大人だから、子どもだから、じゃあ、つまらない! ― 三鷹「よもぎBOOKS」

子どもの頃、絵本を読むのが好きでした。でも年齢を重ねるにつれて、気がつけば絵本から遠ざかっている毎日。子どもが生まれる友人へプレゼントとして手に取ったのをきっかけに、久しぶりに絵本を読んでみようと思い立ちました。せっかくだから絵本のお店はないかしらと探している時に、「よもぎBOOKS」の存在を知りました。

JR三鷹駅南口からまっすぐのびた道沿いにある「三鷹中央通り商店会」。太宰治や武者小路実篤、山本有三ら文豪が愛した街だそうで、レリーフが点在しています。歩くこと、およそ10分。通りに面したマンションの2階、よもぎBOOKSに到着しました。

まるで秘密基地のように、少し奥まった場所にあります。店名が書かれたドアには「絵本と本と人生の出逢いを」という言葉も。興味を惹かれながら、店内に入ります。

壁には絵本!絵本!絵本! 絵画のように、絵本が一冊一冊丁寧に並べられていました。表紙を眺めているだけで、やさしい気持ちになります。子どもが本を読みやすいように、お店の中央部分には子ども用の机と椅子がありました。「みほん」の本があるのも、子どもが気軽に絵本を手に取りやすい工夫です。

店長の辰巳末由さんは、現在2児の母として、子育て真っ最中。お母さんの目線でお店づくりにこだわっています。

辰巳さんはもともと大手書店で働いていましたが、子どもと近い距離で仕事がしたいと転職を決意しました。「自分の本屋を持ちたい」という夢を描きながら、絵本のオンラインショップを開設したり、ギャラリーカフェの本棚を間借りしたり。自分のスタイルを探して行き着いた場所が、このお店だったのです。

よもぎBOOKSは2017年3月にオープン。親子連れのお客さんが多いそうですが、私のように一人で訪れる大人もいるんだとか。せっかくなので、大人向けの絵本を聞いてみました。「いろいろあるけれど……」と選んでくれたのは、この2冊です。

「なんていいんだ ぼくのせかい」(作:荒井良二、出版:集英社)

「たいせつなこと」(作:マーガレット・ワイズ・ブラウン、絵:レナード・ワイスガード、出版:フレーベル館)

「なんていいんだぼくのせかい」を開くと、色鉛筆で描かれた絵がページめいいっぱいに描かれていました。タイトルどおり「なんていいんだぼくのせかい」とくり返される言葉や、普段はあまり意識しない、日々の気づきにあふれていました。ちょっと疲れた時に、そっと背中を押してくれるような絵本です。

辰巳さん:「絵本ってなんてことない文章に感じるけれど、声に出してみると言葉の力が宿る気がするんです。言葉の響き、選び方。子ども向けでしょ、なんて侮れません。アートとして絵本を楽しむのもいいですよ」

久しぶりに絵本をじっくり読んでみて、厳選されたまっすぐな言葉たちに心を動かされ、あえて多くを書かない余白の部分に思いを馳せました。

ちょっと意外だったのは絵本以外の本も取り扱っていることです。

辰巳さん:「大人も本を選べる場所にしたかったですし、子どもが大人の本にちょっと背伸びをして触れられる場所にもしたかったんです」
子どもだから絵本を読んでいればいい、大人だから絵本は読まない……そんなつまらない決まりごとはないんだなと気づかされました。

よもぎBOOKSでは、作家とのワークショップや、 「本屋という枠を使ってこれから色々やっていきたいです」と辰巳さんはこれからを語ります。

訪れるたびに、新しいお気に入りの本や心に響く本との出会いがありそうな予感がしました。一冊に込められた出逢いと、辰巳さんとのお喋りを楽しみに。自分のために立ち寄りたい場所が、また一つ増えました。

よもぎBOOKS

住所:東京都三鷹市下連雀4-15-33 三鷹プラーザ日生三鷹マンション2F
電話: 050-6870-6057
HP:https://yomobibooks.stores.jp
営業時間:平日11時-17時/土日祝12時-18時

不定休で週2回ほど休みがあります。WEB上で必ず営業日をご確認ください。

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