Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.12

ほんとうの「ともだち」って何?

「ともだち」ってなんだろう、あらためてそんなことを考えさせてくれる一冊です。「ともだちや」というのぼりをもって「1じかん ひゃくえん、2じかん2ひゃくえん~ ともだちの ごようはございませんか」と練り歩く、さみしがりやのキツネ。

一緒に過ごした時間でお金を受け取って、友だちを演じるというもの。好きでもないイチゴジャムを「ともだちや」として食べます。場面は変わって、「おいキツネ!」と呼び止めるオオカミ。楽しく2人でトランプをし終わり、キツネは「おだいを いただていないのですが」とオオカミに伝える、するとオオカミからの返答は…。

「友だちってなんだろう」と、改めてこの絵本を読んで考え直しました。「友だち」の定義って難しいですよね。家族・夫婦と違って「友だち」という書類や戸籍がありません。自分が「ともだち」と思っていたのに、相手は「ただの知り合いだと思っていた」なんていう話、よく聞きます。どこからが「知り合い」でどこからが「ともだち」なのでしょう。

私自身の経験ですが、小さい頃は、「友だちを作ろう」と張り切って友だちを作ったのではなく、自然と近くに存在する人が友だちと呼べる仲間だったように感じます。でも、学校が変わるときや、クラス替えの「新しいクラスでお友だちできるかな」というドキドキは今でも忘れないものですね。

大人になった今、私は小さい頃より友だちづくりの難しさを感じています。友だちって自然にできるように感じますが、実は勇気を出して声を掛ける一歩が必要なのです。私自身、カフェ経営で接客をする中で、お客さまにどこまでお声がけをしていいのか悩むときがあります。

絵本を楽しそうに読まれているお客さまを見かけると「私もその絵本大好きなんです!」と声をかけたくなります。声をかけられてうれしい人、そうでない方もいらっしゃいますよね。声掛けがきっかけで、親しくさせていただいている方もいらっしゃいます。

大人になると深い付き合い、浅い付き合い、仕事上の付き合い、社交辞令など、大人には体裁があるからこそ複雑なのか「友だち」を作るタイミングが難しいのかもしれませんね。

でも、子どもの頃も大人になっても変わらない考えが一つ。「一緒にいて楽しい」と思える事それが根底にあるのだと思います。人それぞれ考えがあって、自分にも考えがある、その人の考えを共感し、考えを強要しない、それが「友だち」だと私は思います。心が通じ合ったとき、それが「ともだち」なのではないでしょうか。

「友だち」ってなんだろう。それは永遠のテーマですね。この絵本のなかでは、友だちはお金では買えない、無償でのお付き合いが「友だち」だと教えてくれています。素直な気持ちで「ありがとう」「ごめんね」いえる存在であるのだと。

でも、「友だち」を作るには待っているだけじゃダメなんだと、この年代になって気が付きました。自分から勇気を出して人の輪を広げる踏み出す一歩も必要なのだと感じています。そうすることで、今まで自分の分野でなかった世界への一歩となり、広い視野を持つことができるかもしれません。

そんなわけで、(プロフィールにも書かせていただいていますが、)私の最近の口癖が「ご縁ってだいじよね~」なのです。

ともだちや

文:内田麟太郎
絵:降矢なな
出版:偕成社

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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