Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.9

絵本「とんでもない」

隣の芝生って青くみえるものですね…そんな絵本です。

あらすじは…
主人公はぼく。どこにでもいる普通の子。
するとぼくは言います。「サイは いいなあ よろいのような りっぱな かわが かっこいい」。するとサイは「とんでもない!おもいんだよ」「うさぎのように みがるに ぴよんぴょん はねまわってみたいよ」と、次々に登場する動物たちは、自分の嫌いな部分を主張し、他の動物のうらやましい部分を述べて、数珠繋ぎにお話が展開されていく。最終的に、みんなは何になるのがうらやましいのか…

この絵本のおすすめしたいところは、子どもももちろん読んで楽しい絵本ですが、大人が読んでもユーモアがありつつ、かつメッセージ性の高い絵本だと感じたからです。

仕事でもプライベートでも、他の人ってなんて恵まれているんだろう、ああなりたい、そう誰しも他人をうらやむ経験があるのではないでしょうか。冒頭にも書いた「隣の芝生は青く見える」他人のいい部分しか見えていない、しかしその裏にはその人が抱えている苦労や挫折があったりするのではないでしょうか。

私は絵本カフェを経営していますが知り合いからは「カフェ作ったなんてすごいね~! 私もやってみた~い!」よくこう声掛けしていただきます。とてもうれしい言葉ですが、ここで私も「とんでもない! 自営業って想像以上に難しいよ」とセリフを出してみたくなります。フリーランスといえばカッコいいですが、自営業って全部自分の努力次第なのです。でも、大変なところってなかなか見えないものです。

うらやましいと思う人の結果だけを見ていませんか。自分がこんなに努力したんだよってことは、あまり好んで人にさらけだす事ってしないですよね。こんなに大変なんだよって。SNSが普及した現代では、TwitterやInstagram、Facebookなど「いい所だけ」を切り取ってあたかも、さらっとこなしたかのように投稿して、他人の反応を気にしてしまう。本当はその裏には、相当の努力があったかもしれないのに…それは現代の自己表現の一つになっているのだと感じています。それが悪いとは思いませんが、情報にまどわされず「あの人と比べて、自分なんて」と負い目を感じる必要がないと思います。

そこで私が大切だと思うことは「自分を認める」ことです。自分はちっぽけで情けない、自分に自信がないと感じ悲観してしまうと、自分のいいところに気づきにくく、自分にないものを求めてしまいますよね。本当に完璧な人なんていないと思います。そんなとき、違う視点から見てみたらどうでしょうか。他人と比べるのではなく「自分は自分でいいんだ」「これがわたし」と自分の個性を認めるきっかけになる、そんな絵本だと思います。

絵本の言葉のなかに
「じぶんに ないものは よくみえるけれど あったらあったで いろいろとたいへん」
まさにそうですね。

とんでもない

作:鈴木のりたけ

出版:アリス館

福島出身。元保育士、夢の国の住人を経て、現在「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。最近の口癖「ご縁って大事よね」。 ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

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このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。