本好きの、好きによる、好きのための集まり ― ファナティック読書会 書店・池袋「東京天狼院」

池袋にある書店、「東京天狼院」で開催されるファナティック読書会は、テーマに沿って選んだ本について熱く語る場。私もお気に入りの一冊を持って、読書会へ飛び込んでみました。

東京天狼院入り口

なんと言っても本の醍醐味はページをめくるたびに新しい世界に引き込まれる感覚です。一度スイッチが入ると止まらなくなり、寝る間も惜しんで読みつづけてしまうので、寝不足になることもしばしば。

東京天狼院で毎週日曜日に開かれるファナティック読書会は、自分の中の本への想いを、だれかと共有する場です。

天狼院は、京都、福岡に支店があり、写真や演劇、映画などさまざまなジャンルが集まる本屋で、以前から気になっていた場所。JR池袋駅の東口を出て、明治通り沿いを歩き、東通を目指します。強い日差しが照り付ける中、商店街を通り抜け、お店もまばらになったころ、右手に東京天狼院の看板が見えてきます。

東京天狼院看板

店内は開放的です。右奥に噂の畳のスペースとこたつが置かれています。店内に設置された椅子には、読書会に参加すると思われる人が数人座っていました。私も受付を済ませて、席に着き、注文したアイスコーヒーで呼吸を落ち着かせ、初めての読書会に備えます。

東京天狼院店内

東京天狼院店内2

読書会を進行するのは店長の川代紗生さんです。

川代さん:「物を書くのが好きで、気づけばここで働いていました」

明るく話してくれる川代さんは、小説家を目指して修業中だそうです。笑顔と元気な声が読書会のムードを作ります。

東京天狼院読書会

熱狂的という意味を持つファナティック読書会ですが、実にさわやかな集まりです。10人程が席に着き、テーマに沿って持ち寄った本を紹介していきます。

今回のテーマは「本が好きになる本」でした。まずは進行役の川代さんからパトリック・ジュースキント作、池内紀訳の『香水』を紹介。匂いをめぐるサスペンススリラーです。

東京天狼院読書会2

川代さん:「匂いの描写が多く、本に鼻を近づけたほどでした」

ページをめくる手が止まらなくなったというこの本は、川代さんに読書の面白さを教えてくれた一冊です。好きな本について熱く語る様子に、自然と参加者が引き込まれていきます。

東京天狼院読書会3

ライトノベル、ビジネス書、エッセイ、話題のベストセラー。次々と本が紹介されていく中で、何人もの人が、自分も読んだ、と盛り上がった一冊がありました。ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』です。大人が読んでも深い世界観に引き込まれる、児童文学の名作です。実家の本棚にもあったなと懐かしくなり、赤い布地の表紙の手触りを思い出しました。この場にいる人との共通の読書体験にうれしくなる瞬間でした。

東京天狼院読書会4

東京天狼院読書会5

参加者の女性が、本が手に取ってと呼び掛けているような気がする、という言葉に、皆あるある、と共感することも。本を選んでいるようで、実際は本に選ばれているという感覚。もしかしたら、今日集まった人たちは、それぞれ持ってきた本に呼びかけられて、その内容を紹介するように仕向けられているのかもしれません。

私が持って来た本は、野矢茂樹文、上田真絵『はじめて考えるときのように。』この本は、学生のころ課題だった哲学書を読むのが辛くなった時に、「考える」とは何かを、柔らかいイラストと一緒に私にやさしく教えてくれた本です。

他の人に倣って、本の内容や、好きなページの説明をします。本に対する個人的な想い入れを話すのは、内面を見せるようでちょっと恥ずかしい気持ちもありました。発表しているとき、声がだんだん小さくなってしまいそうなのを、なんとかその場にいる人に届くように振り絞ります。

この場には、本に対する自分の想いや感情、意見をさらけ出して発表し、それを受け止めてくれる優しい空気が流れていました。

東京天狼院読書会6

会には、発表せずに聞くだけの人もいました。それでもウェルカムというスタイルの読書会は、本に興味のある人が居心地よく過ごせる場です。

天狼院の「READING LIFE」という理念は、本を媒介にしてその先の体験まで広がる本屋を目指すものです。私もここに来て、本を通じた世界の広がりを感じます。

東京天狼院入り口2

東京天狼院

東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
アクセス:池袋駅から東通りへ向かい直進徒歩5分
電話:03-6914-3618
時間:平日 12:00-22:00、土日祝 10:00-22:00
http://tenro-in.com/

ライター

東京都生まれ。休日は近場の町探検へでかけます。気になった喫茶店にふらっと入り一息つくのが至福の時。出かけた先でお土産におやつを買うのが楽しみ。

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