【品川】変わる風景と変わらない風景 ― 旧東海道「品川宿」を歩く|京急創立120周年

今も昔も品川は世界と東京を繋ぐ玄関口

品川は幾度も風景を変えてきた街です。江戸時代には、江戸日本橋から京三条大橋まで東海道として整備され、日本橋から数えて第一宿目の宿場町として栄えました。1872年には桜木町駅とともに日本一古い鉄道駅の一つとして品川駅の駅舎が完成し、それ以来、山手線や京急線の乗り入れ、1964年の東京オリンピックでは世界中の人を迎える玄関口として役目を務め、2003年には東海道新幹線の開通により、世界と首都をつなぐターミナル駅としていまの品川駅が完成しました。

京急創立120周年を記念して、沿線の街を紹介する連載企画です。まずは起点となる「品川」駅からはじまります。

品川は、江戸時代から現代にかけて、いつの時代も世界と東京を繋ぐ玄関口としての役割を担ってきました。

そして、2020年の東京オリンピックもまた、世界中の人を迎える東京の玄関口として機能します。今後、さらに注目度が高まるこのエリア周辺は再開発が予定され、さらにダイナミックな変化を遂げようとしています。実は、私たちが知っている今の品川駅の風景ももう少しで変わってしまいます。変わるその前に、品川駅の風景を目に焼き付けたいと思い、駅周辺を散策しました。

高層ビルやマンションが立ち並ぶ品川駅界隈は、早足で行き交うビジネスマンやショッピングを楽しむ女性、制服姿の高校生など、いつ訪れても賑わいがあります。空港から近いからか、外国人観光客の姿も多く、あちらこちらで様々な言葉を耳にします。

写真:京急電鉄

喧騒から抜け出すように、品川駅西口から南北に伸びる国道15号線を北品川駅方面に向かって歩きます。10分ほど歩くと八ツ山橋という色褪せた緑色の橋に差し掛かりました。この橋の向こう側は、これまで歩いてきた品川駅周辺の近代的な雰囲気は感じられず、高いビルや建物も見あたらないため、空を広く感じます。まるで見えない線がこの橋にあるのか、こちら側とあちら側で流れる時間が違っているかのようです。

八ツ山橋を渡ると小さな商店街があります。「北品川本通り商店会」です。

お昼時だからでしょうか、人影もまばらでたまに買い物袋を自転車のカゴに乗せたお母さんや、コロコロを押しながらゆっくり歩くおばあちゃんとすれ違います。軒先には旬の野菜が並ぶ八百屋、手作りの看板の蕎麦屋からは「街」を感じます。年季の入った外壁のアパートにも、昔からそこにある古めかしさと懐かしさを感じました。近代的な品川駅前とは対照的に、ちょっとほっとする落ち着いた空気が流れています。

宿場町として栄えた「品川宿」の原風景

いまは鉄道や道路交通網が整備され、電車や自動車での移動が普通の時代。それがなかった江戸時代には、どこに行くにも徒歩、それか馬や籠を手配して、長い時間をかけて移動するしか方法はありませんでした。旧東海道が通っていた江戸日本橋から京三条大橋間の移動は、いまは品川—京都は新幹線で2時間ほどですが、当時は、二週間以上かかったと言われています。当然、休憩する場所が必要となります。江戸の日本橋から京都の三条大橋までを繋ぐ東海道には、なんと53の宿場がつくられ、その周辺が宿場町として発達しました。

今日、歩いているこの品川宿は、江戸日本橋から見て最初の宿場町です。北品川駅前から京急線に沿って南北に延びるこの「北品川本通り商店会」は、品川宿のメイン通り。道幅は約7メートル。これは江戸時代、参勤交代の行列がすれ違える幅として整備されたそうで、その逸話を知ると、この道幅が情緒のある素敵な道に感じられます。

散策していると、「ゲストハウス品川宿」を見つけました。ここ品川には、江戸時代は旅籠屋と呼ばれる宿がたくさんあり、長旅の疲れを癒す人で賑わっていたそうですが、時が移るにつれ、宿は姿を消えて行きした。 一時は、ゼロ軒になってしまった時もありましたが、2009年にこの地に現代の宿場、ゲストハウスが生まれたのは「当時のように、宿を起点に多くの旅人がこの街を訪れ、この街を好きになってほしい」という思いから。この「ゲストハウス品川宿」は海外からの観光客の観光の拠点、また情報を発信する観光情報局として街に溶け込んでいます。

商店街の東側に続くどの小道も緩やかな下り坂になっています。当時、品川宿の東側一帯は海だったそうで、そこに続く浜道の名残とのこと。

道の向こう側に2メートルはある大きな鯨の頭が見えました。1798年5月、暴風雨により品川の浜に迷い込んでしまった鯨を船で引いて沖に返したという実話の残る「鯨塚」に由来する鯨のモニュメントがあります。

品川浦の舟だまりにはたくさんの屋形船が停泊しています。クルーズ船や屋形船に観光客を乗せて東京湾へと出港していくこの場所が、かつては浜辺で漁業を営む漁師たちの船で賑わっていたそうです。

広く、高くと生活と商売の場所を広げていった品川宿の今を目の当たりにし、10年、20年後、この景色はどんな風に変わっていくのだろうと、昔を懐かしむ気持ちと、今後への期待感が交錯します。

「北品川通り商店会」に戻り、青物横丁駅方面に歩いていると、下駄や草履が軒先にぶら下がる履物屋「丸屋」を発見しました。店内に入ってみると、所せましと商品が陳列され、下駄や草履の緒の部分、鼻緒だけがずらりと並んでいる棚もありました。下駄や草履に合わせて好みの鼻緒を組み合わせることができます。

慶応元年から代々続くというこちらの履物屋さんの外観は、歴史を感じさせるどっしりとした風貌です。京都から見れば、ここは江戸までの道のりにある最後の宿場。長旅でくたびれた履物を新調して、意気揚々と江戸入りしていたのかもしれません。もしかしたら先ほどの「相模屋」を利用していた高杉晋作や久坂玄瑞などの幕末の志士たちも立ち寄ったのかも、と妄想します。かつてこの道を吹き抜けた潮風が、150年前の時を馳せる私の頬を撫でていったようでした。

かつて江戸時代に旅人が足を休めたように、ふらっと立ち寄れる路面店が旧東海道にあります。焙煎された珈琲豆の香りに誘われて、ブック・カフェ「KAIDO books & coffee」で一休みすることにしました。こちらのオーナーの佐藤亮太さんは旧東海道宿場町としての歴史を守り、より住みよい街づくりをするお手伝いができれば、と2015年にこの地にブック・カフェをオープンしました。

店内には1万冊を越える本を自由に手に取ることができ、その大半が「旅」にまつわる本です。中には「街道や宿場」に関する書籍もありました。美味しいコーヒーで一息つきながら、「次の旅先は京都にしようかな」とかつての旧東海道の街並みに思いを馳せつつ、今後の旅のプランを立て、ゆったりとした時間を過ごしました。

15時を過ぎ、お店を出ると陽が傾いていました。そろそろ帰路に着こうかと青物横丁駅に向かって歩いていると、昔懐かしい駄菓子屋さんを見つけました。江戸時代のお土産はさすがに持ち帰れないけれど、この街歩きの最後に子ども時代を懐かしむお菓子を持ち帰ろうかな、と足を止めました。

約110年前に創業したという「稲垣商店」。元は瀬戸物屋さんだったというこのお店も、現在の店主さんで3代目です。

稲垣商店さん:「私の代で店じまい。駄菓子屋は儲けにならないからね、趣味みたいなもんなんだよ」

そう話して快活に笑うおばあちゃんと、世間話をしながらカゴいっぱいに懐かしいお菓子を詰め込みました。

今日、品川宿を歩いてみて驚いたことは、隣接している駅が巨大なターミナル駅でも、どこか東京の街の原風景が守られた街が存在していることです。

これまであった代々受け継がれてきた老舗店も、時代とともに姿を消していくことに寂しさを覚えますが、「ゲストハウス品川宿」や「KAIDO books & coffee」のように、町の良さを守り、街の景色を保存していこうとしている人たちが多くいます。

2020年の東京オリンピックを皮切りに、その後も品川駅周辺は大きく様変わりするそうです。今後、この街がどのように変わるのか、これからも、見守っていきたいと思います。

京急創立120周年を記念して、halettoで品川エリアを取材してきました。
走り続けて120年、時代とともに沿線に寄り添ってきた赤い電車は、都会のビルから情緒溢れる街並みに変わる景色を眺めながら、沿線に住む人、旅に出かける人の想いを乗せてこれからも走り続けます。
懐かしい風景、まだ出会ったことがない新しい街、halettoではそんな京急沿線の街を取材していきます。

赤い電車に乗って、京急の街へ訪れてみませんか。

〔提供:京急電鉄、わ!しながわ魅力発信事業〕

写真:京急電鉄

写真:京急電鉄

まだ知らない街を探すZINEワークショップ 品川宿編|京急120周年

■日時:11月12日(日)10:00-15:45 (受付開始9:45/スタート10:00)
■場所:レンタルスペース松本(http://shinbamba.tokyo/rental-space.html)
東京都品川区北品川2-19-4(京急線:新馬場駅北口より徒歩1分)
■タイムテーブル:
10:00 ワークショップスタート
10:30 撮影開始
12:30 お昼休憩
13:30 編集作業
14:30 発表・まとめ
15:45 終了予定
■参加費:3,000円(「写ルンです」代、現像代、美味しい地元のお弁当代、飲み物代)
■定員 :12名
■持ち物:スマホ(「写ルンです」は当日配布いたします。)
※雨天時でも開催いたします。雨の日にしか見つけられない発見をしましょう。
※チケットキャンセルは受け付けませんのでご了承下さい。
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主催:株式会社CHINTAI haletto編集部
特別協賛:京浜急行電鉄株式会社
協力:わ!しながわ魅力発信事業

【京急創立120周年】

京急創立120周年

 

2018年2月25日に京急創立120周年を迎える京急の特設Webサイトがオープン。

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【京急電鉄からのお知らせ】

 

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