池のほとりをぶらぶら歩けば|朝がきたら、でかけよう 第2話「洗足池公園」編

ちょっと締め切りが立て込んでくると、途端に引きこもりがちになってしまう。運動不足は健康にも良くないので、できるだけ散歩するよう心掛けている今日この頃。

お気に入りのお散歩コースもいくつかできた。早く起きた朝には、仕事に取りかかる前に洗足池公園をぐるりと一周するのが気持ちいい。

このあたりで暮らすようになって何年か経つのに、実は、洗足池公園にはじめて足を運んだのはつい先月のこと。東急池上線の洗足池駅で降りて、しばらく歩くのかと思ったら改札を出てすぐ目の前に池があってびっくりした。

池周辺の案内図の向こう側にはボート乗り場が見える。ぷかぷかと呑気に浮かぶスワンたちは、まだ出動前みたい。今なら一番乗りできるかも。ふと思ったけれど、そういうのは休日に取っておこう。

洗足池の外周はおよそ1.2km。のんびり歩いても20分くらいで1周できる。前に訪れたのは梅雨の時期だったので、ところどころに紫陽花が咲いていて綺麗だった。秋の紅葉も、春の桜も素晴らしいと聞いたので今から楽しみ。

天気予報は外れて、雨は降りはじめていない。バッグに忍ばせた折り畳み傘の出番、なければいいけど。薄灰色の空を見上げる。

たまに雲の切れ間から光が差し込み、うっそうと茂った濃い緑を照らす。新緑の瑞々しさとは少し違うけれど、真夏に向かう直前の、むせ返るような生命力にあふれた草木も好きだ。刻一刻と移り変わる季節ごとの景観を楽しむのにも、朝の散歩はぴったりなんじゃないかな。

太鼓橋から池を覗き込むと、鯉がわらわらと集まってきた。洗足池には、なぜか金色の鯉が多い。

池に浮かぶ小島に鎮座しているのは洗足池弁財天。弁天島と呼ばれる小島に建つ朱色の社殿が橋からよく見える。せっかくだから、今日はお参りしていくことにしよう。

弁天島へといたる遊歩道でカルガモの親子と出会った。親カルガモに見守られながらピヨピヨ泳ぐ2羽の子カルガモの健気さに癒やされる。どうか立派に大きくなってね。

こじんまりとした、どこかかわいらしい鳥居をくぐる前にお辞儀をひとつ。弁天さまが芸術の神さまであることは知っていたけれど、商売繁盛のご利益もあるとは知らなかった。良い原稿が書けますように。お仕事が増えますように。ちょっと欲張りして、ふたつ祈願。

木々が風に揺れる音、野鳥の鳴き声、水のせせらぎ。耳を澄ませながら歩いていると、五感が研ぎ澄まされていく気がする。

予定どおり、20分ほどで洗足池駅前に再び到着。池のほとりをぶらぶら歩いたら、なんだか頭が冴えてきた。今なら、すごく集中できそう。折り畳み傘と一緒にノートパソコンを持ってきて大正解。さっそく近くのカフェで原稿を書こうかな。

ボート乗り場では、スワンたちもえっちらおっちら動きはじめていた。

さぁ、今日も1日頑張ろう。

取材・編集:菊地飛鳥 企画構成:haletto編集部

写真:川瀬一絵
島根県出雲市出身。忘れっぽいことへの焦燥感から写真を撮り始め、些細な体感を収集するように撮影を続けている。
近所や訪れた先々で適当に散歩して道に迷うのが趣味。

洗足池公園

東京都大田区南千束2-14-5
入園料:無料
Webサイト:
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/park/senzokuike.html

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この特集について

朝がきたら、でかけよう ― 2018年7月号

フリーランスのライターとして独立したのを機に移り住んだ大田区。五反田から蒲田へと、ぐるりと弧を描く東急池上線沿いには、昔ながらの下町の素朴さが色濃く残った街が集まっている。 仕事柄、日々いろいろな場所へ取材へ出かけるので都営浅草線も...

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