それは時代を写す鏡、雑誌がつむぐ想い - 新しくなった【都立多摩図書館】で雑誌に溺れる

  1. 今年1月に移転開館したばかりの新スポット

立ち並ぶ集合住宅と、豊かな緑が彩る西国分寺。子どもや家族連れなどファミリー層が多く、街中が穏やかな雰囲気に包まれています。南口を降りると、早速「都立多摩図書館」への案内を見つけました。

西国分寺に来るのは初めてなので地図を用意していたのですが、ところどころに道しるべがあるので安心。それらをたよりに歩いていくと、7分ほどで図書館が見えてきました。

都立多摩図書館は、もとは立川市にあった施設。創立から30年の節目を迎える今年1月、老朽化を理由に西国分寺に移転しました。敷地面積は以前の約2倍。館内に足を踏み入れると、開放感のある高い天井からたっぷりと注ぐ陽光が、居心地の良い空間をつくり出していました。

国内最大級の所蔵数を誇る東京マガジンバンク

最初に目に飛び込んでくるのは、ずらりと並ぶ雑誌棚。

ここは「東京マガジンバンク」の開架コーナーで、約1,500誌もの雑誌の最新1年分が閲覧できます。書棚に並ぶタイトルは移転前の534誌に比べると約3倍にのぼり、経済誌や男性誌、料理に関するものなど、とにかくバラエティ豊富。特に奥の3列はすべて女性誌で埋め尽くされていて、その数は108タイトル。幅広い年代の女性たちが、思い思いにページをめくっていました。

他にも初めて目にする雑誌が多く、手に取りたくなるものばかり。「こんな雑誌もあるんですね!」と驚いていると、司書の西林さんがとっておきの一冊を教えてくれました。その名も『缶詰時報』。

「缶詰に関するマニアックな雑誌なのですが、創刊は大正12年なんですよ」とのこと。この雑誌が紡いできた100年近い歴史を思うと、その尊さを感じずにはいられません。

棚を移るごとに丁寧に説明してくれる西林さんと一緒に、館内を歩きます。

次に案内していただいたのは、入り口の脇にある「開架書庫」と呼ばれる入室可能な書庫。

閲覧室に並びきらなかった雑誌や児童書などが所蔵されています。出入り口の側に設けられたウィンドウには、東京マガジンバンク

が開設された2009年から2016年までに休刊・廃刊となった雑誌が並べられています。中には、惜しまれつつ休刊した雑誌『ぴあ』の姿も。「この表紙、懐かしいなぁ」と心が躍りました。

約4,500タイトルが並ぶ開架書庫では、メジャーなもののほか、地域情報誌や学会誌など、さまざまな雑誌との出会いがあります。この図書館に来なければ目にすることがなかったであろう、海外の地域情報誌もそのひとつ。その土地の雰囲気を綴じ込めた雑誌なら、旅行本よりマニアックな情報が収集できそうです。

PC作業もOK!1日中いたくなる利便性と居心地の良さ

フロア内は、窓に沿って机が配され、書棚の間にもたくさんの机が並びます。また、机にはコンセントが多めに設置されていて、Wi-Fiも利用可能。ノートPCを持ち込んで作業をしている方が多く見られました。

1Fにはカフェもあるので、休憩がてらひと息つくこともできます。

図書館の隣には、「都立武蔵国分寺公園」という広い公園があるので、お天気がいい日には読書の合間に散歩をすればリフレッシュにもなりそう。気づくと丸1日、図書館で過ごしてしまいそうです。

そこに込められた思いも含めて、雑誌を守りたい

広い図書館の2Fと3Fには大きな書庫もあり、希望に応じてスタッフの方が書籍を取り出してくれる仕組みになっています。今回は特別に2Fの書庫に入れていただきました。扉が開くと、一面に漂う優しい木の香り。書棚の一部は多摩の森で採れる杉の木からつくられたもので、柱のコンクリートにも杉材を使用。杉が湿気を逃し、書籍の状態を保つことができるのだそうです。

書庫に保管されているものも含めると、館内の雑誌保管数は全部で1万7,000タイトル、120万冊にも上ります。ボタンひとつで書棚が動く様子は見ていて楽しいけれど、実際に探すスタッフの方は大変なのでは。

「ご老人の方が、自分の投書が載った何十年も前の雑誌をもう一度見たいとリクエストされたことがあって。探すのはもちろん骨が折れるのですが、喜ぶ顔を想像するとやらなきゃという気になりますし、見つかった時の喜びは大きかったですね」

雑誌は、時代を映す資料としての役割も果たすもの

他にも、セミナールームを活用して、雑誌を「知る・作る・伝える」楽しみを伝える「東京マガジンバンクカレッジ」というイベントも開催しています。「先日は、キックオフイベントとして特別講師の方をお呼びして、雑誌の過去・現在・未来についてお話いただきました。雑誌は発行時期に読むものというイメージがありますが、バックナンバーを読むことで歴史を知ることもできます。こうしたイベントを通して、雑誌の魅力を知っていただきたいですね」。

 

雑誌というと、ただ最新の情報を得るためのもの、というイメージを抱いていた私。「都立多摩図書館」では、関わった人々の思いも含め、雑誌がつむぐ歴史を守っていきたいという強い意志を感じました。

単行本は基本的にひとつの物語で完結するのに対し、雑誌は定期的に発行を続けていくもの。雑誌を過去に遡って見てみると、その時代の流行や土地の空気感をまるごと知ることができました。マガジンバンクの大きな棚から、気になる1冊を取り出して感じるのは、アルバムをめくるような懐かしさや、初めて知るわくわく感。改めて、雑誌が持つ奥深さや新しい楽しみ方を教えてもらったような気がしました

都立多摩図書館

東京都国分寺市泉町2-2-26

TEL 042-359-4020

月-金 10:00-21:00

土日祝休日 10:00-17:30

http://www.library.metro.tokyo.jp/

ライター

静岡県生まれ。好きなものは、映画、登山、温泉、アーユルヴェーダ。地図が読めないため、町歩きはもっぱら勘がたより。旅行系の冊子やWEBをメインに執筆しています。

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