和菓子とわたしの距離が縮まる癒しの空間―「とらや 赤坂店」

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のあんみつ

こんどの週末は、友人とおでかけがてら、とっておきの空間でゆっくり話したいな。くつろげる場所を探していたら見つけたのが、「とらや 赤坂店」。

老舗和菓子店「とらや」の旗艦店として2018年にリニューアルした「とらや 赤坂店」は、和菓子を販売しているだけでなく、虎屋菓寮(喫茶)やギャラリーを併設しています。

買いものだけでなく空間全体を楽しめる和菓子屋さん、と聞いて、「とらや 赤坂店」の魅力を探しに行ってみました。

新しい「とらや 赤坂店」は、和モダンの建築が目印

赤坂見附の街並み

「とらや 赤坂店」へのアクセスは、東京メトロ赤坂見附駅から徒歩7分。青山通りを直進し、ゆるやかな坂道をのぼっていきます。

豊川稲荷を右手に見ながら進むと、大通り交差点の角に建つ「とらや 赤坂店」が見えてきました。

「とらや 赤坂店」の外観

「虎」のロゴマークがあしらわれたグレーの屋根に、木とガラス張りの窓が並ぶ外観は、オフィスビルのなかで目を引きます。

「とらや 赤坂店」の2階に展示されていた昔の赤坂店の模型ビル

現在の「とらや 赤坂店」が誕生する前に同じ場所にあった、9階建ての旧赤坂店は、東京オリンピックが開催された1964年に開店。当時の赤坂には周辺に高いビルがなかったので、高層ビルとして目立っていたのだそう。

下から見上げた「とらや 赤坂店」の建物と紅葉

一方の2018年にリニューアルした「とらや 赤坂店」は、地下1階にギャラリー、1階に予約品の受け渡しカウンター、2階に売場、3階に虎屋菓寮(喫茶)をそなえた低層の建物に生まれ変わりました。

「お客さまが心地よく過ごせる空間づくりを心がけました」と案内してくれるのは、虎屋社長室の奥野容子さん。

「とらや 赤坂店」の案内板

奥野さん:「現代のお客さまが求めていらっしゃるのは、人とのつながりやぬくもりだと考えました。それなら、経営理念である『おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く』ことをシンプルに追求して、どなたにとってもご利用になりやすい店にしようと思ったのです」

木のぬくもりと静けさに包まれる、都心のオアシス

「とらや 赤坂店」の1階にある虎屋ロゴ

建物の中に一歩足を踏み入れると、その静けさに驚きます。目の前に大通りがあるにもかかわらず、車の音はほとんど聞こえません。

「とらや 赤坂店」の設計を手がけた建築家の内藤廣さんは、吸音板などを使って音が建物内に響きにくいように工夫したのだそう。

「とらや 赤坂店」の木を使ったエレベーター
エレベーターにもヒノキが使われています

吉野産のヒノキをふんだんに使った店内では、木の香りをふわりと感じます。木のぬくもりと静寂に全身を包まれて、思わず都心にいることを忘れそう。

「とらや 赤坂店」の1階エントランスの予約品の受け取りカウンターと3階にある虎屋菓寮の順番待ちの発券機

空間そのものの居心地のよさだけでなく、使い勝手の良さも大切にしている「とらや 赤坂店」では、予約品の受け取りカウンターと3階にある虎屋菓寮の順番待ちの発券機がエントランスに用意されています。

思わずのぼりたくなる大階段に惹かれて

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」へ向かう階段

木組みと曲線が美しい吹き抜けの大階段は、1階から3階をつないでいます。

「エレベーターもご用意していますが、ぜひ大階段を使ってみてください。幅や高さにこだわっていて、外の景色を楽しめる、“のぼりたくなる階段”になっています」と奥野さん。

「とらや 赤坂店」の借景

一段ずつ上っていくと、窓越しに赤坂御用地の借景が見えてきました。

奥野さん:「自然の恵みからつくられて、季節の変化を反映している和菓子。外の自然とゆるやかにつながっている店内で、ゆっくり和菓子を選んでいただけたら」

「とらや 赤坂店」限定の特製羊羹に、季節限定品も!

「とらや 赤坂店」の2階売り場

大階段を上がった先は、広々とした2階売場。定番の羊羹や最中から、お汁粉、生菓子、干菓子、お茶まで、種類豊富に並んでいます。

とらや赤坂店限定 特製羊羹『千里の風』
羊羹もパッケージも虎をイメージ! 「千里の風」(税込1,944円)
画像提供:虎屋

模様のインパクトに惹かれる「千里の風」は、風を切って走る虎の躍動感をデザインした「とらや 赤坂店」限定の羊羹です。

2週間ごとに種類が入れ替わる生菓子も見逃せません。一年に数日しか食べられない期間限定の和菓子もあるとのこと。一期一会の出合いに惹かれて、自分へのごほうびを買いたくなります。

「とらや 赤坂店」限定の水引も選べる「ちさき包み」の3本入り小形羊羹
赤坂店では小形羊羹(1本:税込260円)を一枚の紙で3本包んだ「ちさき包み」(税込994円)の販売も。水引6種類から選べます。

食べやすいサイズの小形羊羹は、かわいらしいパッケージが印象的。リーズナブルな価格で、友人へのおみやげにもぴったりです。

※写真の羊羹のパッケージは夏季限定パッケージです。

和菓子づくりを見学できる「御用場」で、赤坂店限定の味と出合う

「とらや 赤坂店」の3F「御用場」からの作業風景

売場からさらに上った3階の御用場(ごようば)では、「とらや 赤坂店」で販売している和菓子の一部を製造する様子をガラス越しに見学できます。

ちなみに「御用場」とは、「とらや」における和菓子の製造所のこと。長年御所の御用をつとめてきた歴史を感じますね。

「とらや 赤坂店」の3F「御用場」
画像提供:虎屋

午前中の御用場で見られたのは、生姜風味の焼菓子「残月」をつくる工程。

「できたての『残月』ならではのおいしさを、お客さまにも味わってほしい」という社員の声から、御用場でつくられたばかりの「残月」を赤坂店限定で販売しています(販売時間は13:30〜)。

とらや赤坂店限定 生姜入焼菓子『残月』
硬めの皮と生姜の風味が特徴の「残月」(税込303円)
画像提供:虎屋

奥野さん:「赤坂店の『残月』は、通常のお店で売られているものよりも若干あんこの甘さが控えめ。できたてでしか味わえない、少し柔らかめの皮の食感も楽しめます。テイクアウトはもちろん、虎屋菓寮でお召し上がりいただくこともできます」

喫茶やランチに。都会の喧騒から離れた虎屋菓寮で、ほっと一息

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」の入り口

御用場と同じフロアにあるのは、甘味と食事をいただける虎屋菓寮(かりょう)。手延べうどんや旬の野菜を使ったランチメニューなど、しっかりお腹を満たしたいときにも利用できます。

黒を基調とした室内はガラス窓から差し込む自然光と薄暗い照明のバランスがほどよく、落ち着いて過ごせそう。

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のボックス席

ハイバックソファーをそなえた半個室席は、お子さま連れのお客さまでもゆっくり過ごせるように配慮されています。

ひとりでもくつろげるカウンター席や、旧赤坂店の喫茶でも使われていた円卓テーブルの席など、気分に合わせてすきな席を選ぶのがおすすめ。

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のテラス席
画像提供:虎屋

「外の風を感じながら和菓子を食べていただきたい」との思いから誕生したテラス席も。春には彼岸桜、秋には紅葉、四季折々で異なる景色を見られるのだそう。

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」からの窓の様子
おすすめの席に座ったときに見える景色。緑だけが切り取られ目の前に広がります

奥野さんおすすめの席は、円卓テーブルをはさんで奥の2人がけのテーブル席。視界に緑が広がるパノラマを思いきり楽しめます。

菓寮も音にこだわって設計されているので「人生の大切な節目の話も、ぜひここで」とのこと。日常の喧騒から離れて、普段言えない気持ちを伝えられるかも。

とらやの和菓子は「すこし甘く、すこし硬く、後味良く」

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のあんみつ

虎屋菓寮でいただける人気メニューのひとつ「あんみつ」(税込1,512円)は、北海道産の小豆を使ったあんこに、寒天と水羊羹、粟(あわ)に食感が似ている粟羊羹、黒豆やえんどう豆などがのった彩り豊かな一品。お好みで、白玉や季節のトッピングを追加することもできます。

取材時の8月は、ひょうたんと金魚の形をした色寒天が添えられていました。色寒天は2ヶ月ごとにデザインが替わるそうで、9月以降は菊の花と葉。

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のあんみつに黒蜜かけるところ

御用場で天草からつくられた寒天は、ぷりっとした歯ごたえ。職人さんのていねいな手作業を見学してからいただく和菓子は、いつにも増してじっくり味わいたくなります。

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」のメニュー帳

口どけやさしく、ほんのり甘いあんこを味わっていたら、「とらや」の和菓子の特徴は「すこし甘く、すこし硬く、後味良く」だと教えてもらいました。

奥野さん:「”ちょっとだけ甘い”のではなく、しっかりとした甘さがありながらも、後味がすっきりしているんです」

和菓子文化に触れられるギャラリー

「とらや」でしか味わえない甘さに満足したら、階段を下りて地下1階へ。こちらのギャラリーでは、和菓子や日本文化に関連した企画展やイベントが開催されています。

「とらや 赤坂店」の地下1階「虎屋 赤坂ギャラリー」で展示中の「千里起風」の一部

2019年9月5日まで開催中の『とらや東京出店150周年記念 千里起風』では、「とらや」の歴史を絵巻物風に綴った展示を入場無料で楽しめます。和菓子文化とともに時代を歩んできた「とらや」のこれまでを、のぞいてみましょう。

「とらや 赤坂店」の地下1階「虎屋 赤坂ギャラリー」で展示中の「千里起風」の一部

およそ500年前の室町時代後期に京都で創業した「とらや」が、東京遷都にともなって 1869年 に東京に出店してから、150年の月日が流れました。

関東大震災や第二次世界大戦を乗り越えてきた歴史から、時代のトップランナーとして革新的な商品を生み出した背景まで。愛らしいイラストの虎たちが織りなす物語に惹かれて、じっくり見入ってしまいます。

展示が休みの期間には、講演会や和菓子づくりの実演などがおこなわれることもあるようです。

和菓子との距離が縮まる、居心地のよさ

「とらや 赤坂店」の3階「虎屋茶寮」の店内
画像提供:虎屋

新しくなった「とらや 赤坂店」では、足を運ぶお客さまにも変化があったのだとか。

赤坂店の販売員:「かつての赤坂店と比べて、お子さま連れや若いお客さまが増え、ファッションや建築がおすきな方も来店されます。見た目のかわいさやデザインに惹かれて和菓子を購入される方もいらっしゃいます」

「とらや 赤坂店」の2階売り場のサイドにある特別注文商品の打ち合わせスペース

売場にある特別注文商品の打ち合わせスペースでは、友人の結婚や両親の還暦のお祝いなどにオーダーメイドの和菓子を贈る方の利用も増えているのだそう。

特別な日の贈りものにも、カジュアルに楽しむにも。「とらや 赤坂店」は、和菓子との距離を縮めてくれる場所なのかもしれません。

「とらや 赤坂店」でのんびり過ごしてリフレッシュ

「とらや 赤坂店」の虎の紋の入った瓦をアレンジした花器

「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」。「とらや」の想いがお店のすみずみまで感じられる空間にいると、やさしい気持ちになっていきます。

「とらや 赤坂店」でのおすすめの過ごし方を、うかがってみました。

奥野さん:「まずは1階で菓寮の整理券を取って、外の景色を眺めながら階段をのぼり、ゆったりとお買いものをお楽しみください。順番になったら、菓寮でのんびりお菓子を召し上がり、本を読んだりお話したりして、リフレッシュしていただけたら」

「とらや 赤坂店」の入り口

老舗の和菓子屋で、気心の知れた友人とのんびり羽を伸ばす時間。五感が癒される休日を過ごしたら、日々の疲れもあっという間に消えていきそう。

居心地のいい和菓子屋さんでのおだやかな時間にほっと一息ついてから、赤坂の街を後にしました。明日もがんばろうっと。

編集:菊池百合子

とらや 赤坂店

東京都港区赤坂4-9-22
TEL:03-3408-4121(代)
営業時間:
[売場(1・2階)]
<平日> 8:30-19:00 <土日祝>9:30-18:00
[菓寮(3階)]
<平日> 11:00-18:30 <土日祝>11:00-17:30
※ランチライムは11:30-14:30
[ギャラリー(地下1階)]売場に準ずる
※イベントによって変更する場合あり
https://www.toraya-group.co.jp/toraya/shops/detail/?id=5

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