本と歴史とコーヒーと ― 清澄白河「江東区立深川図書館」

100年の歴史を感じる空間で、ゆっくり読書タイム

深川図書館の外観

図書館で本を読むことが好きです。みんなが活字に向かって集中している静かな空間、ページをめくる紙の音、新書にはない紙のにおい……図書館は私のお気に入りの場所の一つ。気まぐれに図書館に足を運んでは、目に止まった本や雑誌や絵本をペラペラとめくるくつろぎの時間は、カフェでのコーヒーブレイクと似ている気がします。

カフェが集まる清澄白河の街にある「江東区立深川図書館」は、明治42年(1909年)に設立された由緒ある図書館。さまざまな歴史の詰まった空間を体験してみたいと、この場所を訪れました。

(こちらの記事は、2017年10月に公開した記事を2018年12月14日に加筆修正いたしました)

見開きの本

清澄白河駅から約7分。清澄庭園を通って図書館へ。

8月も半ば、涼しい空気が心地よい午前9時に清澄白河駅に降り立ちました。A3出口を出て清澄庭園の中をゆったりと歩きます。中央に池を持ち、木々の緑が鮮やかなこの公園は、おだやかなこのエリアを象徴するような場所。

深川庭園

朝の日差しが公園の木々の葉を照らし、ああ、今日も暑くなりそうだな、と深呼吸して新鮮な空気を思い切り吸い込みます。セミや鳥の鳴き声に耳を傾けながら5分も歩くと、白い壁の風格のある建物が目の前に現れました。

深川図書館の外観2

どっしりと落ち着いた外観は、どこか懐かしいアカデミックなたたずまいです。中にはたくさんの本たちが陳列され、窓枠の形や螺旋階段のステンドグラスなど所々にレトロさを感じます。この雰囲気、長居してしまいそうな予感。

深川図書館内部

深川図書館

創立当時の写真

レトロな装飾がそこかしこに

深川図書館は1階が児童書・お話の読み聞かせなどをする部屋・新聞・雑誌のコーナーとPC利用席、2階がいわゆる本棚が並ぶ開架エリアとヤングコーナー、郷土資料室となっています。

深川図書館螺旋階段

深川図書館

明治40年に上野公園で開催された東京勧業博覧会のパビリオンとして建造された深川図書館。博覧会後は、東京市立図書館として地域の人に利用されましたが、大正12年の関東大震災で全焼、昭和20年の太平洋戦争の空襲でも大きな被害を受けました。現在の建物は、平成5年に過去の歴史を残しながらよみがえった3代目の図書館です。

館内の所々に2代目図書館のものを一部再現、再利用したパーツが残っており、階段の壁にはガス灯のソケットとして使用されていた名残の金具が見られます。他にも、階段の手すりの一部が消火器のカバーに、下足あずかり場の甲板をそのまま化粧直ししたものも3階に残されていました。

深川図書館ガス灯ソケットの名残

深川図書館の消火器

街の歴史を知る資料でタイムスリップ

深川図書館の蔵書は約20万冊。好きな作家の小説をさがすには十分な冊数かもしれません。こちらの図書館は歴史にまつわる書籍が多いのも特徴。約2万冊の戦前資料や古地図、街頭紙芝居も見ることができます。ここにしかない希少な本も多いそうです。

深川図書館所蔵の街頭紙芝居

中でも、江東区と江戸・東京に関する資料が所蔵される「郷土資料室」は地域色豊かな郷土資料室には他の図書館では見かけないユニークなスペースです。利用は申請制ですが、江戸時代から続く深川の歴史や街の変遷を知ることができます。

深川図書館の郷土資料室

古文書的な研究書が多いのかと思いきや、レトロな街角写真集や、古地図で歩く散歩ガイド本、深川から生まれたキャラクターのらくろの本もありました。古書独特の紙の香りに包まれて、かつての人びとの暮らしを垣間見ることができます。博物館気分で、気になるテーマをさがしてみるのも楽しいですね。

深川図書館の内部2

深川図書館所蔵ののらくろ

つい夢中になる絵本の魅力

深川図書館絵本コーナー

1階の絵本コーナーへもご挨拶。子ども時代、せなけいこや長新太の作品をよく読んでいた記憶があるけれど、今の子達はどんな絵本を読んでいるんだろう、といくつか手に取ってペラペラとページをめくります。絵本って、大人になっても面白く読めてしまうから不思議です。

深川図書館の絵本書棚

大人になったいま。図書館での読書タイムが楽しい

本屋で立ち読みしたり、ネットで検索したりも便利ですが、図書館でのゆっくりとした時間もまた別の魅力があります。好きな本を好きなだけ読めるのが図書館の魅力。もちろん本だけでなく、雑誌や新聞も膨大な量の資料が所蔵されています。

壁側に設置された席にお気に入りの本や雑誌を持ち込んで、のんびり自分のペースで読みふけることのできる読書タイム。忙しい日常から離れた特別な時間です。

深川図書館のデスク

本棚を見て歩いていると、インテリア本や風景写真集、定食屋さんを巡るエッセイ本など、気になる本を手に取っては読むを繰り返してしまい、時間はあっという間に過ぎていきます。目的なく訪れた時ほど、自分の興味の幅を広げてくれるのが図書館の面白いところ。

子どもの頃、学校帰りに立ち寄ったつもりが、気づけば真っ暗になっていることを思い出します。

図書館らしい「図書新聞」や「週間読書人」などの書評専門紙のストックにも目が止まりました。どれだけいても、飽きることがありません。

書評専門の新聞

やっぱり最後は、コーヒーが飲みたい!

さて、そろそろ帰ろうかと席を立ち、本を戻してエントラスへ。外に出ると太陽はすっかり真上にあり、セミの鳴き声も一層力強く賑やかに感じます。雰囲気のある図書館で読書を堪能した帰り道、コーヒーが飲みたくなってしまいました。やっぱり本とコーヒーは最高の組み合わせ。

図書館帰り道のコーヒー

読書後の余韻に浸りながら美味しいコーヒーを飲んだり、芭蕉記念館や深川江戸資料館に立ち寄ったりの歴史散策や、清澄庭園で自然散策を楽しめるのは、この街ならでは。ついつい立ち寄りたくなる、色んな誘惑が集まっているんです。

カフェでコーヒー片手に本を読むのもいいけれど。歴史の詰まった美しい図書館で、本に囲まれるのはいかがでしょう。いつもより深く読書タイムに集中できた、夏の朝のひとときでした。

江東区立深川図書館

東京都江東区清澄3-3-39
TEL:03-3641-0062
開館時間:火~土曜日:9:00-20:00
日曜日、祝日、休日、12月28日:9:00-17:00
アクセス:
都営地下鉄大江戸線「清澄白河駅」A3出口より徒歩約8分
東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2出口より徒歩約8分

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