Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.25

大人になった今、母の日に開いてみたい絵本

あらすじは……

主人公の女の子なっちゃんのお家に、赤ちゃんがやってきました。なっちゃんはお姉ちゃんになりました。赤ちゃんのお世話に忙しいママに対して、なっちゃんはママと手をつなぐのを「ちょっとだけ」我慢したり、自分で髪を結わいてみようとします。上手くできなくて失敗してしまうことも多いのですが、健気でかわいらしい姿が描かれています。赤ちゃんが生まれたことによって、少し背伸びをして「ちょっとだけ」頑張ってみようとする女の子を描いたお話です。

私には3歳年下の妹と、5歳年下の弟がいます。自分の幼い頃にも絵本と共通するところがあるのかなと思い、実家にいる母親に電話しました。この絵本と同じように、お姉ちゃんだから「ちょっとだけ」頑張った、背伸びしたエピソードを期待して……。
結論から言いますと、母親の回答は「う~ん……なかったかな」。そうなんです。わたしは「赤ちゃんにお母さんをとられる」や「ちょっとだけ我慢しよう」など思う子ではなかったようです。私は我が道を行くタイプで、自己主張が強かったんですね。

今回のコラムを書くにあたり、時季的に「母の日らしく、自分の幼い頃のエピソードについて書きたい」と考えていました。それでは書けないじゃない……なんて最初は思っていたのですが、電話口の母親の声からは記憶を思い返している、生き生きとした姿が伝わってきました。印象に残ったエピソードを一生懸命思い出し、一度電話を切った後も「あ、こんなことあったよね」とかけ直してきてくれたほど。

大人になると、自分のことを親と話し合う機会は、なかなかありません。期待していた特別なエピソードこそなかったものの、この絵本をきっかけに母親と楽しい時間を過ごすことができました。母親の存在は私の憧れであり、今の活動の原点です。この絵本は、そのことを思いだすきっかけになりました。

このコラムの読者の方は親の存在が「守ってもらう」から、「支えてあげたい」になっている方も多いはずです。母の日はプレゼントだけではなく、思い出の絵本を開いてみてはいかがでしょうか。「私もこんなことなかったの?」幼い頃の楽しい懐かしいエピソードとともに、きっと素敵なひとときが過ごせると思いますよ。

ちょっとだけ

作:瀧村有子
絵:鈴木永子
出版:福音館書店

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

気になるコラム