vol.06 まだ知らない街で暮らした3日間 ― #腰越ノマド合宿 で出会う「あたりまえの暮らし」

朝早く起きて、夜は早く寝る。食事は一人じゃなくて、みんなで食べる。誰かが来たらお茶を淹れて、帰るときには「またね」と見送る。夕日を見て一日を終え、朝日を見て一日が始まる。そんな当たり前の生活を、もうどれだけしていないだろう。

東京に出てきて8年。なんとなく「東京」になじんできたわたしが、halettoの仕事で訪れるまでまったく聞いたことのない街に出会いました。

腰越の街

新宿から乗り継ぐこと電車で約1時間半。鎌倉市の「腰越」という街をご存知でしょうか。漢字を見ただけでは、「こしこし」と読んでしまう方も多いのだとか。正しくは「こしごえ」。江ノ電島電鉄の小さな駅で、両脇に「江ノ島」と「鎌倉高校前」という観光名所に挟まれています。海岸に近い、港町です。鎌倉駅から8駅、反対の藤沢駅からは6駅と、腰越はちょうど中間地点。たどり着くまでに「江ノ電といえば」な駅が目白押しだから、目的地になりづらい駅なのかもしれません。

そんな腰越駅に小さな宿を開業したのがこの街との出会いでした。宿の名は「haletto house(ハレットハウス)」。「新しい街との出会いのきっかけをつくる」をコンセプトにしているわたしたちhalettoが、「街をもっとよく知るには『泊まる』という行動が大切なのではないか」と仮説をたて、実験的にはじめた取り組みです。

haletto house

一軒家をリノベーション。1日1組限定、最大5名の貸切でお貸ししています。

この宿をどう活かすか考えて、先日、ある共同生活に挑戦してみました。「仕事をしながら、健康的な生活を送る」をミッションとした「#腰越ノマド合宿」。この呼びかけに、発起人であり、台湾でメディアの編集長をしているヨーコさんをはじめ、フリーランスで活動する人びとが集まりました。

ノマド中

初日の集合は15時。先に着いた私がヨーコさん、halettoライターのトモイさんとゆいかさんを迎え、まずは自己紹介がてらお茶の時間を楽しみます。

16時頃には室内のいたるところで各自仕事にとりかかりました。わたしは2階にある寝室のデスクを占領。窓を開けると海からの風がよく通って、本当に気持ちが良い。ゆいかさんが「よかったら」とコーヒーを持ってきてくれました。お互いサポートしながら仕事をしている気がして、ものすごくうれしい。

夜は時間を決めて仕事を切り上げるのが合宿のルール。腰越駅前の鉄板焼きのお店「Nagi」でおなかを満たしたら、腰越から3駅、稲村ガ崎駅のそばにある「稲村ガ崎温泉」へ。露天風呂の天井は真四角に切り取られていて、まるでタレルの部屋みたいだった。星が綺麗で、風が心地よかった。
houseに戻って少し談笑したら、23時には消灯。みんなで布団をひいて仲良く4人並んで眠りにつきます。

翌朝。朝6時に起きて、徒歩3分程度の腰越海岸へ向かいました。早起きして見る朝日は格別で、誰も一言も言葉を出さずに、じっと、空と海を見つめます。

戻ったら朝ごはんの準備を。ヨーコさんが持ってきてくれたたくさんのパンを、バルミューダのトースターで焼きます。前日にスーパーで買った卵やベーコンを付け合せに。9時にはそれぞれ自分の場所を見つけて、また仕事にとりかかる……。時折、友人たちが遊びに来る時間もあって、新しい出会いとおいしい腰越の料理と、時間ごとに変わる風景を楽しみ、3日間を過ごしました。

別れのとき。ヨーコさんはさらに3日をhaletto houseで過ごすことになっていたので、先に東京へ帰るわたしは、なんだか泣きそうになってしまいました。みんなですごした時間が、心のそこから愛おしく感じられたのです。

腰越には、コンビニがない。haletto houseには、テレビがない。「不便さ」を愛せる人でないと、ここでの生活は苦しいかもしれません。でもその分、普段の生活では得られないものがたくさんありました。

広い広い空だったりまぶしすぎるほどの太陽の光だったり、ふかふかのアジフライだったり。わたしたちは飽きもせずに、毎日ほぼ同じような行動を繰り返して眠りにつきました。

こうして過ごしてみると、「当たり前」の生活を求めていたような気がします。都心での生活に満足していないわけではないけれど、今住んでいる場所が自分にとっての「100%」ではなくなってきたような。だからすごく、むずむずしていたんだ。

自分の好きな街へ、心から「心地よい」と思える場所へ、引っ越すときがきたのかもしれません。そんな予感とも決意ともとれる思いを抱いて、今日も、まだ知らない街を探している私です。

ご興味がある方は、ぜひご連絡ください。「#腰越ノマド合宿」を、あなたも試してみませんか。ここにしかない風景をご用意して、お待ちしています。

仙台生まれ。好奇心旺盛。週末、街歩きしながら外でビールを飲むことに至福を感じる。好きな街の種類はこじんまりした居酒屋がある場所。口癖は「なんとかなるさー」。最近、山ごはんに興味津々。

このコラムについて

【スナック あさこ】編集長の徒然日記

haletto三宅朝子編集長が日々思う、暮らし方や街歩きのための街の見方、住み方などをエッセイとして綴ります。よもやま話から人情話、噂や、偶然見つけた教えたくなるあんなことまで、世間を取り巻く事柄について、halettoな視点で読み解きま...

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