「アンヂェラス」老舗純喫茶のモンブラン|秋は、いもくりかぼちゃ! 第2話

浅草に住んでいると、友だちから案内を頼まれることも多い。今度、久しぶりに合う幼馴染は純喫茶好き。浅草で純喫茶と言ったら、あの名店に連れて行かないと。

アンヂュラス

雷門通りから横に伸びる商店街のひとつ、オレンジ通り商店街にそのお店はある。「アンヂェラス」は昭和21年創業。お店と同じ名前のケーキが有名だけど、わたしは、ここのモンブランのファンだったりする。

アンヂュラス

開店直後の11時、幼馴染と連れ立ってお店の扉を開いた。まだ混んでいない店内は、ステンドガラスから光が差し込んで神秘的な雰囲気だ。

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案内されたのは、1階の奥の席。注文がてら、少し店員さんに話しかけてみる。

アンヂュラス

「アンヂェラス」というのは、祈りの時刻を知らせる教会の鐘の音のことだと聞いたことがあるんですが、やっぱり内装は教会風なんですか?

アンヂュラス

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「そうですね。ヨーロッパの教会や山小屋をイメージしてつくったと聞いています。初代店主が、内装にはかなりこだわったようで……。椅子もすべてオリジナルでつくったものなんですよ。壊れたら修理に出して、創業時と同じものを使い続けています」

アンヂュラス

テーブルに飾られた手塚治虫のサインにひとしきり盛り上がっていたら、すぐに注文したものがやってきた。わたしが頼んだのは、モンブランとダッチコーヒー。

アンヂュラス

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幼馴染は、フォトジェニックなフルーツポンチを注文していた。

アンヂュラス

「最近はクリームソーダも人気ですね。モンブランは、意外と年配の男性にも人気なんですよ」

年配のご夫婦が、ふたりで仲良くモンブランを食べていることもあるのだと言う。かわいらしいエピソードにほっこりしながら、待望のモンブランを頬張る。

アンヂェラスのモンブランは、スポンジケーキの上にマロンクリームが乗った昔ながらのタイプ。見た目のボリュームからイメージするより、甘さ控えめで軽めの味わい。だからこそ、年配の方や男性にも好まれるんだろうなぁ。

アンヂュラス

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水出しのダッチコーヒーは、苦みが少なくてすっきりとしている。モンブランを口に運んで、ほこほこした栗の甘みを堪能してからダッチコーヒーをひと口。うん、この組み合わせがやっぱり最高!

「ダッチってことはオランダのコーヒーなの?」と首を傾げた幼馴染にうんちくをひとつ。インドネシアに渡ったオランダ人が、水出しっていう抽出法を考えたらしいよ。現地のコーヒーが苦くて飲めなかったんだって。

アンヂュラス

このダッチコーヒーに梅酒を加える「梅ダッチコーヒー」を、手塚治虫はよく飲んでいたのだとか。それを知った手塚ファンの幼馴染、次は絶対に頼もう、とつぶやいた。

わたしも大好きなお店を、彼女も気に入ってくれてうれしい。また連れてくるから、今度はモンブランも食べてみてほしいな。

アンヂュラス

戦後すぐから浅草を見守り続ける「教会」で、久しぶりに会った友だちと一緒に食べる大好物は、いつもより特別においしかった。

アンヂュラス

取材・編集:菊地飛鳥 企画構成:haletto編集部

写真:川瀬一絵
島根県出雲市出身。忘れっぽいことへの焦燥感から写真を撮り始め、些細な体感を収集するように撮影を続けている。
近所や訪れた先々で適当に散歩して道に迷うのが趣味。
http://yukaistudio.com/?cat=22

アンヂェラス

東京都台東区浅草1-17-6
TEL:03-3841-9761
営業時間:11:00-21:00(LO20:40)
定休日:月曜 ※祝日・催し物の際は営業
Webサイト:
http://www.asakusa-angelus.com/

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この特集について

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