農園直営店がつくる、本気の“チーズホイップティー” ― 日本茶カフェ「カネ十農園 表参道」

コーヒー、紅茶、ハーブティー。タピオカにチーズティーなど、さまざまなドリンクに注目が集まっています。
そんな中、特に注目したいのは日本茶のカフェ。ここ数年、じわじわと増え続けているのは、日本人になじみ深いお茶を、現代らしくアレンジしている店が支持されているからなのではないでしょうか。

「カネ十農園 表参道」のカウンターにならぶお茶缶と急須

「カネ十農園 表参道」は、茶葉農園直営の日本茶カフェ。
長く日本の歴史と歩んできた日本茶を気軽に楽しめ、新たな魅力を発見できるカフェです。
人気メニューのお話をうかがっているうちに、居心地のよさにも魅了されました。後半のスタッフの方のお話もぜひお読みください。

「カネ十農園」のスタッフ

笑いのたえない取材でした

表参道の日本茶カフェ「カネ十農園 表参道」は、提灯が目印。

東京メトロ表参道駅から、歩いて5分ちょっと。
にぎわう大通りから離れ、静かな裏通りで大きな提灯を見つけました。

「カネ十農園 表参道」の大きな提灯

奥には、目を見張るような大きな暖簾がみえます。

「カネ十農園 表参道」の外観

「カネ十農園 表参道」は、1888年創業・静岡県牧之原市にある茶農園が運営する日本茶専門のカフェです。
お茶の栽培から加工、そして目の前のお客様に届けられるカフェの運営までを、全て自社で行う「カネ十農園」。表参道の奥まった場所にある、隠れ家のような居心地のよい日本茶カフェです。

「カネ十農園 表参道」の店内

画像提供:カネ十農園

「カネ十農園 表参道」の人気メニューは一番茶のチーズホイップティー

「カネ十農園 表参道」の「チーズホイップティー」、ドリンクはラテスタイル煎茶

一番茶チーズホイップティーの”ラテスタイル煎茶”(税込750円)。煎茶ラテにチーズクリームがのっています。

「カネ十農園 表参道」で一番人気のメニューは「一番茶チーズホイップティー」。
チーズクリームの下のドリンクはいくつか選べるので、おすすめの「ラテスタイル煎茶」を選びました。

「カネ十農園 表参道」の「一番茶チーズホイップティー」のメニュー

価格は2019年6月の取材時点のものです。

カフェのメニューには、その年の最初に収穫される貴重な「一番茶」を使っています。
でてきた「一番茶チーズホイップティー」は、全体的にやわらかな色合い。煎茶と牛乳を重ねたドリンクの上に、クリームチーズと生クリームを合わせたクリームがのっています。ふわりと緑色なのはアクセントになる煎茶塩。「茶」と書かれた最中の皮が楽しいポイントです。

「カネ十農園 表参道」の「チーズホイップティー」の上にのる最中の革

最近話題のチーズホイップティー。「どうやって飲むのがおすすめですか?」と聞くと、「まず最初に煎茶と牛乳をよく混ぜて飲んで、その後にクリームを食べてみてほしいです」とのこと。

このクリームがもう、非常においしい! やさしい味わいの煎茶ラテに、爽やかなヨーグルトのような風味のクリーム!
「チーズクリームがものすごく甘そう……!」と思ったのですが、全然そんなことはなく、少し酸味のある風味に塩がかかっていて、あまじょっぱさがクセになります。
メニュー開発を担当している加藤大地さんのお話には、並々ならぬ味へのこだわりを感じました。

「チーズホイップティー」を持つ「カネ十農園」のスタッフ

「一番茶チーズホイップティー」に使っているクリームチーズは、一般的に流通しているものよりもチーズ感が少ないものなんだとか。

加藤さん:「日本茶って紅茶やウーロン茶などに比べると香りが弱いんですよね。コーヒーや紅茶を淹れた時ってふわっと香りが立って『うわぁ、いい香り!』って思うけど、煎茶はそこまで強く香りません。繊細な日本茶の煎茶と合わせるための素材を選んでいます」

「カネ十農園 表参道」のスイーツメニュー

気になるデザート。季節で変わるあんみつなどもおすすめだそうですよ!

「カネ十農園 表参道」の季節限定メニュー「カネ十モンブラン〜チーズホイップ仕立て〜」

2019年7月限定の巨峰のアイスと煎茶の寒天を使った「カネ十モンブラン〜チーズホイップ仕立て〜」
画像提供:カネ十農園

こだわりの日本茶には、手づくりの上生菓子を添えて

「カネ十農園 表参道」の日本茶と上生菓子

「日本茶の体験型ティーサロン」ということで、アレンジティーやティーカクテルなどの一風変わった日本茶の楽しみ方を提案している「カネ十農園 表参道」。茶葉は他の日本茶カフェのお店や、有名百貨店でも選ばれるほど質の良いもの。

おすすめの「特選」(1100円)に合わせたいのは、上生菓子(400円)。

「カネ十農園 表参道」の上生菓子

なんと、上生菓子は店内で職人さんがつくっているんです。

「カネ十農園 表参道」の上生菓子の断面

中には煎茶のあんが!

紫陽花のような美しい練り切りには、「カネ十農園」の色鮮やかな煎茶をつかった餡が入っていました。

基本的に通年で同じお菓子を提供しているそうですが、色合いに変化をつけています。。夏は涼しげにして、秋はオレンジっぽく。季節にあわせた雰囲気を取り入れているそうです。

「カネ十農園 表参道」のお茶請けにあった「なつめのくるみサンド」

なつめのくるみサンドはお茶請けにぴったり

店内は和モダンなバーカウンター

「カネ十農園 表参道」のバーカウンター

「カネ十農園 表参道」は、カウンター席のみなので、お茶を入れる様子も目の前でじっくり見られます。気さくなスタッフの皆さんとお話を楽しめますよ。

「カネ十農園 表参道」急須に茶葉をいれるところ

「カネ十農園 表参道」湯冷ましにお湯をそそぐところ

「カネ十農園 表参道」湯冷ましで温度を下げているところ

「カネ十農園 表参道」湯冷ましから急須へお湯をそそぐところ

カウンターはなんとテーブル面が畳になっています! 腕をあずけているだけでほっとする感覚です。

「カネ十農園 表参道」の畳のカウンター

「カネ十農園 表参道」で飲むべき、貴重なお茶は「特選」

お茶の淹れ方は、まずお湯を湯冷ましへ入れて、70度まで温度を下げます。熱いお湯で淹れてしまうとお茶の味が渋くなってしまうので、適温まで下げるのが大切なのだとか。冷ましたお茶を急須に入れて注いでいただきます。

「カネ十農園 表参道」急須から湯呑にお茶をそそぐ

お茶のまろやかな甘みと旨みが口に広がり、心がほぐれていくようです。練り切りや棗と一緒に、2煎までいただくことができますよ。

加藤さん:「お茶の摘み方には、手摘みと機械でやる方法があって。『特選』は手摘みしたお茶で、かなり貴重な茶葉をつかっているものなんですよ」

「カネ十農園 表参道」の日本茶と上生菓子

「特選」は、手摘みで新芽の上の2枚だけを使ったお茶で、取れる数も少ないのだそう。

「カネ十農園」の特選茶園

「カネ十農園」公式サイトより

加藤さん:「『特選』は、甘味と旨みが強いお茶なんです。伊勢丹さんなどの催事でもとてもご好評いただいていて。商品ラインナップの中でも一番高価なのですが、一番人気ですね」

カフェのおみやげは「カネ十アールグレイ」がおすすめ

カフェですごした後は、ぜひお土産にお茶をどうぞ。他では出会えないような珍しいお茶も多いんですよ。
缶やパックの他にも、ティーバッグでの用意もあるので、家に急須がない方や、気軽に淹れたいときにもいいですね。手みやげにも選びたいパッケージです。

「カネ十農園」の「カネ十アールグレイ」

特に人気なのは「カネ十アールグレイ」。カフェインを抑えた一番茶に、ベルガモットで香りづけしたオリジナルのアールグレイです。

「カネ十農園」の「柚子煎茶」

プライベートで以前お邪魔したときは「柚子煎茶」を買ったことがあります。こちらは一番茶に柚子とレモングラスをブレンドしたハーブ緑茶。爽やかな香りで、これからの夏の季節にもぴったりのお茶なんですよ。

また「ほうじ茶」も、一番茶を使用することで香りが立つと人気なんだとか。

表参道に農園直営のカフェを開いた「カネ十農園」

ティーバーテンダーの松本貴志さんにもお話をお聞きしました。

「カネ十農園」のスタッフ

左:松本さん 右:加藤さん

松本さん:「このカフェは、『表参道っていう東京の中心に、農園の直営店があったらおもしろいよね』というところから始まっていて。直営ゆえにスタッフから詳しい話も聞けるし、新しいお茶を楽しめるように、加藤さんが工夫を凝らしたメニューを開発しています。お茶のイメージが変わりますよ!」

「カネ十農園 表参道」の特徴は、全部お店の中で創りあげていくこと。
紅茶の先生や、和菓子の練り切りをつくれる方など、それぞれの個性でつくりあげたお店だと松本さんは話してくださいました。

植物

このお店がオープンしたのは、2018年の6月27日。取材は一周年間近の日におこないました。スタッフの皆さんの仲の良さが、取材の時にも印象的でした。

松本さん:「カネ十農園っていろんな製法をするんですよ。カフェインを抜くとか、アールグレイの茶葉作るとか。玄米茶は玄米専門の方に煎ってもらった一等米を混ぜるとか。使うのはすべて一番摘みのお茶(一番茶)なのが特徴ですね」

「カネ十農園」の茶葉のパッケージは缶入りと袋入りとある

創業100年を超える「カネ十農園」は、昔ながらの方法を大切に守りつつ、新しい試みにも積極的です。

仕入れはせず、全て自分たちの茶葉のみを使うこだわり

「カネ十農園 表参道」たくさん並ぶ急須

農園が営む日本茶カフェ。「カネ十農園 表参道」の特徴ってどんなところにあるのでしょうか。

「カネ十農園」の茶葉

松本さん:「特に、自分たちの農園の茶葉しか使わないところですね。他のお茶屋さんやティースタンド、お茶カフェだと、どうしてもお茶を仕入れるところから。僕たちは自分たちで茶葉を作ってそのまま販売しているので、お茶のあれこれを伝えやすいっていうのはありますね。例えば、お茶づくりの失敗談とかコアな話はお客様が喜びますね(笑)」

例えばどんな失敗があったんですか?と聞くと、

松本さん「機械が停まって、まちがって(発酵が進みすぎて)紅茶ができちゃったとか。だいたい300万円くらいの損失だったそうです」

衝撃の金額……! お茶づくりの苦労の裏側を垣間見ることのできるお話でした。

「お茶を飲むときって、何を飲むかより、誰と飲むかだと思うんです」

お店へ来るお客さんの層は幅広く、若い方からご年配の方までさまざま。ふだんはお茶の話をするよりも、お客さんと世間話をしてコミュニケーションをとることを大切にしているとのこと。

「カネ十農園 表参道」のカウンターでお茶をそそぐスタッフ

松本さん:「常連さんはお茶と一緒にスタッフに会いに来ているっていう人が多いんですよ。そういうのが強い店かもしれません。接客をそうしようと思っているわけじゃなくて。勝手にスタッフが意識してるんですよね」

「カネ十農園」のスタッフ

松本さん:「お茶を飲む時って、何を飲むかより、誰と飲むかだと思うんです」

松本さんは元々バーテンダーをされていたのだとか。

松本さん:「お酒がそうじゃないですか。お茶もそのイメージに近いと僕は思っています。普通家で飲むものじゃないですか、お茶って。だからこそ、日本茶カフェに付加価値をつけるのは、スタッフのキャラクターであったり、変わったメニューがあったり。自分たちでつくってるというのも、付加価値のひとつではありますね」

松本さんや加藤さんのお話や、取材の際のあたたかなコミュニケーションの取り方から、おいしいお茶をそのまま届けるのはもちろん、対面で接するお客さんを大切にしている姿勢を感じました。

隠れ家にある、敷居の低い日本茶カフェ

「カネ十農園」のスタッフ

あまりにすてきな写真なので、2回使ってしまいました!

「お茶の話より、最近は競馬の話ばっかりしてますよ(笑)」なんて、笑いながら話してくれる松本さんや、一見クールに見えつつも、ひょうきんな行動やさりげない気遣いで場を和ませてくれる加藤さん。

まず、味へのこだわりをとことん追求する。カフェとして、それを楽しむお客さんの居心地まで手をぬかない。そんなスタイル、格好良すぎませんか。

「カネ十農園 表参道」の暖簾横に立つスタッフ

こだわりの味を楽しむのはもちろん、ぜひスタッフの皆さんへ会いに行ってみてはいかがでしょうか。

カネ十農園 表参道(カネジュウノウエン オモテサンドウ)

東京都渋谷区神宮前4丁目1-22
TEL:03-6812-9637
営業時間:11:00-19:00
定休日:月
http://kaneju-farm.co.jp

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