Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.23

誰かさんとのコミュニケーションに悩んだ時に、そっと開いてみて欲しい1冊です。

あらすじ……
「あそび島」という施設での出来事。ある日、仲良しの「たい」と「こうた」は、けりやパンチの激しいけんかをしました。負けてしまった「たい」は、悔しくて、泣きながら家に帰りました。「こうた」が家にきて謝ってくれたけれど、まだ「けんかのきもちはおわってない!」……どうやって「たい」は自分の気持ち・感情に整理をつけ、「こうた」と仲直りするのでしょうか。

絵本では、友だちとけんかした後の悔しい気持ち、そのあとの仲直りするときに必要な勇気、複雑な感情が文章と大胆な絵で描かれています。自分の中で感情や気持ちの整理が出来ていないうちに、周りから「もう仲直りしたら」「もういいんじゃない?」なんて言われると、「ちがう、ちがう! まだそんな気持ちじゃない!」って、大人でもそんな感情ありますよね。けんかして、「ごめんね~」と相手が謝ってきても、ハイ、仲直り、じゃなくて、割り切れない、素直になれない気持ち。

私は小さい頃から自己主張の強い子だったようで、よく友だちとけんかしていました。まがったことが大嫌いで、自分が違うと思ったことはよく口に出しているような子どもだったんです。一番記憶に残っているのは、中学校の時。クラスの女の子と休み時間にけんかしました。その時は周りが「まぁまぁ」となだめてくれ、相手がしばらくして「ごめんね」と言ってくれましたが、「けんかのきもち」はしばらく終わりませんでした。その時のなんとも言えない感情は、今でも忘れないものです。

けんかは終わっていても、気持ちが終わってない、整理がついていない。でも大人になると事情が複雑になり、相手の立場だったり、関係性で妥協したり、うわべだけで仲直りすることも、少なからずあるはずです。また、付き合いの長い相手ならなおさら、本当は仲直りしたいのにどう接したらいいのかわからない……気持ちをどう消化したらよいのか、わからなくなることってありますよね。

人間、自分の心をコントロールするのは、本当に難しいものです。

思っていることを言葉で伝え合うのは大切なコミュニケーションです。子どもの頃のけんかによる自己主張は、大事な経験だと思います。でも大人はそう自由にはいきませんから、爆発する前に自分で気持ちを整理してコントロールしなくてはならないと感じてしまいます。

けんかってしてる時はとっても嫌な気持ちだけど、仲直りして気持ちが通い合った時、今までよりもお互いを分かり合えた気がしませんか。この作品は、けんかのあとのモヤモヤした気持ちを、代弁してくれているかのような絵本です。自分の迷いを物語に預けてしまって、「たい」といっしょに「けんかのきもち」をリフレッシュしてみませんか。

けんかのきもち

文:柴田愛子
絵:伊藤秀男
出版:ポプラ社

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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