偶然を楽しむ東京旅行 ― 神楽坂のゲストハウス「UNPLAN」

文化の香りが漂う、大人の街。神楽坂という街に憧れています。芸者さんがいて、路地裏に美味しい居酒屋があって、出版社やフランス政府公認の語学学校(アンスティチュ・フランセの記事はこちら)があって……。「神楽坂に詳しい人」=「粋な大人」。わたしの中にはそんな方程式があるのです。

神楽坂

そんな神楽坂には、2016年4月にオープンした「UNPLAN Kagurazaka」というゲストハウスがあります。UNPLANという名前には「予定を決めず、その場の雰囲気で行き先を決めて、新たな出会いを楽しんでもらいたい」という思いが込められています。この街らしい粋な偶然を楽しもうと、夏のある日、神楽坂へ向かいました。

神楽坂

東京メトロ神楽坂駅から、歩いて5分ほど。商店街から少し離れて、住宅が立ち並ぶ落ち着いたエリア。宿は、前面がほぼガラス張りの3階建ての建物です。宿泊施設としては珍しいつくり。もともと飲食店舗が入るテナントビルとして計画されていたのですが、途中でゲストハウスとして利用することになったため、開放的なつくりの建物になったのだそうです。夜になれば、外に漏れ出る電球色の照明がふんわりとあたりを包みます。

UNPLAN kagurazaka

UNPLAN kagurazaka

1階のラウンジは、宿泊者だけでなく外からのお客さんも気軽に利用出来るカフェ・バー。中に入ると、すでに数人のゲストがいました。旅の予定を話し込んでいるのでしょうか、仲間でワイワイ語り合う人もいれば、パソコンで黙々と作業する人もいました。その場にいたほとんどが海外からの宿泊者のようです。

チェックインを済ませ、3階の女性専用ドミトリーへ向かいます。

UNPLAN kagurazaka

UNPLANにはドミトリーと個室合わせて76床のベッドがあります。わたしのベッドは、3階のエレベーターを降りて、目の前にある女性専用ドミトリーの一番奥のベッド。きちんと整えられた寝具と、ハンガー2つと、貸出用のiPhoneがあるだけのとてもシンプルな空間でした。

UNPLAN kagurazaka

3階にあるコモンスペースは、ソファーに机、テレビと簡易キッチンがあり、まるで誰かの家に遊びに来たかのよう。屋上は、寝そべることのできる椅子があって、遠くにはスカイツリーが見えました。この宿の中だけでも、ゆっくり過ごせる空間なのだと感じます。

UNPLAN kagurazaka

UNPLAN kagurazaka

UNPLAN kagurazaka

掲示板にはゲストからの感謝を伝える手紙や、UNPLAN Kagurazaka主催のイベント告知などが貼られていました。旅人が集まり、愛されてきた宿です。

UNPLAN kagurazaka

ゆっくりしているうちに、夜もそろそろいい時間。ラウンジへ向かいます。わたしはゲストハウスのラウンジが好きです。別々の旅をしている人たちが偶然その場に集い、語りあう場所。旅する時間のうちのほんの一瞬であったとしても、とても濃密な時間だと感じています。

22時半を過ぎているというのに、先ほどよりも人が増えて、ほぼ満席。神楽坂のおいしい居酒屋で旅の思い出を語り合い、興奮冷めやらずに戻ってきたのでしょうか。知らない誰かの会話に耳を傾けつつ、ビールを一杯。今夜は茨城県のクラフトビール「常陸野ネストビール(ホワイトエール)」を注文しました。コリアンダーやオレンジピールが効いていて、さっぱりした味でいい感じ。

UNPLAN kagurazaka

UNPLAN kagurazaka

UNPLAN kagurazaka

20年ほど神楽坂に住んでいるというスタッフの得能(とくのう)さん。スタッフのみなさんで作ったガイドブックを見せてくれました。外国人のゲストでも分かりやすいように英語で書かれたガイドブックで、パン屋さんやカフェ情報などが豊富に掲載されています。タイトルは「The UNPLANNER’s Guide to Kagurazaka」。ふらりと訪れただけの旅も、このガイドブックに出会えたら面白い発見ができるかもしれません。

UNPLAN kagurazaka

得能さん:「神楽坂は商店街もにぎわっていて人気の街ですが、昔から住む地元の方々もたくさんいらっしゃるので、浮かれていない街だなと思っています」

明日は、一晩をすごした神楽坂をゆっくり周ろう。清潔なシーツに包まれて、眠りにつきました。

UNPLAN kagurazaka

いつもよりもだいぶ長く寝て目覚めた翌朝。簡単に身支度を整えてから、ラウンジで朝食をいただきます。たっぷりのバターといちごジャムをつけた食パンと、塩をまぶしたゆで卵と、珈琲。甘みと塩気と苦味とが口の中で広がります。

UNPLAN kagurazaka

UNPLANを後にして、ぶらり神楽坂の街を歩きます。隈研吾さん監修でリニューアルされた赤城神社、亀井堂のクリームパン、五十番神楽坂本店の肉まん。はじめての神楽坂は、あまり広くないエリアということもあってついつい定番に目がいきがち。でもふと目をやると、気になる細い裏路地。薪で湯を沸かすという銭湯。どこかへと続く石段。

神楽坂

神楽坂

神楽坂

この日は偶然、神楽坂通り商店街が主催する「神楽坂まつり」でした。浴衣、冷えたビール、真っ赤なほおずき、うちわ、スーパーボールすくい。せっかくだからのぞいていこう、と散策は夕方すぎまでつづきました。

神楽坂

神楽坂

週末のおでかけで人気の街に、あえて泊まる。その街を一点集中、ゆっくり楽しむことができます。ぐっすり眠って元気な脚で歩けば歩くほど、興味を惹かれる風景にたくさん出会いました。今日のわたしが見つけた、神楽坂。偶然を楽しむUNPLANな東京旅行を求めて、近いうちにまたこの宿を訪れたいと思います。

今度は夜ごはんにも行きたいな。

神楽坂

神楽坂

神楽坂

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UNPLAN Kagurazaka

東京都新宿区天神町23-1

TEL:03-6457-5171

営業時間:チェックイン16:00-23:00、チェックアウト8:00-11:00 、ラウンジ月曜〜土曜8:00-23:00(L.O.22:30)、日曜のみ8:00-19:00(L.O. 18:30)

定休日:なし

Webサイト:https://unplan.jp

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