毎日食べても飽きない味を。「二人のおうち」で楽しむ、日常のお菓子とごはん ― 経堂「Paddbre」

「経堂に素敵なお店ができたんです」
そう教えてもらったのは、夏が始まったばかりのころでした。

Paddbre(パドブレ)

お店の名前は「Paddbre(パドブレ)」。経堂駅北口のロータリーを右手に横断歩道を渡ったら、そのまま駅を背にして歩きます。信用金庫の角を曲がって出てきたのは駐輪場。「本当にお店なんてあるの……」と不安になったころ、2つの一軒家が左手に見えます。Paddbreは、その奥のほう。ピンクの椅子に掲げられる看板が目印です。

Paddbre(パドブレ)

Paddbre(パドブレ)

1階を改装したお店の前は、ガレージのように開けた空間にテーブルと椅子、それに真っ白な壁と扉。階段を上がってビニールをくぐります。そろそろと店内に顔を入れると、朗らかな笑顔に迎えられました。

ランチと焼き菓子が楽しめる、「二人」のお店

Paddbre(パドブレ)

つなぐ、という意味を持つ「Paddbre」と名付けられたお店は、焼き菓子担当の柳川さゆりさん(写真左)とランチやカフェ担当の重谷優さん(写真右)が営んでいます。お二人は大学の同級生で、経堂でキャンパスライフを送っていました。卒業後はそれぞれにお仕事をしていましたが、共通の知人の紹介でこの経堂の場所を借りられることになってお店を始めます。オープンしたのは、2018年の6月。

Paddbre(パドブレ)

柳川さん:「本当にいろんな人に助けてもらいながら成り立っているお店なんです」
重谷さん:「焼き菓子のプライスカードもお店の内装も、これまでのお店で出会ったお客さんや知り合いに、作ってもらったり手伝ってもらったりで形になってます」

Paddbre(パドブレ)

Paddbre(パドブレ)

外国の家を意識した内装は自分たちで壁を塗ったり、ヴィンテージのインテリアを選んだりしているそう。整理整頓されすぎていない感じも、生活感があって安心します。客席からキッチンの様子が見えて、お二人のおうちにお邪魔したようなわくわく感。

Paddbre(パドブレ)

柳川さん:「ランチもお菓子も、おうちで作るものをイメージしているんです。毎日食べても飽きないようなごはんやお菓子にできたらいいねって」

Paddbre(パドブレ)

お店では週替わりのランチや焼き菓子を楽しむことができます。
所狭しと棚に置かれた焼き菓子は気取らない可愛さ。さくさくビスケット、マフィン、キッシュ、クランブル、チーズケーキ、バナナケーキ……確かにこんなにたくさんの種類があったら、毎日買いにきても飽きないなあ。

Paddbre(パドブレ)

お菓子にみとれていたら、ランチの食前酵素ジュースが運ばれてきました。フルーツを発酵させたジュースはその日によって入っている果物が違うそう。この日はプラムと桃でした。小さめのグラスに入ったほんのりピンク色のジュースを一口いただくと、酸っぱいのに爽やかな甘味。甘みも酸味もちょうどよく、身体がよろこぶ気がします。

Paddbre(パドブレ)

ジュースはもちろん、梅干しもお店に並ぶジャムもすべて自家製。お菓子には旬の果物を取り入れているので、買いに来る時期によって違う味が楽しめるとのこと。

いつものメニューだから実感する、手の込んだやさしいごはん

そうこうしているとランチが登場。ワンプレートいっぱいに乗ったごはんについつい感嘆の声を上げてしまいました。

Paddbre(パドブレ)

今日のメニューは、玄米と小豆のごはん、だし巻き卵、きゅうりのお漬物、揚げ出し豆腐、口水鶏、ゴーヤとツナの和え物、サラダ、それと手作り味噌の味噌汁です。

Paddbre(パドブレ)

いただきます。ぱく、もぐもぐ。ぱく、もぐもぐ。こんなに優しくておいしいごはんを食べるのは久しぶり。中でもわたしが好きだったのが揚げ出し豆腐です。ちょうどいい油分のお豆腐にナス。甘み付けには糀が使われているので、お料理のそこここに隠れた米粒が見えました。

Paddbre(パドブレ)

日常的なお惣菜のメニューで安心します。ただ、どれにもしっかり、手間がかかっています。自宅ではこんなにていねいに作ることはしないなあ……。手の込んだやさしい味付けだからこそ、飽きずにまた来たくなってしまうのかもしれません。

ランチを食べていると、常連のお客さんがいらっしゃいました。この日は焼き菓子を手土産に買っていく様子。会話に聞き耳を立てているとおしゃべりが続きます。

Paddbre(パドブレ)

お客さん:「今日はランチにゴーヤがあるのね。うち、わたし以外ゴーヤ苦手で食べないのよ」
重谷さん:「苦みが苦手な方も多いですもんね」
お客さん:「そうなのよ。何かうまく食べられる方法ないものかなって」
重谷さん:「うーん、ツナやマヨネーズと合わせると苦手な人も食べやすく感じると思いますよ」

Paddbre(パドブレ)

一人でも、にぎやかでも。不思議な居心地

不思議だったのは、別のお客さんとお二人が話しているのに、わたしも居心地が良かったこと。特に会話に参加するわけでもないのに、そわそわ感はもちろん寂しさもありません。

一人で居る時間も、キッチンの中でお二人が話す声と、キッチンで作業する音になんだか安心します。「ゆっくりしていってくださいね」という言葉のまま、柳川さんと重谷さんのつくりだす雰囲気がお店を包んでいるようです。

Paddbre(パドブレ)

Paddbre(パドブレ)

たっぷり食べてお腹もいっぱい。焼き菓子は持ち帰っておやつに食べることにします。とはいえ、どれにしよう。

Paddbre(パドブレ)

柳川さん:「一番人気はチーズケーキ。今日は今が旬の桃のチーズケーキと、ラムとキャラメルのチーズタルト、それとキャロットケーキ。要冷蔵なんですけど、どれもぜひ食べてもらいたいです」

そんなこと言われると、全部欲しくなってしまいます……! 結局、たくさん悩んでチーズタルトとバナナケーキを持ち帰ることにしました。

Paddbre(パドブレ)

柳川さん:「時間が経つとタルトに水分がしみちゃうので、ぜひ本日中にお召し上がりくださいね」

お菓子を受け取ってお会計を済ませると、お客さんがまたやってきます。猛暑の中やってきたお客さんたちはパタパタと顔を仰ぎながら「暑いですねえ」と話しかけてくれました。店内がより賑やかになります。

Paddbre(パドブレ)

毎日食べても飽きないお菓子とごはんがあって、朗らかな雰囲気の二人がいる。そんな特別すぎない「おうち」みたいなお店だから、居心地がいいんだろうなあ。笑顔の二人に見送られてお店を後にしてから、そういえばわたしもずっと笑っていたことに気づきます。日常に溶け込むやさしさに、きっとまた会いに来よう。

Paddbre(パドブレ)

Paddbre(パドブレ)

Paddbre

東京都世田谷区経堂2-4-14
営業時間:11:30 – 17:30(売り切れじまい)
定休日:日・月

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