平日のある夜、ひとりふらっと訪れたい「羽田空港」

羽田空港

飛行機に乗らないのに、羽田空港に行ったことはありますか。「よくあります」と答えると、びっくりされるかもしれません。でも、東京の現実から少し離れたい晴れた日に、わたしは羽田空港へ足を運びます。仕事帰り、午後6時過ぎの東京モノレール浜松町駅は出張帰りのビジネスマンと旅行者がたくさんです。疲労感と期待感が入り交じる雰囲気は、JR浜松町駅のそれとは少し違っていてなんだかそわそわしてしまいます。車両に乗り込み、つかの間の現実逃避の旅をスタートさせます。

東京モノレール。空港快速のモノレールは羽田空港国際線ビル駅までノンストップで走ります。通過する天王洲アイル駅までは都内にある風景と似ていてビルの間を抜けていきます。大井競馬場駅が近づくと、八潮団地という大きな団地が目に入ります。「東京にこんな大きな団地があるのか」と驚くかもしれません。そこから東京の物流拠点がひしめく流通センター駅を抜け、少しずつ見慣れた東京から遠ざかっていきます。

東京モノレール

線路は二度地下に入り、再び地上に出ればガラス張りのビルが見えてきます。羽田空港国際線ターミナルです。モノレールを降り、改札をくぐるとそこは出発ロビーです。

雲海をイメージしたという高く白く広がる天井、国際色が一気に豊かになるフロア、ちょっと違う音階の「ぴんぽんぱんぽーん」で始まるアナウンス、日常生活とは違う色の景色を感じながら4階に向かうエスカレーターを上がって江戸小路を散策します。

羽田空港2

ちょうど夕食時なのでご飯屋さんは大きな荷物を持つ人たちで混み合っていますが一人なら入れるお店もたくさんです。まずは腹ごしらえをします。外国からのお客様にも人気のつるとんたん、洋食気分ならグリル満天星、いつもの夕食をグレードアップさせて空港と国会議事堂限定の吉野家の牛重、甘いものならはねだ日本橋に向かう途中のずんだシェイク、またはチェックインカウンターを見下ろせる伊藤園茶寮の抹茶ソフトクリーム……選択肢がありすぎて困ってしまいます。

ずんだシェイク

1階のローソンや3階のセブンイレブンで好きなものを買って、夜の展望デッキで少し豪華なコンビニごはんを楽しむのも空港ならではです。夕暮れ時から夜に向かう展望デッキは人もまばらでみんな飛行機に夢中なので、一人でごはんを食べていても悪目立ちすることはありません。時折同じように空港職員さんが展望デッキでごはんを食べていることもあるくらいです。

羽田展望デッキ

展望デッキで飛行機を眺める

羽田空港アイキャッチ

羽田展望デッキ2

お腹を満たしたら、20時過ぎに無料連絡バスに乗り込み国内線第2ターミナルへ向かいます。国際線ターミナルから国内便で移動する旅行者や空港スタッフの人も乗り合わせるバスです。ひとり席に座ってぐるりと空港を回ります。まずは国際線ターミナルを一周、そのあとトンネルをくぐり第2ターミナルへ。暗くなった空と対象的にキラキラと明るいターミナルの明かり、トンネルの優しいオレンジの灯り、夜だからこそ見られる風景です。

羽田展望デッキからの眺め

国内線第2ターミナルについたら、展望デッキに向かってエスカレーターを上がります。混雑の時間が終わりにさしかかっている出発ロビーは少しゆったりしているように感じられました。途中に並ぶお土産屋さんは20時で閉まってしまうので、人通りは少なめです。

どんどんエスカレーターを上って北側の展望デッキに出ます。デッキの端まで進むと、東京の夜景を見ることができます。東京タワー、スカイツリー、レインボーブリッジ、その先にある高層ビル群……いつもは近くで見ることの多い東京のシンボルたちを眺めていると、ちょっとだけ自分のことも客観的に見えてくる気がするのです。同じ展望デッキにいる人はそれぞれに夜景を楽しんだり、飛行機をファインダー越しに見つめていたり、自由に過ごしています。

羽田夜景

羽田から見た花火

東京遠景

午後8時半ごろ、東京湾の向こう側で小さく花火が上がります。舞浜、東京ディズニーランドの花火です。これが見えるのは、羽田空港の中でも国内線第2ターミナルだけで、見つけたときには「あ」と小さく呟いてしまいます。羽田空港にいるのに、急に舞浜でショーを見ているときと同じようなわくわくした気持ちになれるから不思議です。

花火のふもとには、たくさんの人がキラキラと目を輝かせて花火を見上げているんだろうなあ、と想像する一方、小さくもきれいな花火を見つけてわくわくしている自分も大事にしたくなります。ほんの少し心が躍るだけで「きっと明日からもがんばれる」と思えるから、ちょっとした逃避行は必要なのです。

さあ日常に戻ろうと、自然に思える時間が来たら夜の空に飛び立つ飛行機に別れを告げて帰路につきます。羽田空港から都心へ向かうバスや電車のほとんどは、第2ターミナルが始発駅です。(京急線は第1ターミナルと第2ターミナル共通の羽田空港国内線ターミナル駅が始発です。)すっかり人が少なくなった出発ロビーを通り、家路を急ぐビジネスマンが溢れる到着ロビーを抜けて乗車します。座席に深く座って、お気に入りの音楽片手に電車やバスに揺られながら、愛すべき明日を迎えに行きましょう。

羽田バス

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東京都大田区羽田空港

最終電車
東京モノレール空港第2ビル駅発 浜松町行(平日):0:05
京浜急行国内線ターミナル駅発 品川方面行(平日):23:59
京浜急行国内線ターミナル駅発 横浜方面行(平日):24:20(京急蒲田で乗り換え)

新潟県生まれ。週末は2時間散歩しないと気が済まない。ドラマを見ながらロケ地を確信しては、ひとりで楽しい気持ちになっています。他にも電車や駅、飛行機や空港、地図や路線図、おいしいものが好きです。