神田「古瀬戸珈琲店」 ― 200以上のコレクションから、お気に入りのうつわを選べる喫茶店

その時の気分に合った色・デザインのコーヒーカップでゆったりと過ごしたい。多くのコーヒーショップでは、店名などの入ったシンプルなうつわで提供されることがほとんどですよね。こだわりのコレクションからお気に入りのカップを選べる喫茶店が、神田にあります。柄や意匠の素敵なカップを眺めながら過ごせば、いつものコーヒータイムがより贅沢に感じるかも。今日は「古瀬戸珈琲店」を訪れました。

瀬戸市出身のオーナーが選ぶこだわりのうつわが200種類以上

神田から御茶ノ水のエリア。古書と楽器とスポーツ用品店が立ち並ぶこの街は、幅広い年齢の方が自分の趣味のために訪れています。古瀬戸珈琲店は、色々な文化の入り混じるこの街に、38年ものあいだ店を構えています。

古瀬戸珈琲店の入り口

古瀬戸珈琲店の看板

昔ながらの洋食屋さんと古書店の間の小さな階段を上がって入ると、ズラリと並ぶうつわに迎えられました。

古瀬戸珈琲店のカウンター席

古瀬戸珈琲店はオーナーが瀬戸市出身ということで、うつわにこだわった喫茶店をオープンしました。瀬戸物だけでなく、海外のブランドものから国産のものまで200~250種類のうつわが店内に並んでいます。

店長の佐藤孝さんにお話をお伺いしました。

佐藤さん:「年配のお客さまは若い時に流行った、海外のブランドもののうつわを選ばれることが多く、若い世代の方は国産のぽってりとした国産の陶器を選ぶ方が多いんです」

うつわを選べるのは、カウンター席に座り、ホットドリンクを注文したお客さん限定のサービス。

古瀬戸珈琲店のカップ&ソーサー

今回私は、パッと目についたカラフルな柄のうつわでブレンドコーヒーを淹れていただきました。

ドイツ ローゼンタールのカップ&ソーサー

佐藤さん:「そちらのカップ&ソーサーはドイツの『ローゼンタール』という工房のものです。モザイクのような柄の中に人が踊っているのが分かりますか?」

よく見るとパレードのような絵が描かれていて、踊っている様子が描かれています。このうつわは38年前のオープン当初から使われているものだそう。
最近ではあまり見ないカラフルな色使いは、見ているだけで明るい気持ちになります。

ドイツ ローゼンタールのカップ&ソーサー

うつわを見ながらゆっくりコーヒーを味わっていると、「気持ちを明るくしたいからこのカップを選んだのかな? ちょっと落ち込んでいたのかしら……」なんて、自分の気持ちを考えるきっかけにもなりそうです。

ついつい目移りする、色とりどりの世界のうつわたち

佐藤さんに、いくつかうつわを見せていただきました。

イタリア「リチャードジノリ」カップ&ソーサー

リチャードジノリ カップ&ソーサー

まずは、1700年台にイタリアで作られた「リチャードジノリ」というブランドのカップ&ソーサー。当時、ドイツのマイセンに匹敵する窯を作りたいと、カルロジノリ侯爵が立ち上げました。こちらは、現在もイタリアで営業している老舗カフェ「カフェグレコ」のオリジナルカップです。

リチャードジノリ カップ&ソーサー

小ぶりなカップは金縁が美しく、持ち手が華奢なデザインでした。オレンジ色のうつわも、意外と珍しいかもしれません。

ドイツ「マイセン」朱色の龍が描かれたうつわ

ドイツ マイセンのカップ&ソーサー

朱色の龍が描かれているカップは「マイセン」のうつわです。約300年も前から続くドイツの名窯マイセン。青い玉ねぎが描かれたブルーオニオンや、お花をモチーフにした宮廷の小花といった、優しく繊細なデザインが有名ですが、こちらのうつわはキリっとした朱い龍が描かれていることに驚きました。カップ・ソーサーどちらの縁も炎のように波打っていて、ドイツのうつわながら懐かしさを感じます。

イギリス「ウェッジウッド」ジャスパーシリーズ

イギリス ウェッジウッドのカップ&ソーサー

続いて、「ウェッジウッド」のうつわ。20~30代の方よりも、50代以上の方が好きなうつわだそう。イギリスで発足、世界最大級の陶磁器メーカーです。
こちらはストーンウェア(炻器※せっき)で作られた、ウェッジウッドの代名詞とも呼ばれる「ジャスパー」シリーズ。素焼きのぽってりした厚みに、ウェッジウッドブルーとも呼ばれる柔らかな色合いは、若い方にも人気があるそうです。

ずっしりと重量のあるカップは安定感があり、なんだかホッとするあたたかさがあります。レース細工のような細かい手作業のあとが見て取れました。

フィンランド「アラビア」バレンシアシリーズ

フィンランド「アラビア」バレンシアシリーズ

フィンランドを代表するブランド「アラビア」。現在の北欧ブームで、日本でも一躍有名になった名窯です。ムーミンモチーフのマグカップ、フルーツが描かれたプレートが有名ですが、カップでは24h トゥオキオ マグがよく知られています。こちらのうつわと似ているな…と思っていましたが、こちらは「バレンシア」シリーズといって、すでにデッドストックになっているそう。この器を見かけると、これで飲みたいと言う若い方が多くいらっしゃるそうですが、その気持ちはよく分かりました。

その他にも国内の作家さんの器は、土の温かみのある器が多く並んでいました。

古瀬戸珈琲店のカップ&ソーサー

古瀬戸珈琲店のカップ&ソーサー

古瀬戸珈琲店のうつわたち

コーヒーの淹れ方も、その人にあわせて

佐藤さん:「コーヒー豆は、全体的に深煎りの豆を使用しています。コーヒーは飲んでいる途中でどうしても温度が下がってしまうので、なるべく最後まで雑味が出ずに味が変わらないような味になるように意識しています」

38年お店をやっている中で、常連さんも少しずつご年配になっていきますが、年々深煎りの濃いコーヒーを飲むのが辛くなる方もいるそうです。
オーダーごとに一杯ずつ淹れるので、そんな方には少し薄めのコーヒーを出すなどして工夫をしていると話してくださいました。
一杯ずつ丁寧に淹れるからこそ、その人に合ったコーヒーを飲んでもらいたいという想いが伝わってきます。

ドイツ ローゼンタールのカップに入れた珈琲

淹れていただいたコーヒーを飲むと、濃い目の味わいで、少しの苦味。するすると飲めてしまいます。酸味や雑味もなく、最後まで美味しく味わえました。

好きなものを「選ぶ贅沢」

気になったうつわでていねいに淹れてもらったコーヒーを飲む時間は、自分の好きなものに囲まれる安心感があります。色々なうつわを眺めていると、自宅のうつわを思い出して、料理や盛り付けのアイデアが湧いてきました。安定した日常の中にちょっぴり刺激が加わった気分です。

新卒で入った会社が御茶ノ水にあったので、よく歩いていた御茶ノ水、神田エリア。
少し歩けば古書店がひしめいています。お店や人は入れ替わっていても、いろいろな文化が入り混じる街の表情は変わっていませんでした。
いつも決まったうつわで飲むお気に入りのカフェも素敵だけれど、ちょっとした刺激と、お気に入りを探す贅沢を味わいたいときは、古瀬戸珈琲店を訪れてみてはいかがでしょうか。

古瀬戸珈琲店

住所:東京都千代田区神田小川町3-10 江本ビル2F
電話番号:03-3233-0673
営業時間:
月~金/11:00 – 22:00(L.O.21:30)
土日祝/11:00 – 21:00(L.O.20:30)
定休日:不定休
Webサイト:
https://www4.hp-ez.com/hp/kosetocoffee-srgdist/page1

WRITER

気になるコラム