・盛岡市を訪れ、明治のレトロな南昌荘の空間で、静かに流れる時間を過ごす休日を。磨きこまれた廊下の床に映りこむ庭園の緑は、ため息が出るような美しさです。 盛岡市中心街、岩手城跡公園から徒歩10分ほど。それなのに都会の喧騒と無縁なのは、1100坪の敷地に広がる庭園が、木造2階建ての伝統の館を包み込むように守っているせいでしょうか。明治の雰囲気を残す南昌荘、邸内に入れば、書院風の落ち着いた和室があり、庭に面してぐるりとまわる縁側が独特の空気感を漂わせています。ガラス戸も懐かしい広い廊下に立てば、庭園の輝くばかりの緑が、黒光りするように磨きこまれた床に映えて、思わずうっとり。一度この場所に座れば、いつまでも居続けたくなるような心地良さです。 邸内には、喫茶のお部屋も用意されています。抹茶(和菓子付)、コーヒー(クッキー付き)、いずれのセットも410円。手入れの行き届いた庭を眺めながら、無心に一杯のお茶をいただけば、いつの間にか肩の力がすうっと抜けて穏やかな気分になっている自分に気付きます。 前日までに予約すれば、老舗そば処東家の弁当もここで味わえます。(1404円)旬を盛り込んだ彩り豊かなお弁当は、南昌荘だけで味わえるオリジナル。こちらも楽しみですね。 1885(明治18)年に実業家・瀬川安五郎の邸宅として建てられた南昌荘は、あるときは政治家の別邸、またあるときは銀行家や豪商の屋敷として、時代の流れの中でさまざまな人の手に渡りその運命を生き続けてきました。 そのエピソードの数々は、岩手出身の宰相・原敬が1ヶ月間、妻とともに滞在したとか、伊藤博文を迎えて盛大な園遊会が開かれたとか、中2階の板の間は終戦後アメリカ軍が使ったときにダンスホールとして改築された場所だとか、まるで歴史の教科書のよう。そうした華やかな時代を見続けてきた建物は、今、静かなたたずまいで訪れる人を迎い入れ、緑豊かな庭園で私たちをぜいたくにもてなしてくれます。 レトロモダンな建物から眺める庭の緑も素敵ですが、せっかくならば外に出て、回遊式庭園を散策してみてください。南昌荘の庭園は、庭全体の3分の1の面積を占める大きな池が特徴です。水辺に広がる手入れの行き届いた庭は、自然林とはまた別の魅力があります。樹齢200年の「高砂松」や盛岡特有のカツラの変種「シダレカツラ」、樹木の中に配された東屋や風情のある蓬莱橋、八枚の板を渡した八ツ橋など、感性を刺激される見どころがいっぱいです。 明治の雰囲気を色濃く残す伝統の館で、日本の美意識にふれ繊細で上質な「和」の時間を心行くまで楽しんではいかがでしょうか。

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