東京、宇宙を身近に感じる夜散歩 — 三鷹・国立天文台

まもなく2月になろうというのに、寒さはまだまだ厳しいまま。冬のこの時期に茨城の片田舎にある私の実家に帰ると、空の広さと夜空に瞬く星の数の多さに、毎度圧倒されます。

都心で星を綺麗に見られる場所はないものか、と探していると三鷹にある国立天文台で毎月天体観望会を無料で開催していることを知り、行ってみることにしました。

門2

施設2

世界最先端の天体観測施設を擁する国立天文台。その本部が三鷹市にあります。新宿駅からJR中央線で約20分。武蔵境駅からバスに乗り換え、国立天文台・三鷹キャンパスに向かいます。

門

施設があるのは、高層ビルのない閑静な住宅地。夕方5時までは無料で構内を見学できるということで、敷地内を散策してみることにしました。

約26ヘクタールの広大な敷地は、豊かな緑に囲まれ、広い空が見渡せます。内部まで公開している施設が5つあり、「第一赤道儀室」や「天文台歴史館」などでは実際に使用されていた巨大な望遠鏡を見ることができました。数十年間宇宙を追いかけた望遠鏡や施設からは、時間の経過を感じさせられ、天体へのロマンを感じずにはいられません。

施設3

望遠鏡

冬のこの時期は夕方5時を過ぎるとすっかり陽は落ち、一面夜の気配に包まれます。敷地の北側にある50センチ公開望遠鏡では今日の天体観望のための準備が進められていました。

施設

定例観望会は、事前予約制で毎回約300人の申し込みがあり、お子さん連れの家族やカップル、常連の老夫婦など年代も幅広く、宇宙や天体の神秘は年齢問わず惹きつけられるものがあるのだろうと実感させられます。

受付をすませると、まずは屋内の講義室で、冬の天体についての説明を聞き、観望用の望遠鏡へグループに別れて移動します。この日はぎょしゃ座にある散開星団「M37」の観望予定でしたが、あいにくの曇天。残念ながら星団を見ることは叶いませんでしたが、ぎょしゃ座の一等星「カペラ」を見ることができました。

星

提供:国立天文台

地球から42.92光年という途方もない距離で輝くカペラ。薄い雲のかかったこの日の空では目を凝らさなければ見ることのできない小さな星の光ですが、肉眼のおよそ5,000倍の集光性を持つ望遠鏡を通して見ると、黄みがかった白い光が眩しいほどに瞬く様子を見ることができました。参加者からも「肉眼で見るのとは輝きがぜんぜん違う」「キラキラしていて綺麗」と感動の声が聞こえてきます。

除く

星がキラキラと瞬いて見えるのは実は風の影響によるもの。冬のこの時期は北半球を偏西風が強く吹き抜けるため、地球に届く星の光が揺らいで見えるそうです。

長時間露光

提供:国立天文台

ドーム周辺に設置された3台の小型望遠鏡では薄雲の後ろで控えめに光る月の観望。肉眼でも見ることのできる月ですが、望遠鏡を通してみるとクレーターまではっきりとみることができます。

星2

提供:国立天文台

天気や季節によって表情を変える天体模様ですが、その気まぐれ加減も人を魅了する理由の一つなのかもしれません。次はどんな星が見られるかな、次こそは綺麗な星団が見られるかな……綺麗な星空や珍しい天体を観望できたときの感動はひとしおなのでしょう。ほんのひと時ですが宇宙との距離が近くなる一瞬を楽しみに、何度もこの観望会に足を運びたくなる気持ちがわかる気がしました。

帰り道、もう少し夜の空と共にいたくなり、バス停を数個分歩きました。国立天文台のある三鷹市では、市の指導指針によって照明器具から上空への漏れ光を防止し、良好な夜空の環境を守る取り組みをしているそうです。都道14号線の歩道橋からの眺めからも、空の広さと夜空の濃さを感じます。

道

都立野川公園に差し掛かった頃、雲に隠れていた月がくっきりと姿を表しました。太陽の光が当たっていない部分が、地球の明かりによってぼんやりと光って見える「地球照」と呼ばれる現象も肉眼で確認。冬の三日月に見送られ、三鷹市を後にしました。

公園

冬の日、帰路につく時間帯には寒さでつい身を固め、目線を下げてしまいがちです。でも、たとえ街明かりに隠れてしまっていたとしても、頭上には確かに満点の星々の輝きがあることを心に刻んだ冬の1日でした。

月

 

国立天文台 三鷹キャンパス

東京都三鷹市大沢2-21-1
TEL:0422-34-3600(代表)
見学時間:10:00-17:00(入場は16:30まで)
https://www.nao.ac.jp/
※定例観望会の情報はHPで確認を

 

金額など掲載の情報は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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