これで渋滞には困らない「渋滞予報士」に聞いた渋滞を避けるコツ

日に日に寒さが増す、今日この頃。クリスマスや里帰りといった一大イベントが、来月にひかえています。

街中や観光地では土日を中心に人手が多くなり、道路にもたくさんの車が走るようになります。そんなこの時期にレジャーを楽しむ人たちを悩ませるのが、交通渋滞です。道路が渋滞し始めると、思うように移動できなくなり、時にはその場から全く動けなくなってしまうこともあります。渋滞によるストレスで、家に帰りつく頃には疲れ切ってしまった、という経験もしばしば。

行楽を楽しむうえで、渋滞は極力避けたい存在です。交通渋滞を予測し、避けることはできるのでしょうか? そんな素朴な疑問を解決するべく、「東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)」で、「渋滞予報士」として活躍する外山敬祐さんにお話を伺いました。

訪れたのは、埼玉県にある「道路管制センター」。案内された会議室はガラス張りになっており、眼下には、道路の渋滞状況をリアルタイムで確認することができる「巨大スクリーン」がありました。

岩槻道路管制センターのスクリーン

外山さん:「この『道路管制センター』には、関東地方と長野県の一部地域の道路情報が、すべて集まってきます。高速道路で、『非常電話』を見かけたことがあると思いますが、『非常電話』から連絡すると『道路管制センター』のオペレーターに繋がるようになっているんですよ。また、『道路緊急ダイヤル(♯9910)』にかけた電話も、こちらにつながります。」

道路で事故や交通渋滞が起きた場合、すぐさま詳細な情報が、『道路管制センター』に入るのだそうです。

「渋滞予報士」という外山さんの肩書きは、これまで耳にしたことがない職業名。どのようなお仕事をされているのかに気になります。詳しくその仕事内容について、聞いてみました。

外山さん:「『渋滞予報士』の仕事は、いつ、どの道路で、どの程度の渋滞が起きるかを、予測することです。そうした予測をお知らせすることで、ドライバーの行動に変化が起きることを期待しています」

つまり、どの道路が渋滞するか事前に知らせることで、ドライバーはその道路を通ることを避けます。あるいは、渋滞する時間帯を避けてドライブするでしょう。それにより、結果的に渋滞が緩和されることを期待しているのだそう。

外山さん:「どこで渋滞が起きるかを、当てることが『渋滞予測』の目的ではありません。ドライバーの行動を変化させることが目的なのです。ただそのためには、正確な渋滞予測を提供しなければなりませんのでそのあたりがジレンマともいえます。」

ドライバーが少しずつ行動を変えるだけで、ストレスフルな渋滞が減らせると外山さんは言います。

それでは「渋滞予測」は、一体どのように出しているのでしょう?

外山さん:「過去3年分の実際に起こった道路の交通状況のデータを図に落とし、目に見えるような形にしてから『渋滞予測』を出しています。どの時間帯にどのような場所で渋滞が発生したか、ということに加え、年ごとの曜日の並びや道路の開通状況の違い、交通渋滞が発生した日の天気、さらには周辺のイベント状況なども考慮し、データを分析します」

専門的な内容ですが、とても興味深いお話です。

さらには、渋滞というと、事故が発生した時に起きる「事故渋滞」が大半を占めるイメージがありますが、実際は、車が道路に集中したことによる渋滞、つまり「自然渋滞」が渋滞の75%ほどを占めるのだそう。また、「自然渋滞」の半分ほどが、「サグ」と呼ばれる下り坂から上り坂にさしかかる部分がきっかけとなって起きるといいます。

外山さん:「下り坂から上り坂にさしかかる差し変わる凹部では、ドライバーが気がつかないうちに、車の速度が落ちてしまうことがよくあります。すると、後方を走っている車は距離が詰まるため、後方の車はブレーキをかけるんですね。交通量レベルが高い状態では、このブレーキがさらに後ろの車両へと掛け算式に伝播していきます。このシチュエーションが幾たびも重なると、どんどん車間が詰まっていき、大渋滞が発生するのです。」

この「サグ」を起因とする交通渋滞を食い止めるためには、ドライバーが「サグ」と渋滞が起きるメカニズムを知る必要があるのだとか。

外山さん:「『サグ』に差し掛かった時、ドライバーが意識的にスピードを落とさないように注意することで、車間距離が詰まらずに後続車両がブレーキを踏まずに済み渋滞を予防することができます。『サグ』という言葉と渋滞のメカニズムの認知度をセットで高めるため、現在、試行錯誤している真っ最中です。最近、新しい標識を考案したので、設置箇所を順次増やしていく方針です」

サグ

「サグ」という言葉と、イラストが描かれた標識。この標識がさまざまな場所に設置され、多くのドライバーによって認識されることで、ストレスフルな渋滞から解放される可能性が高そうです。また、「キープレフト」と呼ばれる、追い越し時以外は走行車線を走る心がけも、渋滞緩和に大きく役立つとうかがいました。

「渋滞予報士」は、楽しい行楽を支える“縁の下の力もち”。私たちの知らないところで、尽力してくれている一人と言えるのではないでしょうか。

今回の訪問で、ドライバー一人ひとりの運転中の心がけで渋滞は予防できるということを知りました。快適なドライブのために、運転する際は「サグ」や「キープレフト」を意識してみてはいかがでしょうか。

NEXCO

東日本高速道路株式会社

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