Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.16

だれでも最初は初心者。

仕事に自信を持ってきた今だからこそ、働く大人に読んでほしい1冊です。

あらすじ・・・
主人公5歳の女の子みいちゃんは、ある日ママからおつかいを頼まれます。
「あかちゃんの ぎゅうにゅうが ほしいんだけど、まま ちょっといそがしいの。ひとりでかってこられる?」いままで一人で出かけたことが一度もなかったみいちゃんは驚いて飛び上がります。みいちゃんは勇気を出して、赤ちゃんのお世話に忙しいママの頼みを引き受けます。百円玉を2つ握りしめて、坂のてっぺんにあるお店まで向かいます。道中様々なハプニングを乗り越えて、みいちゃんは無事一人でおつかいができるのでしょうか。

このお話は、主人公の「みいちゃん」がはじめて経験するおつかいをみいちゃんの目線になってお話が展開されていきます。きっとこの表紙と題名をみて、「なつかしい~」という声を出された方も多いでしょう。そしてみいちゃんと自分がリンクして、おつかいの行方をハラハラドキドキしながら読んだ記憶もよみがえってくるのではないでしょうか。私はこの絵本を、ただ「なつかしい~」で思いとどめるのではなく、ちょっと違った目線で感じていただけたらと思いご紹介させていただきました。

みなさんは、はじめてひとりでおつかいに行った日の事覚えていますか。私は残念ながら覚えていません。私のおつかいの記憶は、近所の駄菓子屋さんに小学生の頃、おこずかいを握りしめて、「今日はゼリーとガムにしよう!」と駄菓子屋のおばちゃんと小銭のやりとりをしました。気づいたらいつの間にか一人で行けるようになっていました。お金の清算もできるようになっていました。はじめてのおつかいはどうだったんだろう、ドキドキ不安だったのかな、当時の自分に聞いてみたいです。

少し話がずれてしまいましたが、冒頭にも書かせていただいたとおり、この「はじめてのおつかい」は「そう! だれでも最初は初心者なんだよね」ということを思い出すきっかけになる1冊だと思ったのです。
このコラムを読んでくださっている読者の方は30代になり、仕事面でも、人間的にも社会人として色々な経験をされてきたと思います。今は、上司、部下がいる中で「自分の立場って難しいな」なんて悩むこともありますよね。
仕事面では、色々な事が支障なく当たり前にこなすことができるようになってきて、任される仕事も増えてきている中、若手の後輩に対して「どうしてこんなこともできないの」といっていませんか。心の中で「私がやったほうが早く終わるのに!!」なんてつぶやいていませんか。私も保育士時代、的外れな事をしては先輩にたくさん怒られ、たくさん失敗しました。その分、うまくできたこと、良かったことはほめていだいたり、評価していただきました。仕事面でも、人間関係でも成長させていただいたと感じ、今している仕事とは分野が違えど、現在の自分があると感じています。

最初は何をするのでも初心者です。できないこと、わからないことがあるのは当たり前です。その状況の中、自然と後輩から聞いてもらえるそんな関係づくりが大切だと思うのです。そのためには、昔の自分を思いだして、失敗してもそれを乗り越えられる手助けや、アドバイスをしてあげることが私たちの役割だと感じています。私自身、「してあげる」なんておこがましい表現であまり好きではないのですが、今の自分はそういう立場になったのだ、と自己肯定をしてよいのだと思います。今まで経験してきたことを、次世代に伝える、そういう世代になったのだと。
そしてタイムマシーンがあって、昔の自分に会えるのなら「失敗しても大丈夫だよ。だれでも最初はできないのだから。次に活かせばいいからもっと挑戦するといいよ」と伝えたいです。

若手・後輩に限らず、初めての事、環境って誰でもドキドキするものです。同じ会社でも、異動で部署が変わると仕事内容や人間関係も変わることもありますよね。そんな時、先輩後輩は関係なく、「わからないことをそのままにしない」「勇気を出して声に出す」ことの大切さを、この年齢になり、学びました。初めてその環境、人間関係に適応していくのはいくつになっても難しいものです。つまり、何事も自分なりに切り開き乗り越えて、力をつけること大切さをこの「はじめてのおつかい」を通して、改めて見つめ直す、そんなきっかけになればと思います。

はじめてのおつかい

文:筒井頼子
絵:林明子
出版:福音館書店

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福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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