街の真髄は路地裏に。ユニークな個人店のぬくもり ― 元住吉「ブレーメン通り商店街」

一口に「商店街」と言っても、その雰囲気はさまざま。

アーケード型で雨の日でも快適に買い物ができたり、地域に密着した古くからの個人店が多かったり、あるいは、日中でもシャッターを下ろしているお店が多く、ちょっと寂れていたり……商店街からは、街ごとの特色や住む人の生活を感じることができます。

今回は、東急東横線の元住吉駅にある「ブレーメン通り商店街」に訪れました。メルヘンな名前から思い浮かべたのは、やはり「ブレーメンの音楽隊」。何か由来があるのでしょうか?

ベトナムのソウルフードで散策前の腹ごしらえ

元住吉駅についたのは金曜日のお昼過ぎ。東口のエスカレーターを降りると、線路脇の小道に気になるお店を見つけました。看板には「ベトナムサンドイッチ」の文字が。

学生やお子さん連れのお母さん、年配の女性など、入れ替わり立ち代りお客さんが入っていきます。人気の理由が気になって、商店街を散策する前に、ここで、昼食をとることにしました。

 

「ベトナムサンドウィッチThao’s」は、ベトナム生まれのサンドイッチ「バインミー」の専門店です。店長の小坂由紀さんがアメリカ留学中に出会ったバインミーの味に感動し、「日本にもこの美味しさを広めたい!」と、お店を開くことを決意。日本人の好みに合う味付けやメニューを研究し、2015年4月、念願のお店をオープンしました。

小坂さん:「元住吉は子育て世代が多く、新しいものが好きなお客さんが多いと感じます。日本人にはまだまだ馴染みの薄いバインミーですが、今では常連さんや、遠方から来てくれるお客さんも増えました」

7種類ある定番メニューの中から、一番人気の「自家製ベトナムハム&レバーパテ(レギュラーサイズ:600円)」のバインミーをいただきます。

トーストされたパンの中には、2種類のハムとチキンのレバーパテ、大根や人参、パクチーがぎっしり。オーダーが入ってから手づくりされたフレッシュなバインミーをがぶり! ほんのり甘いパンと塩気のあるレバーパテの相性もよく、食べ応え満点です。

小坂さん:「元住吉は高いビルがなく、空が広くて散策しやすい街ですよ」

小坂さんに見送られ、線路を渡ってブレーメン通り商店街に向かいます。

その日の気分でコーヒーを選んで、午後のカフェタイム

元住吉駅から西にまっすぐ伸びる商店街は、平日の昼間からたくさんの人で賑わっていました。メイン通りを歩いていると、あちこちにブレーメンの音楽隊をモチーフにした像が。ブレーメン通り商店街は、1991年にドイツ・ブレーメンにある「ロイドパサージュ」という商店街と友好提携を結んだことで、現在の名前になったのだそう。

かわいらしい音楽隊の姿にほっこりした気持ちになりつつ、メイン通りをさらに歩きます。ドラッグストアや居酒屋、ケーキ屋さんなど、軒を連ねるお店の多くがチェーン店ですが、少し脇道にそれると、花屋さんやプリン屋さんといった小さな個人店も見つかります。

商店街の賑わいから少し離れた路地裏に、落ち着いた雰囲気のカフェを発見しました。店内奥のガラス戸の向こうには焙煎機も見えます。その佇まいに吸い寄せられるようにお店に入りました。

コーヒー専門店「Mui(ムイ)」は、店長の大沢征史さんが「コーヒーをより身近に、気軽に親しんでもらいたい」と2013年にオープンしたお店。店内にはゆったりとした空気が流れ、お客さんはコーヒーを飲みながら本を読んだり書き物をしたり、思い思いの時間を過ごしています。

カフェを利用するお客さんのほかに、コーヒー豆を買い求めにくるお客さんも。店員さんと相談しながら、好みのコーヒーを選んでいきます。

コーヒーを注文するとき、悩んでしまうことがあります。産地や焙煎度合いを見ても味がイメージできず、自分がどんなコーヒーが好きなのかも上手に伝えられないんです。この日もメニューを前に長考している私に、大沢さんがアドバイスしてくれました。

大沢さん:「どんな味のコーヒーがありますか? という聞き方でもいいんですよ。コーヒーの味に詳しくなる必要もないし、自分の好みはコレ、と決める必要もないんです。その日の気分や天気によって、飲みたいものは変わりますよね。難しく考えず、コーヒーをフラットに楽しんで」

「これ、どうかな」と試飲させてくれたのが、「エチオピア イルガチェフェ ウォテステーション・ナチュラル」と「インドネシア LCFマンデリン」のコーヒー。

どちらも雑味がなくすっきりとした後味で美味しいけれど、ブルーベリーのような香りが楽しめるエチオピアのコーヒーが今日の私の気分にマッチしました。

濃厚な自家製チーズケーキと一緒に、まったりコーヒーブレイクです。

絞りたてピーナッツバターをモトスミ土産に

そろそろ陽が傾いてきました。帰路につく前に、何か元住吉のお土産を手に入れたい。そう思い、入ったのがドライフード専門店「バルクフーズ」。

店内には、透明な容器に入ったナッツやドライフルーツがずらりと並び、眺めているだけでワクワクしてきます。

朗らかな笑顔が印象的な、スタッフの福森翔太さんに購入方法を伺いました。

福森さん:「バルクフーズは、お好みの量を購入できるセルフサービススタイル。店内のプラスチック容器や瓶の中からちょうどいいサイズのものを選んで、気になる商品を入れてください。自宅にある容器を持ってきて詰めていただいてもいいですよ」

改めて、店内をぐるりと一周。珍しいなつめや柿のドライフルーツ、生かローストか選べるナッツ類、数種類の刻んだ乾燥野菜が入った「スープミックス」なんてユニークなものもありました。

バルクフーズで量り売りしている乾物食品は、なんと約200種類。その中での一番人気は、絞りたての「ピーナッツバター(10gあたり38円)」なのだそう。

絞りたてという言葉に惹かれ、本日の「モトスミ土産はこちらに決定!

機械のボタンを押すと、ソフトクリームのようにピーナッツバターが出てきます。ピーナッツ100%で砂糖などは入っていないので、パンに塗るだけでなく、お菓子づくりはもちろん、料理にも使えます。

長居すればするほど、手に取る商品が増えていく楽しいお店でした。

今回、ブレーメン通り商店街とその周辺を散策しながら見えてきたのは、個人店同士のつながりが強いこと。お店同士でコラボした新商品をつくったり、イベントを開催したりと、ユニークな取り組みをしていました。「やってみよう」というアイデアを実現しやすいのは、個人店ならではの強みですね。

個性豊かなお店がつながり合って生み出される「元住吉らしさ」。絞りたてのピーナッツバターのように、濃厚でほんのりあたたかい関係は少しうらやましいかも。「私も、素敵なお店の常連さんになりたいな」……そんなことを考えながら、元住吉を後にしました。

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素敵な服を買うように、街のフリーマガジンをつくる(前編) ― 「もとすみマニアックず。」山川みずき

渋谷駅から東急東横線に乗り換えて約25分。元住吉駅は、神奈川県川崎市に位置します。同じ沿線の

2018-05-10 15:00

ベトナムサンドウィッチThao’s

神奈川県川崎市中原区木月2-1-1
TEL:044-982-3299
営業時間:(平日)10:30-14:30、17:00-21:00、(土日祝)10:30-18:30
定休日:不定休
Webサイト:http://banhmithaos.com/

Mui

神奈川県川崎市中原区木月3-13-2
TEL:044-767-1368
営業時間:(平日)10:00-19:00、(土日祝)9:00-19:00
定休日:火曜、第1・3・5水曜
Webサイト:http://www.mui-motosumi.com

バルクフーズ

神奈川県川崎市中原区木月祇園町7-13 メゾンSK102
TEL:044-750-7899
営業時間:11:00-19:00
定休日:不定休
Webサイト:https://www.bulkfoods-market.com/

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