野を、山を、遊びつくせ! ― 大人の秘密基地 あきる野市「東京裏山ベース」

先日、マス釣りの取材をしたライターの佐藤さんから「取材時に見つけたお店が良かった」という話を聞きました。なんでも、そこはアウトドア好きが集う場所なのだそう。登山や森林浴が好きな私としては、行かないわけにはいきません。8月半ば、電車に乗って「武蔵五日市駅」を目指すことにしました。

立川駅からJR五日市線に乗ること約30分。車内には、大きなリュックを背負った大学生らしいグループや子どもたちが大勢乗っています。うつり変わる車窓風景に声をあげたり、その日の予定を話し合ったり、みんなどことなく嬉しそう。夏休みのうきうきとした気持ちがこちらにも伝わってきます。

五日市駅

終着の知らせとともに駅を降りると、ロータリーのすぐ向かいに「東京裏山ベース」はありました。秋川渓谷の豊かな自然を連想させるグリーンの看板が目印です。代表の神野賢二(ジンケン)さんが出迎えてくれました。

五日市駅ロータリー

東京裏山ベース代表

お店はおしゃれなカフェになっていて、すぐ近くを流れる秋川で採れた鮎を使ったピザや、檜原紅茶を使ったかき氷など、特産品を生かしたメニューがたくさんあります。特に仕込みに9時間かけるという「薬膳チキンカレー」は人気の一品。口の中でほろほろと溶ける具材と、やさしい味わいが魅力です。

東京裏山ベースの薬膳チキンカレー

レジの前には「東京裏山ベース」があるあきる野市と、隣の檜原村の方々によって手作りされたクッキーやジャム、地元の名産品など、「東京裏山ベース」セレクトの品々が販売されています。

東京裏山ベース物販コーナー

お店の奥にはボディケアや学習教室を開催している多目的スペース、シャワールーム、ロッカー、レンタサイクルなども完備されていました。ノートパソコンを仕舞うためのスペースまで設けられていて、案内してもらうたびに「そうそう、アウトドアをする時にこれが欲しかったんです」と何度もうなずかされました。

東京裏山ベース貴重品ロッカー

東京裏山ベースアウトドアグッズ

また、神野さんをはじめとするガイドさんたちによるアウトドアツアーも「東京裏山ベース」が人気を集める理由です。トレイルランやマウンテンバイクはもちろん、チューブを使った川下りや鍾乳洞探検、ハンモックでの森林浴など、誰でも気軽に参加できるものも企画されています。ウェアやシューズもレンタルできることから、初めてアウトドアに挑戦する方や、リピーターとなって何度も参加する方など、多くの人がツアーを通して秋川流域の自然を満喫しているといいます。

東京裏山ベースのマウンテンバイク

「東京裏山ベース」ができたのは、昨年の4月のこと。もともと吉祥寺近くに住んでいた神野さんは、マウンテンバイクやアウトドアを楽しむために何度も秋川流域に足を運んでいました。緑豊かで遊ぶ場所もたくさんあるこの地のファンになり、ついには引っ越してきたほどです。ところが次第に、外から遊びに来る人と地元の人との間にある意識のズレや、駅前に人が集まれる場所がないことなどが気になり始めたのだといいます。

神野さん:「あったらいいな、という機能をワンステップで満たせる施設、地元の方とも交流できる場所をつくろうと『東京裏山ベース』の設立を決め、クラウドファンディングを活用しながら完成させました。この地域のファンを増やすためのつなぎ役になれたら、という願いを込めています」

店内にいると、近隣の方がランチを食べに来ては「このメニュー、どうやって作っているの?」と訊ねたり、「今度のツアーに子どもと一緒に参加してみたいんだけど」と相談しに来たり。 “大人のための秘密基地”というコンセプトの通り、アウトドア好きもそうでない人も、地元の人も外から遊びに来た人も、みんながそれぞれの立場から「東京裏山ベース」を楽しんでいる姿が印象的。神野さんの思いは、設立1年にしてすでに形になっているように見えました。

東京裏山ベースのカフェスペース

せっかくなので最後に私も秋川流域の自然を満喫してみたいと思い、散策コースを神野さんに相談してみることに。すると、オリジナルのマップをいただきました。これは秋川渓谷をめぐる5キロメートルほどの周遊マップで、自然を眺めながらジョギングや散策をするのにぴったりとのこと。地図を片手に、「東京裏山ベース」を出発です。

秋川渓谷ランニングマップ

「秋川渓谷」という看板が見えて来たら、川に沿って歩いていきます。下流はバーベキューを楽しむ人々で賑わっていますが、上流に行くにつれて人影が少なくなりました。川の水は、川底がはっきり見えるくらい透き通っていて、手を入れるとひんやりと冷たくて気持ちいい。水の音とセミや鳥の声だけが響いていて、東京にいるとは思えないのどかな光景が広がります。絵に描いたような大きな入道雲も、夏を喜んでいるようです。

秋川渓谷2

冷たい川の水

上流までたどり着いたら、今度は木々が茂る山道を通って帰ります。川沿いの涼風に比べると、山道の風は、涼しいもののほんのり土の香りが混ざってまろやかに感じられます。こうした些細なことに気が付けるのも、山と川が隣り合わせの秋川渓谷ならではなのかもしれません。

秋川渓谷に架かる橋

秋川渓谷の山道

1時間ほどで再び「東京裏山ベース」に到着。電車の時間まで、ゆっくりさせてもらうことにしました。ひと息ついていると頭に浮かんでくるのは、次は「東京裏山ベース」をどんな風に楽しもうかということ。ハンモックでのんびりとした時間を過ごすのも良さそうだし、レンタルを活用すれば身支度が簡単になるのも嬉しい。帰る前はシャワーを浴びてすっきりしてから都心に戻りたいな。もちろん、お土産は地のものにしよう。楽しみ方は無限、想像はつきることがありません。

秋川渓谷付近の空

東京裏山ベース

東京都あきる野市舘谷219-7
TEL:050-1417-6751
営業時間:
ショップ・荷物預かり・シャワーなど
平日 11:00-19:00/土日・祝 7:30-19:00
カフェ・軽食
平日 11:00-19:00/土日・祝日 9:00-19:00
http://www.ura-yama.com/index.html

ライター

静岡県生まれ。好きなものは、映画、登山、温泉、アーユルヴェーダ。地図が読めないため、町歩きはもっぱら勘がたより。旅行系の冊子やWEBをメインに執筆しています。

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