【ニャー そのⅣ】ヒゲ猫のチョビ- 谷中ニャンダフルライフ

結局、ハチワレ猫のトン吉は家の縁側の下がお気に入りのようで、ついにそこで寝入ってしまったんだから!

 

僕の散歩は続きます。谷中といえば……階段です。ここ、夕やけだんだんは高低差4メートル、長さ15メートルの、36段に渡るちょっと急な階段。言うなれば、谷中の猫にとって集会所でもあって、階段にはいつも「誰か」いるんですよ。

やっぱりね、きょうもいました、ヒゲ猫のチョビ。鼻の下の黒模様がちょび髭みたいだから、いつしかみんなそう呼ぶようになってね。あ、でもな、チョビじゃなくて、会長と呼ぶ猫もいますね。

ところで猫の仕事って知っています? 猫の仕事はとにかくよく寝ることです。寝ないと動けないし、寝ないと頭も働かないし、寝ないと感も鈍るのです。

どっちかな、こっちかな、あっちかな、そっちだな! と長いヒゲのアンテナ貼って、まあ、五感と時には六感を使って(ヒミツ!)、美味しいものや楽しいことを探しています。

 

あと、ぐっすり眠ったら(でも眠いけど)、散歩に出かけます。これも仕事。何か事件はないか、新しいなにかを探すパトロールが好きですね。そして平和なら、また眠る、この繰り返しが、僕ら、谷中猫の日常でやして。

 

ぶらぶらと歩いていたら、富士見坂にさしかかり、昔は遠くに富士山が見えたんだけど、富士山見ながら夕暮れで、ニャニャ、ニャニャニャニャ(あぁ、そろそろ家に帰ろうか)とか、言いながら、谷中は暮れていくのでした。
あの夕日がね……。

ニャー その伍】につづく。

写真:川瀬一絵
島根県出雲市出身。忘れっぽいことへの焦燥感から写真を撮り始め、些細な体感を収集するように撮影を続けている。
近所や訪れた先々で適当に散歩して道に迷うのが趣味。

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この特集について

谷中ニャンダフルライフ ― 2018年4月特集

こんにちにゃ。気付けば猫になっていました。東京は東の里、谷中に住んでもう5年になります。この街は、西日暮里、上野桜木から、そして千駄木、根津から谷中へとかけて、文字通り「谷」になっていまして、僕はもう、そこの谷にハマってしまい、抜け出せず...

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