【川崎】お大師さまのお膝元 ― 京急大師線沿いを歩く|京急創立120周年

京急創立120周年を記念して、沿線の街を紹介する連載企画。今回は、旧東海道2つ目の宿場町「川崎宿」とも関わりが深い京急大師線 沿いを歩きます。

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川崎大師駅

品川駅から京急線の快特に乗って2駅目、京急川崎駅から大師線に乗り換えます。

京急電鉄

終点の小島新田駅まで、わずか7駅の大師線は、初詣の名所として有名な川崎大師への参詣客を運ぶため、1899(明治32)年に開業しました。多摩川の南側に沿うように東西に走り、近年は、線路と多摩川の間に広がるリバーサイド地区の再開発でも注目されています。

京急電鉄

普通列車に揺られること5分。あっという間に、最初の目的地に到着。電車から降りて、まず目に入るのは改札の手前と向こう側にそびえる赤い柱。駅舎からもう川崎大師のようです。「本当に川崎大師への参詣のためにつくられた駅なんだな」と実感し、早くもドキドキしてきます。

川崎大師駅

もちろん川崎大師にはお参りするつもりなのですが、もうひとつ立ち寄りたい場所があります。改札から出て右側を向くと目に入る、なにやら立派な円形のモニュメント。電車の車輪を模しています。実は、大師線は京急の発祥となった路線なんです。この石碑は「京急発祥の地記念碑」として、今から50年前の京急創立70周年の際に設置されました。

京急発祥の地記念碑

京急のはじまりは1898(明治31)年。「大師電氣鐡道」という名称でした。翌年、旧六郷橋駅(京急川崎駅と港町駅の間に存在した駅。戦後、廃駅に)から旧大師駅(現在の川崎大師駅)間を走る電車として営業を開始。当初は、わずか2km区間を走る単線でした。その後、川崎周辺に形成された京浜工業地帯とともに発展していった京急。明治から現代に至るまでの激動の120年を駆け抜け、横浜から東京へ、東京から横浜へ、多くの人々を運んできました。

六郷橋-大師間の桜並木を行く電車

六郷橋-大師間の桜並木を行く電車 写真:京急電鉄

京浜間全通を伝える車内ポスター

京浜間全通を伝える車内ポスター 写真:京急電鉄

長い長い歴史を持つ鉄道のロマンに思いを馳せたら、いよいよ街歩きをスタート! 川崎大師に向かうには、こちらも鳥居を模した赤いゲートが印象的な「川崎大師表参道商店街」に入るのがスムーズなのですが、その右手に「ごりやく通り」と大きく書かれたゲートを発見。「ご利益」を期待して進みます。

川崎大師表参道商店街

ごりやく通り

ごりやく通りは、一軒家と商店が並ぶ昔ながらの佇まい。ところどころに、味わい深い店構えの飲食店も。「少しお腹が空いたな」と思いながら歩いていると、「肉」という大きな文字が目に飛び込んできました。赤の地に金文字で「松坂屋」と書かれています。どうやら、お肉屋さんのよう。

松坂屋

コロッケ茶屋

「コロッケ茶屋」と書かれた看板に惹かれ、お店の中へ。夕飯の食材の買い出しにきたのであろうお客さんで賑わっています。少し列に並んで、豚のひき肉が入ったコロッケ「ダルマニコロンコロ」を購入しました。そのまま、ひと口かじってみると、牛肉コロッケとはまた違ったあっさりした味わい。川崎の名産品としても有名らしい「ごりやくそ~す」との相性もバッチリです。ごりやくそ~すは、15年ほど前に商店街の名前がごりやく通りになったことを記念してつくられたオリジナルソースなのだそう。

コロッケ

オリジナルソース

小腹が満たされたので、ごりやく通りを引き返して再び駅前へ。改めて、川崎大師表参道商店街を通って川崎大師へと向かいます。こちらの商店街は表参道と呼ばれているだけあって、メイン通りらしい華やかな雰囲気。蕎麦屋さんや喫茶店などの飲食店のほか、お土産物屋さんも目立ちます。

表参道

雷神堂

表参道

気になったのが、何軒か見かけた「久寿(くず)餅」という看板。「葛餅」ではなく「久寿餅」。川崎大師の名物で、材料も、葛粉ではなく小麦粉なんだとか。

久寿餅

「どんな味なんだろう、食べてみたい」。そんなことを考えていたら、また目の前に現れた赤いゲート。「川崎大師入口」と書かれています。

川崎大師入口

ゲートをくぐって右に曲がったら、そこは「仲見世通り」。仲見世通りのすぐ手前の「松月庵」で、手軽に食べられそうな「カップ久寿餅 」を発見! 見つけた瞬間、お財布を開いていました。

カップ久寿餅

カップの中に入った乳白色のお餅に、きな粉と黒蜜をかけていただきます。食感は、もちもちしつつも歯ごたえしっかり。小麦粉を使っているからでしょうか。お餅自体は淡白なので、きな粉と黒蜜の甘味がベストマッチ。もぐもぐと口を動かしながら、仲見世通りを歩きます。

仲見世通り

両サイドにずらりと並ぶのは、こちらも川崎大師名物の「とんとこ飴」屋さん。平日の、夕方に差し掛かろうという時間なので飴切りの実演はありませんでしたが、お店の方がしきりに飴の試食をすすめてくれます。

仲見世通り

とんとこ飴

カップ久寿餅に生姜の咳止め飴と、すっかり口の中が甘くなってしまったところで、川崎大師に到着。

川崎大師

川崎大師

お参りを済ませたら、仲見世通りから「川崎大師本通り商店街」へ出て、川崎大師駅のお隣の駅、東門前駅へ向かいます。川崎大師本通り商店街の終点で左折すると、そこから先は「東門前駅商店街」。黄昏れはじめた空に揺れる色とりどりの花飾りは、商店街の方々が飾りつけたのでしょうか。中華料理屋さんや焼き鳥屋さんから、ふんわり漂ってくるいい匂い。打ち水で濡れたアスファルトからも、ここに住む人々の暮らしの息吹を感じ、なんだかうれしくなってしまいました。

東門前駅商店街

東門前駅

踏み切り

東門前駅を通過して、歩くこと15分。多摩川の土手に到着しました。今回、川崎大師駅の石碑とあわせて見ておきたかったのが、大師橋付近にある「大師の渡し碑」。1877(明治10)年、川の向こうの羽田から、川崎大師へと向かう参詣客を乗せるための渡し船が設置されました。1939(昭和14)年、大師橋の完成にともない廃止されるまで、大いに賑わったこの渡し船は、川崎大師への参詣客を運んでいたという面では、京急線の大先輩。当時の様子を想像しながら、多摩川沿いをのんびり歩きます。

大師の渡し碑

大師の渡し碑

夕暮れの空が広がる冬の川沿いは、寒いけれどとても清々しい。ふと、聞こえてくる子どもたちの声。前方に野球グラウンドと、ユニフォームを着た少年たちの姿が見えます。その手前のサッカー場でも、ちびっこたちがコーチのレッスンを受けていました。悠々と流れる多摩川と、そびえ立つ高層マンション群。美しい夕焼けを背景に、練習に励む野球少年たち。身体が冷えていくのも構わずに、しばらくじっと見入っていました。

夕焼け

野球少年

どんどん日が暮れていく中、東門前駅に戻り、再び大師線に乗り込みます。最後に向かうのは、終点の小島新田駅。工場夜景でも有名なこの駅では、見事な夕景も見られるのだそう。

京急川崎

小島新田駅

改札を出て、すぐ左手にある歩道橋に登ります。するとそこには、駅へと向かうたくさんの人たち。工業地帯でのお仕事を終え、帰路につく技術者の皆さんとすれ違いながら、歩道橋の中央へ。

夕焼け

力強く伸びる線路の向こうに広がっているのは、多くの人々が暮らす川崎の街。オレンジ色から群青に変化していく空の色。街に今日も夕日が沈み、夜が訪れ、そしてまた、朝がやってきます。

夕焼け

なんとなくまだ帰りたくなくて、偶然見つけた立ち飲み屋さんに入りました。そこは、工業地帯で働く方々の憩いの場。モツ煮とビールで疲れを癒しながら、街歩きを振り返ります。

モツ煮

人々の営みと、それに寄り添い、走り続ける京急線。実は、私は京急沿線育ち。にも関わらず、大師線に乗った記憶は数えられる程度しかありません。のんびりと赤い電車が往復するこのエリアに、幼い頃から親しんできた京急線のルーツがあるなんて。昔ながらのぬくもりが残る商店街をぶらりと歩くのも楽しく、「また大師線に乗ってみたいな」―そんなふうに感じられた、今回の街歩きでした。

夜道

(提供:京急電鉄)

Info

京急発祥の地記念碑

京急大師線川崎大師駅
営業時間:見学自由

 

松坂屋

神奈川県川崎市川崎区大師駅前1-3-9
TEL:044-288-5865
営業時間:10:00-19:30
定休日:木曜日
http://www.matsuzakaya-meat.com/

 

松月庵

神奈川県川崎市川崎区大師町4-37
TEL:044-266-0458
営業時間:月-金10:30-17:00、土日祝 10:30~20:00
定休日:年中無休

 

川崎大師

神奈川県川崎市川崎区大師町4-48
TEL:044-266-3420
開扉時間:5:30-18:00(2-9月) 6:00-17:30(10-3月/21日は5:30から開扉)
※毎月20日は21:00まで開扉
※正月期間の開扉時間についてはお問い合わせください
http://www.kawasakidaishi.com

 

多摩川渡し跡(大師の渡し)

東京都大田区本羽田3-23付近
TEL:03-3777-1070(大田区立郷土博物館)
営業時間:見学自由

 

立ち飲み 浜

神奈川県川崎市川崎区田町2-13-8
TEL:044-299-2128
営業時間:月-金17:30-22:00(ラストオーダー21:30)
定休日:土・日曜日

まだ知らない街を探すZINEワークショップ 川崎大師編|京急120周年

【イベント概要】

■日時:2018年3月10日(土)10:00-15:45 (受付開始9:45/スタート10:00)

■場所:ティールーム「城亜」(https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140502/14059697/

神奈川県川崎市川崎区大師駅前1-5-7(京急大師線:川崎大師駅南口より徒歩1分)

■タイムテーブル:

10:00 ワークショップスタート

10:30 撮影開始

12:30 お昼休憩

※ティールーム「城亜」のメニューよりお召し上がりいただきます。

(メニュー例:たまごサンド、ハムサンド、ナポリタン など)

13:30 編集作業

14:30 発表・まとめ

15:45 終了予定

■参加費:1,500円(「写ルンです」、写真現像、オリジナルZINE、喫茶店ランチ+1ドリンク付)

■定員 :14名

■持ち物:スマホ(「写ルンです」は当日配布いたします。)

※雨天時でも開催いたします。雨の日にしか見つけられない発見をしましょう。

※チケットキャンセルは受け付けませんのでご了承下さい。

ワークショップのお申込みはこちら

主催:株式会社CHINTAI haletto編集部

特別協賛:京浜急行電鉄株式会社

新潟県生まれ、神奈川県育ち。下戸ですがおいしい食べ物には執着するタイプ。動物園と水族館と古い建物が好きです。出先で団地群など「昭和」を感じる風景を見つけるとつい立ち止まってしまいます。