Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.18

チリとチリリ

気の向くままお出かけして、新しい自分の心地よい場所の発見を

あらすじは・・・
チリとチリリはとても早起きしたある日、自転車ででかけることに。ふたりは気のむくまま森の中を自転車で「チリチリリ チリチリリ」とはしります。森の喫茶店、サンドイッチ屋さん……どのお店に行ってもそれぞれのお客さん(動物たち)に合わせた「ちょうどよい」ものが準備されていて、選ぶことができます。例えば、サンドイッチ屋さんを訪れたクマさんなら「はちみつパン」、ウサギさんさんなら「にんじんのゆずジャムサンド」というように。
それぞれ訪れた場所で、チリとチリリは自分たちにぴったりのものを選んで過ごしていきます。二人は一体何を選んだのでしょうか。最後にふたりが行った先は……。
旅先で見つける小さな幸せを、楽しく描いた絵本です。

この絵本は繊細できれいな色づかいと幻想的な世界観に、大人が眺めていてもうっとりとする絵本です。イラストだけでなくストーリーも、大きな事件などもなくほんわか進んでいきますが、それがとても心地良く、読んだ後に心がふわっとするような、私なりの言葉で伝えるなら「オトナ女子が好き」な絵本であると思います。

この絵本は、「気の向くまま」自分探しの旅に出かけたくなるような絵本だと思いました。私は旅行が好きで、「ここに行って、これをしたい!」と行先や目的を決めて旅をすることがとても楽しいのです。また、ガイドブックを開いて旅行プランを練ることも大好きです。事前に旅行のプランニングをすることによって効率的に過ごすことができるし、プラン通りの旅行ができたことへの満足感のようなものを感じていたのかもしれません。

しかし、この絵本を読んで気づいたのは、出かける楽しさについての新しい視点です。「計画ばかりの旅行ってなんか味気ないよね」「気の赴くままにふらっとでかけてみるのも楽しいんじゃない?」「自分の新しい居心地のいい場所探してみたら?」そう訴えてくれているような気がします。
例えば「今日はこの電車に乗って、降りたことのない駅で降りてみよう」「ふと目に留まったお店をのぞいてみよう」そんなお出かけもいいですよね。

ガイドブックを閉じ、スマホなどでの検索をやめて、晴れた日に自転車に乗って気ままに予定も立てずに出かける。自分の気になったカフェに入ってみたり、素敵な空間の宿に泊まってみたり、飛び入りでイベントに参加してみたり……。そうすることで、今まで興味のなかった分野や今まで関わりのなかった事にも、「自分ってこんなこと好きだったんだ」「これっておもしろそう、もっと知りたい関わりたい」と新しい自分を発見できるかもしれません。また、その経験によっていろいろな方との関りも増え、人とのつながりも広がっていくことと思います。

でも……
「そんな計画を立てない旅なんて無謀すぎる~」と思われる方は、絵本を通して気ままな旅が楽しめる、そんな一冊になればいいな、と思います。このhalettoさんのコラムをご覧の読者の方はきっとお出かけが好きな方が多いと思うので、この絵本はお気に入りの一冊になること間違いなし! チリとチリリと一緒にお出かけした気分になれるかもしれません。

チリとチリリ

作:どいかや
出版:アリス館

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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