【scene 02 ― そこへ、東京トランジット】久しぶりの友人とのやさしい腰越時間 ― ふたりで過ごすhouse

江ノ電 腰越駅

久々に会う友人との再会は、話が弾むほど帰るのが惜しくなります。終電を気にして憂うつになるくらいなら、このままどこか泊まってしまいたい。

午前10時半すぎ、旅の待ち合わせはJR鎌倉駅。半年ぶりに顔を合わせた友人と、お互いの近況を話しながら江ノ電に乗り換えます。しばらくすると車窓越しに広がる青い空と青い海。腰越駅はもうすぐです。

江ノ電

腰越駅で降車する人はわずか数人足らず。改札を降りて、まず目に飛び込んできたのは、大通りの真ん中を通る線路。車道の中心をレールが独占している光景が新鮮です。

腰越

街中散策の前に、まずは腹ごしらえ。海沿いに出る小道を抜けると、「しらすや」に到着しました。開店して間もない時間でも、すぐに店内はお客さんでいっぱいに。不漁が続いているとのことで、江ノ島名物の生しらすはお目にかかれませんでしたが、この日は「しらすづくし定食」を注文しました。

ふっくらした食感の釜揚げしらすに、しらすのかき揚げ、しらすの佃煮、しらすを茹でずに干したごまめなど、とにかく盛りだくさんの献立と新鮮なお刺身を食べて大満足。ひと休みしてから、店の目の前にある腰越漁港へ足を伸ばします。

しらすや

しらすや

腰越漁港

腰越漁港から東へ少し歩いたところには、小動神社があります。小さな境内の奥にある見晴台は、かつて異国からの侵入船を発見するための見張り台だったようです。

波音に耳を傾けながら、ススキ越しに見える江ノ島と腰越漁港は、いつまでも眺めていたくなります。

小動神社

腰越海岸

再び駅前の通りに戻ります。交差点の赤信号を待つ間も、視線の先に江ノ島を眺められるのは気持ちが良いです。街中では、サーフボードを持ったウェットスーツ姿の人たちをちらほら見かけます。生活感のある商店街を冷やかしていると、踏切の音が聞こえて、前方から江ノ電が姿を現しました。「電車接近」「前方注意」の看板が点灯すると、車道を走っていた車がそっと両端に寄ります。

柵もなく、歩行者のすぐ横を江ノ電が通り過ぎる迫力。この街は、電車と車と人が一緒に暮らしている。そんなことを実感します。

腰越

江ノ電

食後の散歩を済ませて次に向かったのは、腰越漁港の販売所。ここで13時からはじまる「朝どれフライ」は、朝の漁で獲れたお魚をその場でフライにして提供してくれます。お値段は時価で、その日の漁獲量によって変動するとのこと。

本日のメニューは、アジ・サバ・カマスの三種類。注文後に、店員のおばちゃんが揚げてくれます。一匹一匹がとても大きいので、二人で半分にしても十分なボリューム。身の詰まったお魚と、サクッとした衣の食感がたまらない。おばちゃん特製のお醤油に大根おろしを加えた調味料をかけて、さっぱりと頂きました。

朝どれフライは、そのまま販売所で食べることも、持ち帰ることもできます。

アジフライ

15時を回ったのでチェックイン。荷物を置きに一度、本日のお宿こと、一夜だけの「我が家」へ。白塗りの壁が印象深い、二階建てのhaletto houseは、街の中にある一軒家として、周囲に馴染んでいました。

懐かしさのある玄関の引き戸を開けると、すぐに二階へ続く長い階段があります。台所のすりガラスや、ステンレス製のお風呂も、落ち着く気がするのはなぜでしょうか。ふと友人が、「おばあちゃんの家に似てる」とつぶやいて、なるほど、と納得しました。

江ノ島

各階に使われている照明は、クラゲのような形をしていてかわいらしい。障子越しに差し込む光が心地よく、居間に置かれた深緑色のソファが、ちょうど良い休憩場所になります。二階へ上がると、ベッドと小机のある寝室と、布団を敷ける和室、バルコニーがありました。

haletto house

はじめて訪れた場所なのに、自宅のようにくつろげる場所。どこか、よそ者の感覚が抜けない旅先での浮遊感が、一気に薄れていきます。今日はここで暮らしてみよう。そう思うと、街への愛着も深まります。

夕方17時前。日没の時間が近づいて来たので、夕焼けを見るために本日三度目の腰越漁港に戻ります。昼とは異なる、青紫色に染まる空と、江ノ島のシルエット、山々の間にゆっくりと沈んでいく橙色の太陽。あまりにも美しい風景と、波音だけが響く静かな空間に、じっとその場に立ち尽くします。

江ノ島

潮が引いた砂浜には、鳥の群れが休息していました。一羽飛び立つと、つられて他の鳥たちがいっせいに羽ばたきだす。思わずカメラを構えて、一瞬の光景を目に焼き付けます。西の空には、月も浮かんでいました。

日が暮れると、街の明かりや、江ノ島灯台のライトアップが夜空に映えます。海に浮かぶ夜の江ノ島は、フランスのモンサンミッシェルのような雰囲気さえ感じます。次第に交通量も増え、街中にお店が増えだすと、15分も経たないうちに片瀬江ノ島駅に到着しました。観光客と地元の人たちが集う駅周辺は、静かな腰越の街とは違い、夜でも賑わっています。

江ノ島

江ノ島水族館

今夜は、新江ノ島水族館で開催中の「ナイトワンダーアクアリウム2017」を見ます。17時以降に見られる特別な水槽演出やプロジェクションマッピングを楽しめるイベントです。閉館間際、ほとんど貸切のように人気のなくなった夜の水族館は、人通りの多い外の様子とは反対に、しんとしていて落ち着きます。

江ノ島水族館

夕飯は、片瀬江ノ島駅から歩いてすぐの、境川沿いに立つレストラン「ディエゴ・バイ・ザ・リバー」へ。映画の舞台に登場しそうな外観と、店員さんのさりげない気遣いが心地良い店内。ここでもしらすを使ったサラダを頼み、ガーリックシュリンプやジャワイアンポテトをおつまみ代わりに頂きます。

話に花が咲けば、いつのまにかデザートまで頼み、気づけば2時間が経過。歩いて帰れるしね。なんて、帰る時間を気にしなくて良いからこそ、夜まで満喫できる気持ちの余裕がうれしい。

ディエゴ・バイ・ザ・リバー

ディエゴ・バイ・ザ・リバー

月明かりの照らす海辺を傍目に歩いて、haletto houseに帰ります。ソファで食休みする前にまずは寝支度。和室に自分たちで布団を敷いていると、学生時代、修学旅行の記憶がよみがえります。備品のデュフューザーにアロマオイルを垂らしてみたり、備え付けの照明をサイドランプにしてみたり、過ごしやすい空間づくりをするのに、ハマってしまいます。

haletto house

たっぷりお湯の張ったお風呂も気持ちが良くて、いつもより長風呂に。明日は早起きして、海辺の散歩をしてみようね。と、相談しながら眠りについたのは、日が変わってまもない時間でした。

朝7時。街中を走る江ノ電の音で目が覚めます。まずは窓を開けて外の空気を吸い、布団を畳んだり、荷造りを済ませたりしてから、朝のお出かけに出発。小動神社のさらに先、鎌倉方面に歩いていくと、5分も経たないうちに、こゆるぎビーチに出ます。浜辺に降りる小道は、秘密の抜け道のよう。

腰越海岸

腰越海岸

海には、水上スポーツのSUPを楽しむ人たちが見えます。気持ち良さそうだな、と興味をそそられながら砂浜を歩いていると、サザエやアワビの貝殻、軽石が見つかりました。「お風呂に入るときに、軽石で足裏をこするといいんだよね」なんて、おばあちゃんの知恵のような話をしつつ散歩を続けます。

美しい海の景色に後ろ髪を引かれながら行きに通った小道まで戻ると、「しらす」の看板が目に留まります。「この奥です」と書かれてはいるものの、民家の中に入るのには少しためらいましたが、お掃除中のおばちゃんが声をかけてくれました。自宅奥で販売されている「腰越しらす」をお土産に購入。お庭から見える風景も、絶景です。

腰越

腰越

時計の針が10時を指す頃、楽しみにしていた喫茶へ足を運びます。haletto houseの真向かい正面にある「腰越珈琲」は、オーナーの米田さんが個人で経営されている喫茶店です。民家を改装した店内は、ソファ席に和室、カウンター席など、どこを選んでもくつろげそうな癒しの空間。ストーブの暖かさが眠気を誘い、ウトウトしながら、遅めのモーニングに注文したホットサンドをいただきます。

腰越珈琲

腰越珈琲

ホットコーヒーはおかわり自由、「家の目の前にあったら、毎日通うよね」と話しながら、居心地の良さについ長居してしまいます。

最後にもう一度、haletto houseに立ち寄ります。一晩だけでも自分の「家」になった場所は、別れ際になるとひときわ恋しくなります。今度来るときは、誰を呼ぼうか。そんなことを思いながら、腰越の街を後にしました。

haletto house

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haletto house 001 KOSHIGOE

鎌倉市腰越に、halettoがちいさな宿をはじめました。いつもと違うけど、いつもと同じ、まだ知らない日々を感じてください。街に泊まる宿、halettoの【house】です。

神奈川県鎌倉市腰越2-12-9

Webサイト:
https://haletto.jp/stay/001/

Instagram:
https://www.instagram.com/haletto_house001/

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この特集について

そこへ、東京トランジット

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