「D&DEPARTMENT TOKYO」47の個性とロングライフデザイン|身近な日本にであう街 第2話

日本全国、ご当地のお酒に興味を持って以来、身の回りの日用品の生産地も気になるようになった。そんなとき、偶然立ち寄って大興奮してしまったのが、渋谷ヒカリエ8階にある「d47」だ。

D&DEPARTMENT TOKYO

dは「design」のdで、47は都道府県の数。伝統工芸品から食品まで、各地の物産が幅広く紹介されている。d47を運営しているのは、デザイナーのナガオカケンメイさんが立ち上げた「D&DEPARTMENT」。2000年に東京店をオープンし、現在は国内外に12店舗を展開しているのだそう。第1号店である東京店が、九品仏駅から歩いて10分ほどの場所にあると知ってびっくり。さっそく足を運んでみることにした。

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駅前の商店街を抜けて、環八通りを歩くことおよそ3分。「D&DEPARTMENT TOKYO」は、注意深く探していないと見過ごしてしまいそうな古い建物だった。

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1階にはダイニングとブックコーナーに加え、自然栽培メインの八百屋さん「ナチュラル・ハーモニー」も出店している。メインのショップは2階にあるみたい。期待に胸を高鳴らせながら、どことなく小学校の校舎を思わせる階段を登る。

D&DEPARTMENT TOKYO

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広々とした空間に流れる凛とした空気。絶えずたくさんの人が行き交っていたd47とは少し雰囲気が違う。手前には調味料などの食品や、お皿やグラス、お鍋といった生活道具、服やファッション小物が置いてあって、奥は大きめの家具のコーナーになっている。こんなにもたくさんのものが置いてあるのに、ごちゃついた印象がまったくなくて不思議。

D&DEPARTMENT TOKYO

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厚くて頑丈そうなグラスの美しいカッティングに見とれていたら、そのグラスはもちろん、すべての商品に意味深な値札がついているのに気づいた。

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「アデリア60 ルック コークグラス」というのはきっとブランド名と商品名。生産地は愛知県。では、黒い丸の中に白抜き文字で印刷された数字は何なのだろう? このグラスは「48」だけど、左のカップの値札には「14」とある。長崎県産の陶器の醤油さしは「59」。気になって、近くにいた店員さんに質問してみた。

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「それぞれの製品が発売されてからの年数を表しています。D&DEPARTMENTのテーマはロングライフデザイン。長く続いている“こと”や“もの”には大切な本質があると考えています」

「アデリア60 ルック コークグラス」は、48年もの間、かたちを変えずに生産され続けている製品なんだ。懐かしさと新しさを同時に感じさせるデザインの背景にある年月を知ると、ぐっと製品そのものへの愛着が湧いた。「時間が認めたデザインってことですね」という店員さんの言葉に深く頷く。

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「ここに訪れるお客様には、長く使えるいい製品にめぐり会ってほしいんです。だから、一過性の流行で消費されない、普遍的なデザインのものだけを取り扱っています。この建物自体も、古いアパートメントを改装したものなんですよ」

なかなか一般的にはなじみのない業務用品や工業製品も各地から発掘し、日常の中で役立つ生活道具として紹介することにも力を入れているのだと言う。

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「医療用のステンレスプレートは人気ですね。アクセサリー入れにもぴったりですし、錆びにくいのでお風呂の石鹸入れや台所のスポンジ入れとして活用している方も多いようです」

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なだらかな曲線を描くステンレスプレートは、言われてみれば、意外とどんなお部屋にもマッチしそう。使い方は自分のアイデア次第なのもワクワクする。

目を輝かせながらひとつひとつの製品について説明してくれる店員さんに、色々な用途に使えそうなサイドテーブルを探しているんです、と相談してみた。できれば、あまり場所を取らないサイズがいいんですけど……何かおすすめはありますか?

「群馬県のものづくり集団『エーアイラボオオタ』さんとコラボレーションしてつくった『Sampling Furniture Container サンボックス34』はいかがでしょう?」

オリジナルの脚の上に乗っているのは業務用のプラスチック箱。専用の蓋を閉じればサイドテーブルになるし、箱の中には本や小物も収納できる。

「代表のナガオカは、箱の中に色々な植物を収納し、飾っています。箱のサイズは4種類、脚の高さは3種類ご用意しているので、組み合わせ方を考えるのも楽しいですよ」

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わたしの知るサイドテーブルのイメージとはかなり違う製品だけど、これなら、何年か後に結婚や出産をしたとしても、そのときのライフスタイルに合った使い方が見つかりそう。

改めて、店内をゆっくりと見てまわる。気になるものを見つけたら、生産地と「年数」をチェック。d47でも感じた「日本」を俯瞰で眺められる楽しさが、ロングライフデザインというテーマを知ってより強くなった気がする。

D&DEPARTMENT TOKYO

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今回は、ひとまずサイドテーブルの購入は見送り。長く付き合う家具だから、じっくり考えて選びたいと思います。そう店員さんに伝えたら「またいつでも来てくださいね」と微笑んでくれた。

帰り道、頭の中に浮かぶのは、今日発見した魅力的な“もの”たちを、日常にどう迎えようかということばかり。これは、足繁く通うことになる予感。わたしとD&DEPARTMENT TOKYOも、長い付き合いになりそうだ。

D&DEPARTMENT TOKYO

取材・編集:菊地飛鳥 企画構成:haletto編集部

写真:川瀬一絵
島根県出雲市出身。忘れっぽいことへの焦燥感から写真を撮り始め、些細な体感を収集するように撮影を続けている。
近所や訪れた先々で適当に散歩して道に迷うのが趣味。
http://yukaistudio.com/?cat=22

D&DEPARTMENT TOKYO

東京都世田谷区奥沢8-3-2
TEL:03-5752-0120
営業時間:ショップ 12:00-20:00
ダイニング・LONG LIFE DESIGN BOOKS(ブックコーナー) 11:30-19:00(LO 18:00)
定休日:水曜
Webサイト:
https://www.d-department.com/

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この特集について

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