Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.20

自分はどうやって生まれてきたのだろう、自分の生まれてきた意味を考える一冊

あらすじ…
生まれくる赤ちゃんのためにお父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃんみんなでひとつのゆりかごを作る物語。それぞれが思いを込めながら、ゆりかごに少しずつ手を加えていきます。おなかに赤ちゃんを宿したお母さんは、その様子を少し離れたところから見守ります。ゆったりした時間と、家族の愛情を描いた絵本です。

この絵本を読み終えたとき、とても温かい気持ちになりました。原題は『Just Like a Baby』つまり「あかちゃんみたいに……」です。お父さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、お兄ちゃんも、自分の思いがつまったゆりかごができるとゆりかごに入って「あかちゃんみたいに」ねむってしまいます。その繰り返される表現が温かさを増していると感じました。

また、大人になった今だからこそ生まれたこと・不自由なく生活できることについて改めて「自分たち大人もみな赤ちゃんだった」ことを振り返る絵本ではないかと感じています。

私は出産の経験がないので、赤ちゃんを待つ喜びに共感するという立場からはまだお話はできません。そこで「自分が生まれてきたときってどうだったんだろう」と考えてみました。
自分が実家にいた頃、母に聞いたことがあります。「お母さんの趣味ってなぁに」母は「う~ん……子どもたちかな」と答えてくれました。その当時は「え~好きな事ないの~」なんて言っていましたが、今この言葉を聞くと、胸を打たれるものがあります。両親は私を含めて、3人兄弟全員を大学まで進学させてくれました。母は、趣味を作らず子どもたちを育てることに人生を注いでくれたのだと思います。現在、私たちは成人し、母は仕事を定年退職していますが、自分の趣味を作ろうと色々なことにチャレンジしているようです。

自分の生まれたときの記憶はもちろんありませんし、幼かった頃の記憶もあまりありません。ですが、幼い頃に撮られたたくさんの写真や、写真に添えられた母の一言コメントを見ると、私は、家族の祝福を受けてこの世に生まれてこれたのだと感じます。
私は父、母、祖母、そして近所に住む親せきのみんなに囲まれて不自由なく育ってきました。それを当たり前と思って過ごしていた、実家での生活。今自分の力で生活してみると、仕事をしながら子育てをすることがどんなに大変なのか、大学まで子どもたちの学費を出すことがどんなに大変なのかを感じます。与えられることが当たり前だと感じていた当時の自分が恥ずかしいものですね。

これからは、私たちが親の事を考える世代になってきました。少しでも両親やお世話になった親戚の叔父叔母に、小さい頃のお返しができればと感じている日々です。

このコラムを読んでくださっている皆さんのように、30代になって自立した生活ができるようになったいまだからこそ、家族の温かさ、命の尊さ、そして「自分が生まれてきたことの意味」を見つめ直してほしい。そのきっかけとなる一冊になればいいなと思います。

あかちゃんのゆりかご

作:レベッカ・ボンド
訳:さくまゆみこ
出版:偕成社

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

気になるコラム