Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.22

春、新しいスタートの季節に読みたい、自分の「好き」なことを大切にしたくなる絵本

あらすじは……
バレエ教室に通い始めて5年も経つというのに、主人公の女の子は踊りが上手になりませんでした。「どうか、おどりがじょうずになりますように」これが女の子のたったひとつの願いごとでした。ある日届けられたのは、桜の花びらのような薄ピンク色のバレエシューズ。そのバレエシューズを履くと、足が自然と森の中へ。到着したのはウサギの靴屋さんでした……

桜の花が舞う中、主人公が不思議なバレエシューズを履いてウサギたちと踊る姿が幻想的な、美しい絵本です。ウサギたちと一緒に踊る中で、なかなかバレエが上手にならなかった女の子も自然と踊れるようになっていく、不思議なファンタジー。桜が咲く春になると、一度は開きたくなる一冊です。

私は小さい頃から本が好きでした。幼い頃は母親に絵本を読んでもらい、小学校では毎日のように図書館で児童書を読み、学校から「たくさん本を読んだで賞」で表彰されました。学校の代表として読書感想文を書く機会を与えてもらったこともあります。その時は先生に何度も訂正され、自分の思うような表現ができずにずいぶんと悩みました。
好きな気持ちを持ち続けていくことは、案外難しいものです。しかし、好きだからこそチャンスも与えられます。感想文は大変な経験だったけれど、本が好きだからこそ頑張れたのだと思っています。
その後、部活動や勉強、友人と過ごす時間を優先し、携帯電話が普及しはじめた時代を過ごして、活字とは離れていた時期もあります。でも現在こうして、「絵本」のコラムを書かせていただけていることは、いまでも「本が好き」という気持ちを持ち続けているからだと思います。

この絵本の主人公は、大好きなバレエがなかなか上達しなくてもくじけず願い続け、練習を続け、だからこそ満足のいく踊りにたどりつくことができたのだと思います。どんなにつらいことがあっても、「好き」の気持ちを忘れない。好きだから続ける、好きだから頑張ることの大切さを感じました。

「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。好きだと思えることこそ継続して、ずっと好きでいる気持ちを持ち続けたいものです。私の今の「好き」は、絵本の探求です。もっと知りたい、もっと関わりたい……そんな貪欲な気持ちになっています。

あなたの「好きなもの」は何ですか。「好きなのにうまくいかないこと」ありませんか。「好きなもの」への気持ちを持ち続ければ、「バレエシューズ」のようなふとしたきっかけで、うまくいかなかったことも好転するかもしれません。
春。新しい環境の中で過ごされている方もいるかと思います。そんな時、絵本のファンタジーの中でふっと一息ついてみませんか。

うさぎのくれたバレエシューズ

文:安房直子
絵:南塚直子
出版:小峰書店

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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