フリーペーパー 街を知る小さな巨人 東小金井「ONLY FREE PAPER」

駅や街角などで配布されているフリーペーパー。無料で手に取れるので、気軽に読んでいる人も多いのではないでしょうか。そんなフリーペーパーだけを扱う専門書店があると聞き、東小金井駅に降り立ちました。

東小金井駅

駅の北口から出て右折し、線路沿いに続く道をまっすぐ歩いていくと、お店を発見。高架下にすっぽり収まるようにいくつかの店舗が並ぶ中、フリーペーパー専門店「ONLY FREE PAPER」はあります。

 

ONLY FREE PAPER外観

店前に置かれた看板には「お持ち帰り自由」というコンセプトが書かれています。黒い扉を開けて早速入店。

ONLY FREE PAPER看板

店内は落ち着いた照明とやさしい木の香りに包まれています。高架下なので、電車が頭上を通過する「ゴォォォォォ……」という重厚な音が時折響きます。ここは複数の店舗が繋がっている場所で、書棚が並んだこじんまりとしたスペースの横に、隣のお店の様子もちらりと見えました。

棚やテーブルには多種多彩なフリーペーパーがびっしりと隙間なく置かれ、「Take free!」「自由にお持ちいただけます」と書かれた案内も。表紙を眺めていると販売している雑誌と見紛うクオリティのものばかりで、「本当にタダなの!?」と驚いてしまいます。

ONLY FREE PAPER店内

店の奥に座っていたオーナー・松江健介さんにお話を伺いました。

松江さん:「当店は、本好きでフリーペーパー収集家でもある友人と一緒に立ち上げました。この友人が初代代表です。当初から新しく面白い書店にしたいという思いがありましたが、格好良くて個性的な専門書店は既に数多くあり、これまで誰も手がけていないフリーペーパーを扱うことにしたんです」

ONLY FREE PAPERオーナー

店内に置かれたフリーペーパーの種類はおよそ120~130。棚やテーブルの案内にも書かれていた通り、店内のフリーペーパーはすべて無料で持ち帰ることができます。フリーペーパーは新たに創刊されたり、休刊したりとサイクルが激しく、これまでに約5000タイトルを扱ってきたのだとか。

カルチャー好きの人だけでなく、「フリーペーパー専門」というポップな響きに惹かれて、男女問わず、幅広い世代の人がお店を訪れているといいます。

人気があり、残り1部となったフリーペーパーは壁際の書棚に並べられ、店内で閲覧することができます。人気があるのも頷けるような、キャッチーなタイトルばかりが並んでいました。

ONLY FREE PAPER書棚

そして気になるのは、どうして自由に持ち帰れるのかということ。

松江さん:「お店の運営資金は、当店のようにフリーペーパーを置くスペースを展開したい店舗や施設に向けて、ディレクションやコンサルティングなどをして稼いでいます。これまでフリーペーパーに関わってきた知識を活かし、お金に変えているというイメージですね」

「無料」の謎が解けたところで、改めて店内のフリーペーパーを手に取ってみます。お客さんの中には冊子のクオリティの高さに、販売していると勘違いしてしまう人もいるようですが、その気持ちもわかるほど充実した誌面ばかりです。

ONLY FREE PAPERポップ

松江さん:「当店は書店なので、読み物要素があるフリーペーパーを置くようにしています。読み物として充実していれば、100ページでもペライチでも構いません」

全国各地、さまざまな業界から発信されるフリーペーパーの数々は、見ていて飽きることがありません。

松江さんから若い女性におすすめと紹介していただいた、囲碁の世界をおしゃれに紹介する「GOTEKI」や、ど直球なタイトルが異彩を放つ「生理痛」「体臭」、個人的に気になった縄文時代専門マガジン「縄文ZINE」など、店内の棚やテーブルには自分の知らない表現の世界が広がっています。

縄文時代専門マガジン「縄文ZINE」

自分の世界の狭さを感じると同時に、「まだまだ知らない世界がたくさんある」「こんな面白い発想があるんだ」とワクワク感が沸き起こります。お店の中を見て回るだけで、日本全国のあらゆる業界をのぞき見したような気になり、良いアイデアが浮かびそうなポジティブな気分になってくるのです。2~3時間長居してしまうお客さんがいるというのも納得です。

ユニークなフリーペーパー

松江さん:「フリーペーパーの魅力は『読む人に近いメディア』だということです。プロだけでなく、アマチュアの人もたくさん作っていて、読み手が共感できるような、親近感のある企画が多いんです。有料誌の場合はそのような個性の強い企画の多くはふるいにかけられてしまい、なかなか世に出てこないので、フリーペーパーは独特の切り口に出会える点が楽しいんです。

また、どんなサイズにするか、どんな紙を使うか、どんな発行の仕方をするかも、すべては工夫次第。表現の幅の広さもフリーペーパーの面白いところですね」

実は、東小金井が地元だという松江さん。お店から地元を活気づけたいと、店内でライブ、演劇、トークショーなど、多彩なイベントも行っているそうです。

松江さん:「中央線沿線には阿佐ヶ谷や高円寺など、カルチャー色の強い街が並んでいますが、東小金井は何も色がない。今後もなるべく多くのフリーペーパーを集めて、いろいろなイベントも開催し、地元をもっと盛り上げていきたいですね」

東小金井がフリーペーパーの街と呼ばれる日も、そう遠くないかも知れません。

ONLY FREE PAPER店内2

ONLY FREE PAPER

東京都小金井市梶野町5-10-58 コミュニティステーション東小金井 ヒガコプレイス内
TEL:042-316-3310
営業時間:11:00-19:00
定休日:水曜

ライター

埼玉県生まれ、群馬県育ち、東京都在住の関東人。エジプト、トルコ、ギリシャ界隈の歴史が大好きな世界史系歴女。シャーマニズム、古今東西の墓文化、ハロウィーンなどミステリアスなものにも惹かれる。

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